2019年11月14日

近況報告2018≫ 科学者としてのバードウォッチャー

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2018)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。

高田陽さんによる
「科学者としてのバードウォッチャー 〜市民科学・市民調査の社会学的研究〜」
です。

この調査研究プランは、市民参加型調査に参加している人はどんな人なのか、どんな思いで参加しているのか、参加した体験は何を生むのか、調査に参加された方たちへのアンケートやインタビューによって明らかにすることを目的にしています。(詳細はコチラ

いただいた近況報告をご紹介します!

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現在4つの市民科学団体と探鳥会でアンケートを取っています。今後も調査する団体を増やす予定です。
全国規模の活動や地域での活動を調べる中で共通点や異なる部分が見えてきました。
参加できる市民参加型調査にはなるべく参加しながらアンケート調査を行っています。
10月には多摩川での鳥類調査に継続的に参加しました。多摩川の調査ではコシアカツバメの群れやコムクドリなど秋の渡りの雰囲気がありました。

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探鳥会で説明をする高田さん(写真中央)

posted by ばーりさ at 17:17| 研究支援(近況報告)

2019年10月23日

近況報告2018≫ 川はユリカモメの道しるべ?

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2018)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。

竹重志織さんによる「川はユリカモメの道しるべ?」です。

この調査研究プランは、東京湾にそそぐ都市河川の上をなぞるように飛ぶユリカモメの行動について、目的地にいくための道しるべとして川を利用しているのか、それとも、高層ビルが邪魔でやむを得ず川の上を飛んでいるのか、明らかにしようというものです。(詳細はコチラ

いただいた近況報告をご紹介します!
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<川はユリカモメの道しるべ?の経過報告>
 調査は下記のように実施しました。
  • 時期) 2019年の2〜4月
  • 調査地) 東京都の隅田川と神奈川県の鶴見川
  • 調査対象) 日の出前後と日の入り前における、ユリカモメの日周移動の個体数&移動空間や方向のタイプ(河川直上、河川から離脱or進入など)を記録

「ユリカモメの移動経路としての河川への依存度は河川や時間帯によって異なる」という結果になりそうです。
なお、同じ河川内でも、ほぼ全ての個体が河川から外れずに飛行するポイントと、一部の個体が河川から外れるポイントがあるので、その要因を近隣の水域の存在やビルの高さなどといった視点で分析中です。
また、建物の高さや河川の周辺土地利用は時間帯によって変化しないので、河川沿いにおけるなんらかの人間活動の程度(例えば給餌)が時間帯によって異なり、それがユリカモメの移動経路を時間帯によって変化させた可能性があるのではないか、と考えております(あくまで考察ですが)。

今回の調査では、河川沿いの給餌の程度といった人間活動の程度は記録していなかったので、今年の冬の調査では都市における水鳥の移動を、・駆動する可能性がある要因(例)土地利用:河川,人間活動:給餌場所・阻害する可能性がある要因(例)土地利用:河川上の高速道路,人間活動:交通量?といった土地利用と人間活動の両側面から研究していこうと考えております。

なお、2017年12〜3月に東京の神田川で調査をした際には、ユリカモメは移動経路としての河川への依存度は時間帯に関わらず高く、ほとんど河川から外れて移動をしないという結果がでていたので驚きです(神田川での結果は、近日中に国際誌に投稿します)。

いずれは市民調査を計画して、同時に複数の河川を調査できるような仕組みづくりをしたいと考えております。

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posted by ばーりさ at 16:14| 研究支援(近況報告)

2019年10月17日

近況報告2018≫ 小笠原諸島〜伊豆諸島 ツバメの渡り調査2019

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2018)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。

重原美智子さんによる「小笠原諸島〜伊豆諸島 ツバメの渡り調査2019」です。

この調査研究プランは、2年連続で一次審査を通過しており、小笠原諸島や伊豆諸島で観察されるツバメがどこから渡ってきているのか、また、2年目は繁殖状況の調査も行ない初認から繁殖開始までのタイムラグの謎(島で初認された個体とそこで繁殖した個体は別個体なのか?)を明らかにしようと取り組んでいます。(詳細はコチラ


いただいた近況報告をご紹介します!
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日本鳥学会では、「小笠原諸島と伊豆諸島 ツバメの渡り調査2019 DNAに地域差はあるか?」というタイトルでポスターを発表しました。
ポスターの内容は小笠原や伊豆諸島で回収されたツバメとそれ以外の場所で回収されたツバメのDNAの解析結果と、シゲハラの今年のツバメ調査の総まとめです。
共同研究者は科学博物館の西海功さんと、森林総合研究所の川上和人さん。DNAの解析やツバメのサンプルの準備で大変お世話になったのです。

今年の調査はパラオから始まりました。1月にパラオで越冬しているツバメを観察し、
それだけでも嬉しいのにフンを回収することができました。
2月下旬に小笠原へ。昨年のツバメの初認がこの時期だったので、狙って行ったのですけど、母島最終日の2月24日ツバメ1羽確認できました。
母島の観光協会にツバメの調査のチラシとポスターを貼っていただきうれしかったです。
一番飛来数が多くなる4月下旬にも小笠原へ。乳房山展望台で海上から飛来するツバメを観察していたら一瞬、飛んでいるツバメたちに囲まれるようになって感激。
太平洋の大海原を飛んで飛んで母島に到着したツバメたち。本当にすごい。どのように渡ってくるのだろう?

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6月には三宅島で繁殖調査。スマホの自撮り棒で巣の中を撮影すると便利だった。長ーく伸びる棒でさらに延長して高いところもバッチリでした。
そのあとすぐに、つくばの科学博物館で3週間かけてDNAの実験。自分で集めたフンや死体をはじめ科博や森林総研にあったツバメのサンプル50数体を調べました。DNAの解析は人生初体験だったのですが、老眼と戦いながらの実験でした。数字がいっぱい並んでいるのはマイクロサテライトDNAの解析の下準備で、抽出して増やしたDNAを機械が解析して、そのデータをさらに目で見て、数字を読んで作った表。赤い印は西海さんのチェックで、こんな表が何枚も。DNAの解析って機械で簡単にできるのかと思っていたら全然違うので本当に驚きました。
研究室から見える筑波山が美しかった。
こんな感じで調査を進めています。

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posted by ばーりさ at 11:50| 研究支援(近況報告)

2018年12月29日

茨城県のハス田の防鳥網に関する署名のお願い

バードリサーチの研究支援プロジェクトで支援している「防鳥ネット羅網死根絶に向けたハス田におけるカモ類の採食方法とその頻度の解明」で対策のための署名をあつめています。

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趣意書はこちらからご覧いただけます
 https://www.wbsj-ibaraki.jp/wp-content/uploads/2018/11/SignatureInfo.pdf

そして署名要旨はこちらからダウンロードいただけます。
 https://www.wbsj-ibaraki.jp/wp-content/uploads/2018/11/SignatureForm.pdf

年末年始,いろいろな人に会う時期と思いますので,ぜひ,署名の働きかけなど,ご協力お願いいたします。
posted by ばーりさ at 09:02| 研究支援(近況報告)

2017年12月08日

近況報告2016≫日本の鳥の今を描こう 全国鳥類繁殖分布調査

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2016)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告です。バードリサーチによる「日本の鳥の今を描こう 〜 全国鳥類繁殖分布調査へのご支援 お願いします 〜」の進捗をお知らせします。

 全国鳥類繁殖分布調査は、1970年代と1990年代に環境省により行なわれた調査です。この2回の調査で全国的な鳥の分布とその変化が明らかになり、日本の生物多様性の評価や、レッドリストの改訂に役立てられました。全調査地を調査するのに5年をかける大規模な調査で、全国の皆さんの協力によって成し遂げられてきました。2回目の調査から20年が経過し、3回目となる今回はバードリサーチから声をかけさせていただきましたが、多数のNGOと環境省の共同事業として実施しています。(調査研究プランはコチラ

以下、担当している植田より、2017年度の取り組み状況についてご報告します!
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繁殖分布調査へのご支援ありがとうございます。

調査も2年目を迎え,情報が蓄積され,分布の拡大縮小している鳥が見えてくるなど結果も出つつあります。
成果等,ニュースレターで報告しています。ぜひご覧ください。
http://www.bird-atlas.jp/pub.html

また,マスコミでもいくつか取り上げられました。調査の成果など,ポジティブに紹介してほしいのですけど,調査者不足とかネガティブな方で取り上げられるのがちょっと残念ですが,広く一般にこういう調査していることが伝えられたのは良かったかなと思います。

・野鳥調査担い手不足(北海道新聞 2017年9月27日)
・民間主導で鳥の国勢調査を(マイあさラジオ 2017年7月1日)
・ヤブサメの消える日(北海道新聞 2017年6月22日)
・増える外来鳥 減る鳥も(東京新聞 2017年5月11日)
・鳥類調査担い手不足(毎日新聞 2017年5月6日)

繁殖分布調査もまだ完了できていないのですが,越冬期の鳥も調べようと,越冬期の分布調査も始めました。
過去に行なったコースでの現地調査が主体の繁殖分布調査とは異なり,越冬期は普段の観察情報を収集して,分布図をつくります。ちょうど今,冬鳥が揃ってきているころと思います。観察記録をぜひ,お寄せください。
http://www.bird-atlas.jp/winter.html


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写真.講演会で結果報告しているところ
posted by ばーりさ at 16:27| 研究支援(近況報告)