2014年12月24日

近況報告2013≫ 利根川中流域の水田等で繁殖するタマシギの分布

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
タマシギ探し隊代表明日香治彦さんによる「利根川中流域の水田等で繁殖するタマシギ分布調査計画」です。

タマシギは水田や蓮田、休耕田に生息しており、内陸性湿地の環境の変化や農業政策の変化の影響を受けやすく、個体数の減少が心配されています。しかし、夜行性ということもあり、その生息状況は十分把握されていません。この研究は、タマシギの生息が確認されている利根川中流域の水田や蓮田で、夜間調査を行ない、メスの分布とそこに集まるオスの個体数や、ヒナの数を調べるものです。
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いただいた近況報告をご紹介します!
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大変多くの皆様からご支援を頂きました、タマシギ探し隊でございましたが、いざふたを開けて調査に掛りましたところ、最近の農業政策の変更から休耕田が殆どなく、今までの様には全く調査がはかどらなかったのが現状です。私たちは利根川中流域で農業政策の変更によりここ2、3年タマシギが目に見えて繁殖環境が失われていくことに危機感を覚えて、調査支援の必要性を感じて皆様に協力をお願いしました。
本年度の繁殖期の調査結果(タマシギの生息が確認された地点)は以下の通りです。
1.稲敷市江戸崎稲見干拓地
2.我孫子市
3.取手市萱場
4.稲敷市佐原組新田
5.稲敷市手賀沼新田
6.稲敷市八千石
7.稲敷市下須田
8.稲敷市結佐
以上8か所のみとなりました。
殆どが田植えが済んでまだ稲が成長しない段階で観察されたのが多く、一部猫の額程度の休耕田で観察された所が有りましたが、稲の成長とともに観察ができなくなり、苦戦をしました。
また一部は稲の収穫後でも観察されましたが、そこでは雛を連れたオスが観察できましたが、殆どの田んぼが水が無くなり早々にすがたをけしたのが現状です。
最近最も遅くまで観察されたのが我孫子市の新木地区の11月上旬でした。
数年前には稲敷市の稲見干拓地、同浮島地区でも越冬タマシギが観察されていますので、引き続き越冬タマシギの調査も続行していき、さらに次年度も調査を継続していく予定です。
本来の目的である 雛の数・1羽のメスに何羽のオスが繁殖に参加したなどが全く調査できなかったのが不本意であり、引き続き調査を継続していくことにした最大の理由です。

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僅かに残った休耕田で繁殖 [ 我孫子市 ]

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雛をかくまうオス [ 稲敷市佐原組新田 ]

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雛を連れて [ 稲敷市佐原組新田 ]

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雛が大きくなっていた [ 稲敷市手賀組新田 ]

ご支援いただいた皆様にも見てもらいたかった光景でしたが、翌日には見られなかった。
posted by ばーりさ at 16:38| 研究支援(近況報告)

2014年12月07日

近況報告2013≫ サンコウチョウの3タイプの雄の比較

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
大阪市立大学の大井沙綾子さんによる「「カッコイイ」パパはなぜ「デキル」パパ? サンコウチョウの3タイプの雄の比較」です。

この研究は、サンコウチョウのオスに形態の異なる3タイプの個体がいることに着目し、この違いが年齢によるものなのか、それ以外の要因によるものなのかを調査し、タイプ間の優劣関係や巣立たせることができるヒナの数の違いなどを調査するものです。
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いただいた近況報告をご紹介します!
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今年の4月から8月にかけて、宮古島で調査を行いました。
サンコウチョウの外見が去年から変化しているのかを調べるため、標識個体を目視などにより確認しました。
尾羽や翼の長さを計測しながら、新しい個体の標識もつけました。
また、サンコウチョウの巣を見つけ、営巣のじゃまにならないように気をつけながら、定期的にビデオを撮りました。
現在は大阪に戻り、とってきたデータの解析を進めています。

写真は、雛を抱いている雌と調査風景(手に持っている棒は、予備調査で巣の環境測定をした際に使った、
下草の高さを測るためのもの)です。
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posted by ばーりさ at 20:31| 研究支援(近況報告)

2014年06月18日

アリスイの首ふり行動の謎に迫る!の近況報告が届きました

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が秋田県から届きました。
立教大学の橋間清香さんと、総合研究大学院大学の加藤貴大さんによる「アリスイの首ふり行動に迫る」です。

この研究は、アリスイが誰に対してどんな行動をとるのか、を明らかにすることを通して、アリスイの首振り行動が、本当に敵に対して行われるのかを調べようというものです。
(詳細はコチラ

いただいた近況報告をご紹介します!

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アリスイの首振り行動の謎にせまる(近況報告)

繁殖状況
4月初めに巣箱をかけ、中旬から調査を始めました。
調査ではまず、アリスイの繁殖状況を確認するため、巣箱の中を見て回ります。
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巣箱を覗く加藤さん

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運が良いと、巣箱から顔を出しているアリスイを見ることができます

6月に入り、3巣が繁殖、抱卵しています。今年はコムクドリが例年以上に多く、巣箱を取られてしまったようですが、アリスイは頻繁に鳴いているので、これから増えそうな感じです。

剥製準備
誰に対して首振りを行うか調べるために、イタチ、カラス、スズメ、アオダイショウをアリスイに見せる予定です。

イタチ、カラス、スズメでは剥製を使います。イタチの剥製は立教大学理学部の上田恵介教授に作成して頂きました。
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上田先生作! イタチの剥製

カラス、スズメの剥製は、国立科学博物館から貸して頂きました。
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お借りした剥製

アオダイショウは梅雨明けに捕獲し、アリスイの雛が出てから、それぞれを見せる実験を行います。

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加藤さん、橋間さん、近況報告ありがとうございました。
アリスイも繁殖が始まって剥製もできつつあり、準備万端、といったところでしょうか。
どんな行動が観察されるのか、実験結果が楽しみですね!
東京では、梅雨で湿度も上がって蒸し暑い日が続いていますが、秋田はまだまだ涼しいようです。
正直、ウラヤマシイ。

アオダイショウは現地調達のようですが、ケガや事故などないように、調査が順調に進むことを願っています!

posted by ばーりさ at 16:47| 研究支援(近況報告)