2014年12月24日

近況報告2013≫ アリスイの首振り行動の謎にせまる

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
立教大の橋間清香さんと総研大の加藤貴大さんによる「アリスイの首振り行動の謎にせまる」です。

アリスイはキツツキの仲間ですが、自分では巣穴を掘らないことなど、他種とは異なる生態を持っています。そして、首をひねるように振る奇妙な行動をすることが知られています。この行動は、捕食者などに対する威嚇ではないかと考えられていますが、科学的に調べられたことはありません。この研究は、巣の内外をビデオで記録し、捕食者や巣場所の競合種に対してアリスイやそのヒナがこの行動をするかどうか、またヒナが何日齢からこの行動をするようになるのかを調査するものです。
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アリスイの首ふり行動の謎にせまる
橋間清香(立教大学大学院)、加藤貴大(総合研究大学院大学)

目的
アリスイは捕獲するとクネクネと首をふる奇妙な行動をとる。その動きがヘビのように見えることから、敵と対峙したときに威嚇する行動だとの見方があるが、本当に敵に対する行動なのか検証した。

調査方法
巣箱の前に剥製を置き、給餌に来たアリスイがどのような行動をとるか観察した。剥製は、カラス、イタチ、ヘビの3種類を別々に提示した。全ての提示実験はアリスイの育雛期に行なった。
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図1.カラスの剥製を巣箱の前に提示した様子.

結果
どの動物を提示しても首ふり行動は見られなかった。しかし、キョッキョッという鳴き声とともに、激しく羽をふるわせ、飛び回った。この行動はイタチに対して一番激しく、一時は剥製に飛び掛かるような場面も見られた。反対にヘビに対しては反応が薄かった。
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図2.イタチの剥製(右の丸)に近づき警戒するアリスイ(左の丸).
posted by ばーりさ at 17:35| 研究支援(近況報告)

近況報告2013≫ ベトナム戦争・鳥たちの復興

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
越山洋三さんによる「ベトナム戦争・鳥たちの復興」です。

ベトナムでは、ベトナム戦争で使用された枯葉剤によって失われたマングローブ林を植林によって取り戻そうと国やNGOが奮闘しています。この調査研究は、こうした活動を行なうNGOのひとつ「南遊の会」の活動に協力してベトナムに赴き、年々変化していくマングローブの植林地の鳥類相を記録していくというものです。マングローブ林に生息している鳥たちの写真を撮り、イラストを作成しておき、将来的には、南遊の会が作成するマングローブ林を紹介する冊子に鳥の情報を盛り込めるようにするという計画です。
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ベトナム戦争・鳥たちの復興(中間報告)
 8月16日からの10日間、2014ベトナム・スタディーツアーにスタッフとして参加し、日本人学生25名、ベトナム人学生22名を引率しました。
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 最初の重要なプログラムはホーチミン市の戦勝証跡博物館見学で、米軍の枯れ葉剤散布による人的被害や生態系破壊を含めた戦争の悲惨さを目の当たりにしました。この博物館では、土産売り場などで働く畸形の方々に実際に会うこともできます。
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その後、ホーチミン市南部のカンザー地区へ移動し、3日間の植林活動を行いました。去年植えたマングローブの成長モニタリング調査も行いました。今年熱中症で倒れたのは2名で、例年より少なめでした。植林地にはナンヨウショウビンのペアが棲みついており、多くの人が観察できました。
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 ツアー7日目には、私の企画したエコツアーを実施し、VamSat自然公園でバードウォッチングを行いました。2013年ツアーでの観察結果をもとに自作した簡易フィールドガイド(日本語とベトナム語を併記)を事前に配布し、鳥の特徴などについて解説しておきました。9割の人がバードウォッチング初体験でした。
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 そのほか社会的な活動として、「南遊の会」への支援を広く呼びかけるための執筆活動(岡山県自然保護センターだよりに「マングローブ植林ツアーで見かけたベトナムの動物たち」を連載)や講演会(倉敷市いきもの茶屋「自然環境の保全と再生・ベトナム戦争 いきものたちの復興」)を行いました。ベトナム戦争や福島第一原発事故による放射能汚染の災禍を例に挙げるとわかりやすいのですが、鳥類を含めた生き物の生息環境保全のためには、政治や国際関係への積極的な関与が極めて重要です。
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 今年度の残りの期間は、データの取りまとめや来年のエコツアーの準備、将来的に発行するツアー専用フィールドガイドの原稿作成にあてる予定です。
越山 洋三
posted by ばーりさ at 17:02| 研究支援(近況報告)

近況報告2013≫ 利根川中流域の水田等で繁殖するタマシギの分布

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
タマシギ探し隊代表明日香治彦さんによる「利根川中流域の水田等で繁殖するタマシギ分布調査計画」です。

タマシギは水田や蓮田、休耕田に生息しており、内陸性湿地の環境の変化や農業政策の変化の影響を受けやすく、個体数の減少が心配されています。しかし、夜行性ということもあり、その生息状況は十分把握されていません。この研究は、タマシギの生息が確認されている利根川中流域の水田や蓮田で、夜間調査を行ない、メスの分布とそこに集まるオスの個体数や、ヒナの数を調べるものです。
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いただいた近況報告をご紹介します!
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大変多くの皆様からご支援を頂きました、タマシギ探し隊でございましたが、いざふたを開けて調査に掛りましたところ、最近の農業政策の変更から休耕田が殆どなく、今までの様には全く調査がはかどらなかったのが現状です。私たちは利根川中流域で農業政策の変更によりここ2、3年タマシギが目に見えて繁殖環境が失われていくことに危機感を覚えて、調査支援の必要性を感じて皆様に協力をお願いしました。
本年度の繁殖期の調査結果(タマシギの生息が確認された地点)は以下の通りです。
1.稲敷市江戸崎稲見干拓地
2.我孫子市
3.取手市萱場
4.稲敷市佐原組新田
5.稲敷市手賀沼新田
6.稲敷市八千石
7.稲敷市下須田
8.稲敷市結佐
以上8か所のみとなりました。
殆どが田植えが済んでまだ稲が成長しない段階で観察されたのが多く、一部猫の額程度の休耕田で観察された所が有りましたが、稲の成長とともに観察ができなくなり、苦戦をしました。
また一部は稲の収穫後でも観察されましたが、そこでは雛を連れたオスが観察できましたが、殆どの田んぼが水が無くなり早々にすがたをけしたのが現状です。
最近最も遅くまで観察されたのが我孫子市の新木地区の11月上旬でした。
数年前には稲敷市の稲見干拓地、同浮島地区でも越冬タマシギが観察されていますので、引き続き越冬タマシギの調査も続行していき、さらに次年度も調査を継続していく予定です。
本来の目的である 雛の数・1羽のメスに何羽のオスが繁殖に参加したなどが全く調査できなかったのが不本意であり、引き続き調査を継続していくことにした最大の理由です。

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僅かに残った休耕田で繁殖 [ 我孫子市 ]

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雛をかくまうオス [ 稲敷市佐原組新田 ]

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雛を連れて [ 稲敷市佐原組新田 ]

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雛が大きくなっていた [ 稲敷市手賀組新田 ]

ご支援いただいた皆様にも見てもらいたかった光景でしたが、翌日には見られなかった。
posted by ばーりさ at 16:38| 研究支援(近況報告)