2021年03月04日

コアジサシの繁殖時期にご配慮ください-大阪夢洲

残念ながら巣立つことはできなかったのですが、昨年大阪の夢洲でコアジサシが卵を産みました。
その後、地元の保全団体が中心となって要望し、大阪港湾局がコアジサシの生息環境の整備にご協力いただけるところまで漕ぎ着けました。
しかしながら、今年、コアジサシが渡来してくる5/4に大規模な花火大会が当地で計画されていることを知る事となりました。せっかくの環境整備が徒労に終わってしまうことを避けるため、開催時期の再考を要望し、バードリサーチも賛同しました。
http://www.nature.or.jp/action/yumeshimamirai/20210303statement.html

コアジサシは、冬はオーストラリアなどで過ごし、夏鳥として日本に移動してくる渡り鳥です。
広い河原、砂浜や砂利敷の工事用地などで、コロニーをつくり集団で繁殖します。近年は、繁殖に適した場所が減ってきており、環境省レッドリストでは絶滅危惧U類、大阪府のレッドリストでは絶滅危惧T類に分類されています。
IMGP1793.JPG
国際間を移動する渡り鳥は多国間で協力が必要です。生物多様性を保全するための配慮をお願いしたいと思います。
posted by ばーりさ at 12:53| 活動報告

2021年02月19日

時間軸で探る日本の鳥 −復元生態学の礎

表記書籍が出ました。

黒沢が監修し,植田が全国鳥類繁殖分布調査について書いています。
繁殖分布調査については,ホームページYouTubeビデオでも見られる情報なので,買う価値はないかもしれないですが,「骨や遺伝子から探る日本の鳥」「文化資料から探る日本の鳥」などは,なかなか普段触れることの少ない情報だと思いますので,本屋さんなどで手に取ってみてください。

P2190944.JPG
時間軸で探る日本の鳥 −復元生態学の礎
築地書館 2,600円+税
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1614-3.html
posted by ばーりさ at 11:13| 書籍紹介

ヒガラのさえずり,やはり少ない:秩父のヒガラアップデート

先日,モニ1000調査でヒガラが少なかったという状況をお知らせしましたが,その情報のアップデートです。

秩父演習林にはライブマイクが設置されていて,家からでもそれを聞くことができます
http://mp3s.nc.u-tokyo.ac.jp/NTETTO_CyberForest.mp3
(ただし,電源節約の関係で,ずっと流れているわけではありません)。

今朝,花粉症で目がかゆくて起きてしまったので,それを聞いてみました。

2/19 6:30-6:31 の音源です。


シジュウカラはよくさえずっていますが,ヒガラは終了間際にかすかに聞こえた程度でほとんどさえずっていません。(ほかには,ゴジュウカラとヤマガラの声もします)

それに対して,2020年の同日同時刻の音源はこちら。


ヒガラがよくさえずっています。少なくとも2羽はいますね。やはり今年は少なそうです。
今後どうなっていくのか,引き続き注目していきたいと思います。

posted by ばーりさ at 08:53| 活動報告

2021年02月16日

2020年度越冬期のベランダバードウォッチを実施しました(山崎)

朝、参加型調査「ベランダバードウォッチ」をしました。ベランダバードウォッチはバードリサーチが実施している参加型調査の1つで、「家での調査」と「家の周りの調査」があります。「家での調査」はベランダや庭先から15分見渡して、姿を見たり、鳴き声を聴いたりした種を記録します。「家の周りの調査」は家を中心に半径200m以内の範囲にいた鳥を記録します。今日は「家での調査」を行いました。家での調査は繁殖期と越冬期でそれぞれ5回ずつ行う事になっており、今日で越冬期の5回目を終えました。

約2か月かけて調査をしました。記録できた種数は毎回10種前後(5回目だけ5種)でしたが、前半の調査と後半の調査で記録した種は少し違っていました。
1月前半までは、アオジやシジュウカラ、カワセミなどを記録しましたが、1月後半以降は生息を確認できませんでした。どこかへ移動してしまった可能性があります。いつもこの時期しかいないのかどうかまだはっきりとはわかりませんので、来期もしっかり調査をしたいと思います。
DSC_0444.JPG
竹やぶにアオジやシジュウカラ、川にカワセミがいました。他にもキジバトやハシボソガラス、ハクセキレイなどもいます。

そして1月後半からは、毎回ヒバリを記録するようになました。昨年は、この辺でヒバリの鳴き声を聴くようになったのは2月になってからでしたので、今年は少し早いのではないかと思います。最初は1羽だけ時々に鳴いている程度でしたが、2月に入って以降は複数の場所で同時にヒバリが鳴いていました。この鳴き声を聴くと、まだ少し肌寒いですが、春が来たなと感じます。
ヒバリがいる場所には、繁殖期はセッカがいました。しかし冬は背の高い草がなくなってしまうためか、いませんでした。近くに「渡良瀬遊水地」という日本最大の遊水地があります。ここでは冬でもセッカを見かけますので、もしかしたらここで越冬しているのかもしれません。
DSC_0534.JPG
繁殖期はセッカがいる造成地。今日はここから富士山が見えました。

今回の調査を通じて、越冬期とはいっても、少し時期が違うだけで観察できる種も変わっている可能性があるとわかりました。皆さんの家の周りにいる鳥たちもそうかもしれません。ご興味を持っていただけましたら是非調査をしてみてください!
調査方法についてはこちらをご確認ください
posted by ばーりさ at 11:45| 活動報告

2021年02月14日

リュウキュウサンショウクイ最前線2021(三上かつら)

 今冬,リュウキュウサンショウクイが多くの場所で観察されています.サンショウクイプロジェクトに情報をお寄せくださった皆様,ありがとうございます.サンショウクイプロジェクトは,日本にいる2亜種,亜種サンショウクイと亜種リュウキュウサンショウクイそれぞれについて,見かけた日と場所をみなさんに報告していただいているものです.
 2010年から始めたサンショウクイプロジェクトですが,亜種リュウキュウサンショウクイの報告をいただいた件数はここ数年で増加傾向にあります.首都圏や大阪などでリュウキュウサンショウクイの個体数が増えたり,定着したりしつつあるということにくわえ.人口の多いところでは,鳥を見る人,見た鳥を報告してくださる方が多いということとも無関係ではないと思われます.嬉しい限りです.

fig1.png
図1.サンショウクイプロジェクトに,観察場所についての報告をいただいた件数の推移

 2011年に論文という形で一度,リュウキュウサンショウクイの分布状況をまとめました(三上・植田2011)が,その2011年までの時点で1度でもリュウキュウサンショウクイが確認されたことのある県は14でした.そこから約10年が経ち,2021年までにリュウキュウサンショウクイが1度でも確認された県はなんと31にまで増加しています.

fig2.png
図2.リュウキュウサンショウクイの記録がある県の変化.

 観察地点数が増えてきたので,分析的な見方もできるようになってきました.次の図は, 2021年2月9日までにいただいた“亜種リュウキュウサンショウクイ”とされた記録のうち,12〜2月の間の観察地点に限定して抽出し,地図上に表示したものです.まずは瀬戸内の東側について.山の際のようなところに点がよく落ちているのが面白いです

fig3瀬戸内.jpg
図3.亜種リュウキュウサンショウクイの確認地点(赤色の●)を地球地図日本(国土地理院)の標高データ(第1.1版ラスタ)上に表示したもの.

 次は関東地方です.標高を図示すると関東平野のだだっ広さがよくわかるのはさておき,真冬の間の確認地点はあまり高いところには出てこないようです.12〜2月のリュウキュウサンショウクイ観察地点(全国165地点分)の平均(±標準偏差)標高は106(±118)mでした.これらの地点のなかには非常に近い場所で別々の人が観察した例や,場所の精度が粗い例も含まれていますので,きちんとしたことをいうためには,もうすこし情報を精査する必要はあります.今回は速報ということでご容赦ください.また,今後は公園なのか,山なのか,気温との関係はどうなのか,といったことについても解析してみたいと思います.

fig4関東.jpg
図4.亜種リュウキュウサンショウクイの確認地点(赤色の●)を地球地図日本(国土地理院)の標高データ(第1.1版ラスタ)上に表示したもの.

亜種サンショウクイまたは亜種リュウキュウサンショウクイの観察記録をお持ちの方,過去の記録でもかまいません,ぜひこちらへ記録を登録いただけますとありがたいです.よろしくお願いいたします.
posted by ばーりさ at 12:50| 活動報告