2020年06月18日

調査担当のいない2コースを調査してきました。

積雪の多い地域なので,道を自動車が通れるようになるのが遅かったことと,コロナもあって,調査をあとまわしにしているうちに,梅雨入りしてしまいました。
でも天気が大丈夫そうなので,昨日今日で,2か所の調査地をまわってきました。


日本海側のブナ林は,この声が響き渡っていて気持ちいいです。クロジです。1か所目の調査地は,600mの標高差を登るコースで,一番下がナラ林,そして,ブナ林になり,最後は亜高山針葉樹林です。ブナ林はこの声が響き渡っていました。
残念ながら,最後の80mくらいが,道が籔に覆われて,歩けなくなってしまっていて,針葉樹林まではたどり着くことができませんでした。

ルート脇にはこんな巨木たちも。
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そして林床にはこれがたくさん。

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鳥の方は,シカの影響がないだけに,ほかの地域で減っているウグイスやコルリは減ってませんでした。そして,前回はいないかほとんどいなかったキビタキやヤマガラが増加しているのも確認できました。

2か所目はスギ原生林を含むルート,こんな立派な杉が岩の上にのっかってました。なんか船みたいですね。

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沢沿いなので,鳥の声は聴きにくかったのですが,アカショウビンやヨタカなど楽しむことができました。


そして,これ。ついに全都道府県制覇です。

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ちょっと凝りすぎて失敗した感もありますが,肉は美味しかったです。


posted by ばーりさ at 16:32| 活動報告

2020年06月17日

江戸川区の調査をしてきました(佐藤)

東京都鳥類繁殖分布調査でまだ未調査メッシュが多い江戸川区の現地調査と、亀戸中央公園などを調査してきました。
江戸川区は23区調査で、メジロやホンセイインコの目撃例が少ない場所(下図 赤く塗られているのが江戸川区)だったので、この2種に注目をしました。
江戸川区.png


結論から言うと、ラインセンサス4メッシュ(約4km)に加え、公園などを歩いて調査しましたが、一度もメジロ、ホンセイインコに出会いませんでした。ただ、公園内で見られる鳥の看板にもメジロが入っており、いてもおかしくない環境であった事から、タイミングが悪かったのかもしれません。2回目のラインセンサスでも確認できなければ、調査後も粘って探してみようと思います。
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一方、23区内でメジロやホンセイインコと同様に分布を拡大しているオナガやシジュウカラは何カ所かで確認できました。これもこれまで集まった23区の結果と一致しました。

23区で分布拡大している4種(オナガ、シジュウカラ、メジロ、ホンセイインコ)のうち、メジロとホンセイインコはまだ進出できていないのかもしれません。何かが彼らの進出を拒んでいるのか、それともこれから進出するのか、気になるところです。


posted by ばーりさ at 17:21| 活動報告

飛べる鳥と飛べない鳥はどこが違う? −クイナ科の形態を比較−


クイナ➁.jpg ヤンバルクイナ➁.JPG

飛べるクイナ()と飛べないヤンバルクイナ()

鳥類は飛ぶために「大きな翼や発達した胸筋とそれを支える骨、左右非対称の初列風切羽が必要になる」事を以前、ニュースレターで紹介しましたが、この特徴は、ヤンバルクイナのように飛べる鳥から飛べなくなり様に進化した場合、消えてしまうのでしょうか。今回は飛べないクイナ科と飛べるクイナ科を比較した研究を紹介し、飛べなくなるとそのような形態変化が起こるのかを紹介します。



捕食者がいないと飛ばなくなる進化が起こる

鳥は飛ぶことでハワイ諸島やガラパゴス諸島など、一度も他の大陸とつながった事のない海洋島にも分布を拡げる事ができます。そういった島では哺乳類などの天敵がいない事が多く、飛べることによるメリットが小さくなり、飛ばなくなる進化が起きる事があります(Olson 1973、樋口1996)。日本で唯一飛べない鳥であるヤンバルクイナが属するクイナ科は全部で130種以上おり、そのうちの30種以上が飛べません(Gaspar et al. 2020)。飛べる種と飛べない種両方で構成されている分類群の中では、最も飛べない種が多い分類群です。



飛べないクイナ科は翼が短く、胸部の筋肉と骨も小さい

75種のクイナ科の体長や翼の長さ、胸骨の大きさなどを比較した結果、飛べない種は飛べる種より相対的に翼と胸骨が小さい事が分かりました(図1)(Gaspar et al. 2020)。飛べないクイナ科は飛べるクイナ科よりも翼や胸部の筋肉や骨が発達していないようです。また、ヤンバルクイナはクイナと比べると、体の大きさに対して翼は短く、胸部の筋肉量は小さいです(Kuroda 1993)。飛翔を可能にする筋肉や骨の維持にはエネルギーが必要であるため、孤島のような餌資源に乏しい脆弱な環境では、維持するのが大変です。維持のコストを減らして、孤島での生活に適応したと考えられています(樋口1996)

翼長ー体重.jpg 胸骨の深さ-体重.jpg

図1.飛べるクイナと飛べないクイナの体重に対する翼の長さの比率(左)と体重に対する胸骨の厚さの比率(右)。データはGaspar et al.2020)より。


初列風切羽の形は左右対称?

初列風切羽はどうなのでしょうか?飛べる鳥は初列風切羽が左右非対称で、飛べない鳥は左右対称に近い形をしていると言われており、クイナ科の中にもニュージーランドクイナやマメクロクイナはほぼ左右対称の形をしています (FeducciaTordoff 1979McGowan 1989、樋口1996)。しかし初列風切羽が左右非対称の形をした飛べないクイナ科も9種以上います (wang et al. 2017)。なぜ、クイナは種によって異なるのでしょうか。筋肉や骨と違って、左右非対称の風切羽は必ずしも維持に多くのコストがかからないのかもしれません。その場合、飛べなくなっても形状は変化しない可能性があります。ニュージーランドクイナやマメクロクイナは左右対称になったのは、たまたまそのような進化が起きて現在に至っているのかもしれません。しかし、鳥全体で見たとき、飛べる鳥の方が飛べない鳥よりも左右非対称に比率は高い傾向にあるので(Speakman & Thomson 1994)、飛べないクイナは飛べるクイナと比べると左右非対称の形をしているものの、左右対称に近い形をしているのかもしれません。残念ながらクイナ科だけの比較で数十種以上のデータを用いた研究は見つかりませんでした。クイナ科同士で比較した場合どのような結果になるのでしょうか、気になるところです。



脚部は発達している

飛べないクイナ科は翼や胸部が小さい一方で、体重は重く、大腿骨と骨盤の幅は広い傾向にあるようです(Gaspar et al. 2020)。またヤンバルクイナの胸筋はクイナと比較して小さいと先ほど説明しましたが、脚部の筋肉量は胸部の5倍以上あります。クイナの場合ですと約1.2倍です。飛べなくなった分足を使うことが増え、これによって脚部の発達に影響を与えたと考察されています(Kuroda 1993)



まとめ

今回は飛べないクイナ科は翼や胸部の筋肉と骨が小さく、飛べる種とは違うという事、初列風切羽は左右非対称の形をしている種も複数いて、飛べる種と似ている可能性がある事、脚部は非常に発達しているという事を紹介しました。翼や脚の大きさであれば外見からでもわかるかもしれません。もしヤンバルクイナなど飛べないクイナ科を観察できるチャンスがありましたらぜひ確認してみてください。



参考文献

Feduccia A & Tordoff RH (1979) Feathers of Archaeopteryx: Asymmetric vanes indicate aerodynamic function. Science 203:1021-1022.

Gaspar J, Gibb C G & Trewick A S (2020) Convergent morphological responses to loss of flight in rails (Aves: Rallidae). Ecology and Evolution. doi: 10.1002/ece3.6298 

樋口広芳 (1996) 飛べない鳥の謎鳥の生態と進化をめぐる15章 平凡社 278pp

McGowan C (1989) Feather structure in flightless birds and its bearing on the question of the origin of feathers. Journal of Zoology 218: 537 - 547

Nagahisa Kuroda 1993 Morpho-anatomy of the Okinawa Rail Rallus okinawae J. Yamashina Inst. Ornithol.25:12-27

Olson S L (1973) Evolution of the rails of the South Atlantic Islands (Aves: Rallidae). Smithsonian Contributions to Zoology 152: 53pp

Speakman JR, Thomson SC (1994) Flight capabilities of Archaeopteryx. Nature 370:514.

Wang X, Nudds L R, Palmer C & Dyke J D (2017) Primary feather vane asymmetry should not be used to predict the flight capabilities of feathered fossils. Science Bulletin 62 : 1227-1228





posted by ばーりさ at 15:36| 論文・記事

2020年06月15日

2020企画:東京23区の鳥類調査−23区に進出した4種の分布を明らかにします−中間報告(佐藤)

東京23区内で分布を拡大している4種の調査(参加型調査)を5月下旬に開始しました。これまで99名の方にご参加頂き、140メッシュの結果を送って頂きました。参加して頂いた皆様、ありがとうございます。
本調査は6月30日まで実施しています。23区にお住まいの方や職場が23区の方、シジュウカラ、オナガ、ホンセイインコ、メジロを目撃したら是非、観察記録をご提供ください!特に足立区、荒川区、台東区、墨田区、葛飾区、江戸川区のデータが不足しております。データ送信は特設ページからお願いします。


重複した場所もありましたが、全部112メッシュの結果が集まりました(図1)
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本調査で集まったデータに2019年までの東京都鳥類繁殖分布調査の結果も合わせるとそれぞれの詳細な分布状況が分かってきました。


オナガの分布
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1990年代と2010年代で同じ調査をしている東京都鳥類繁殖分布調査の両年代の結果を比較すると、オナガは1990年代は23区ではあまり繁殖しておらず、2010年代では23区の西側に進出しているように見えました。一方、今回の結果ではほぼ全域で確認されました(図)。中央部で白いメッシュ(今回の調査でデータが提供されたが、生息確認されていない区画)がやや目立ちましたが、このあたりは本当にいないのでしょうか。6月中に確認しに行ってみたいと思います。


シジュウカラの分布
シジュウカラ中間報告.png
シジュウカラは1970年代まで23区の東側ではほとんど観察されていない種でしたが、90年代では沿岸部でも観察されるようになり、今回はほぼ全域で報告がありました。ただ、江戸川区と足立区のデータが少ないため、このあたりまでシジュウカラが分布しているのかはこのデータでは分かりません。データの少ない地域にいかれたら、是非、シジュウカラがいないか周りを確認してみてください。

ホンセイインコの分布
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1970年代では確認されておらず、1990年代でも局所的に確認される程度で、その観察結果の多くが上空通過でしたが、今回は23区西側で広く確認されていて、7メッシュでは繁殖確認されています。今のところ、東側ではほとんど確認されていませんが、採餌などには行っているかもしれません。東側で目撃した際には是非、情報をお寄せください。


メジロの分布
メジロ中間結果.png

1970年代から西側から徐々に分布を拡大しているメジロは西側のほぼ全域で確認されました。
一方、東側からの情報は少ないので、この地域ではまだ局所的で分布している程度なのかもしれません。
このまま分布を拡げていくと、20年後には全域でみられるようになるかもしれません。

最後に
100名近くの皆様に参加して頂き、とても嬉しいです。今回、ご提供頂いたようなデータはこれまでも蓄積されていて、それらを分析する事によって、今回、注目した4種が23区で分布を拡げている事が分かりました。また、これらのデータが集まる事で、どのような要因で分布が広がったのか(街路樹が増えたからなのか、公園が増えたからなのか、屋上緑化も影響しているのかなど)を、環境データと照らし合わせる事で分かってくるかもしれません。詳細な分析をするためにも引き続き、調査にご参加ください。また、分布が広がった要因に心当たりのある方は是非、佐藤までアイディアを教えてください。分析する際、参考にさせて頂きます。












posted by ばーりさ at 18:10| 活動報告

2020年06月11日

手賀沼に行ってきました(佐藤)

非繁殖期にも見に行きましたが、今回は繁殖期の手賀沼のコブハクチョウの現状を見に手賀沼を一周しました。
手賀沼に隣接している公園などでもコブハクチョウは観察する事ができ、中には芝生の上に寝ている成鳥もいて、ほとんど人を警戒していないようでした。雛を連れている親もいましたが、近くに人がいてもそんなに警戒する様子はなく、人に慣れていました。

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非繁殖期に多くのコブハクチョウがいた場所にも行きましたが、この時期も多くの個体(70羽程度)がいました。しっかり観察はできていないのですが、ここでは雛を観察する事ができなかったので、恐らくこの群れのほとんどの個体が繁殖していないのでないかと思います。

また、手賀沼周辺の農地内でも稲をついばんでいるコブハクチョウがいました。手賀沼のコブハクチョウは年々個体数が増加していて、手賀沼に隣接する農地の被害が懸念されていますが、
農業協同組合新聞によると柏市では、偽卵による個体数を減らす研究を進めているそうです。

今回、繁殖期に見に行くことでコブハクチョウの繁殖生態を垣間見る事ができました。特に多くの個体が繁殖していなさそうだったので、その理由を文献などで探ってみようと思います。
posted by ばーりさ at 17:19| 活動報告