2015年12月25日

近況報告2014≫なぜ、モズははやにえを食べずに残しておくのか?

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2014)で、
皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
西田有佑さんによる「なぜ、モズははやにえを食べずに残しておくのか?」です。

モズのはやにえがいつまでも残っているのは、わざとではなく、うっかり忘れてしまったのではないか、という発想の研究です。モズがさえずりにたくさんの鳴き声を取り入れ、たくさんのレパートリーをもっていることはよく知られています。西田さんは、覚えていられることには限界がある、たくさんのさえずりを覚えていると、それだけ貯食について覚えていることができなくなるのではないか?と考えました。この研究は、さえずりのレパートリー数と縄張り内に残されているはやにえの数の関係を調べてみようという研究です。(詳細はコチラ

いただいた中間報告をご紹介します!
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なぜ、モズははやにえを食べずに残しておくのか? (近況報告)

調査へのご支援,ありがとうございました.
「モズのはやにえ」調査は,いまも継続中です.

モズは,枝先などのとがった場所にはやにえをよく作ります.
モズの縄張り内にある木々を片っ端から見ていくことで,はやにえを探しています(図1).
図1「調査地の風景.jpg
図1「調査地の風景」

見つけたはやにえには,発見した年月日と通し番号を記したシールをつけています(図2).
図2「はやにえ調査のシール」s.jpg
図2「はやにえ調査のシール」

1,2m程度の高さの木ならば,はやにえの探索は簡単です.
しかし,それ以上の高さの場合は,首をくの字にして木を見上げて調査しなくてはいけません.
そんな調査が2,3日もつづくと,筋肉痛で首がいうことを聞かなくなります.

いままで確認できたはやにえの数は,およそ2800個ほどです.
すっかり寒くなったいまでも,モズたちはせっせと新しいはやにえを作リ続けています.
はやにえの数は,これからも増えていきそうです.

はやにえの構成ですが,カエルやイナゴが多いです(図3,4).

図3「干からびたカエル」.jpg
図3「干からびたカエル」

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図4「高い鮮度のイナゴ」

そのほかには,ケラやカマキリ,コオロギなどのはやにえが多く見つかります(図5,6,7,8,9,10).

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図5「まだ生きていたケラ」

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図6「くの字に曲がったカマキリ」

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図7「体が黒く変色したコオロギ」

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図8「種不明のエビ?」

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図9「色鮮やかなスズメバチ」

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図10「又枝に挟まれたオサムシ?」

これらの生物は,モズが生息する農耕地でよくみられる生物です.
縄張りの生物相を反映して,はやにえの種類が決まっているかもしれません.

10月からスタートしたはやにえ調査ですが,12月現在ほとんどのはやにえが消費されることなく現存しています.
「これらのはやにえがいつ食べられてしまうのか」が,私の研究では非常に重要な結果です.

寒さが厳しくなり,手がかじかむ季節になりました.
寒さに負けずひきつづき調査をして,おもしろい結果をみなさまにご報告できればと思います.

posted by ばーりさ at 10:29| 研究支援(近況報告)

2015年12月09日

近況報告2014≫ヒバリ 秋のさえずり解析!?

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2014)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
植村慎吾さんによる「ヒバリ 秋のさえずり解析!?」です。

 繁殖とは関係のなさそうな秋のさえずりにも、つがいの再形成や、翌春のなわばりの確保といった春のさえずりとは異なる機能があることが、いくつかの鳥の研究からわかってきています。植村さんは、複雑な歌構造を持ち、成鳥になってからも歌が変化するヒバリに注目し、春のさえずりと秋のさえずりの複雑さの違いを調べることにしました。秋のさえずりは、歌の構造を複雑にする効果があるのではないか、それによって歌が複雑になれば、春にメスを獲得しやすくなったり、婚外交尾の可能性を高めるのではないか、と考えて着手した研究です。(詳細はコチラ

いただいた中間報告をご紹介します!
(写真3をクリックすると、ヒバリの調査地を体験できるパノラマ風景が広がります!)
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ヒバリ 秋のさえずり解析!? (近況報告)

10月に、さえずりの録音と行動圏調査を行ってきました。
調査地では予定通りさえずりが観察されて、録音は順調でした。
今回、追加調査として予定に加えた行動圏調査では、ヒバリの足環が草や畑の凸凹で見えづらくて苦戦しましたが、最低限の記録は取れたと思います。

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写真1 地上さえずりをしている足環付き個体

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写真2 採餌中の足環付き個体

調査中にはタマシギ3羽や農場横で繁殖するカササギ、渡り途中のノビタキなどにも会えました。

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写真3 原町農場のパノラマ写真

現在は、大学でデータ解析と取りまとめをおこなっています。

posted by ばーりさ at 12:03| 研究支援(近況報告)

2015年12月07日

近況報告2014≫日本の鳥の今を描こう −全国鳥類繁殖分布調査−

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2014)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告です。
まずはバードリサーチによる「日本の鳥の今を描こう 〜 全国鳥類繁殖分布調査へのご支援 お願いします 〜」の進捗をお知らせします。

全国鳥類繁殖分布調査は、1970年代と1990年代に環境省により行なわれた調査です。この2回の調査で全国的な鳥の分布とその変化が明らかになり,日本の生物多様性の評価や,レッドリストの改訂に役立てられました。皆さんの中にもこの調査に参加された方がいらっしゃると思いますが、全調査地を調査するのに5年をかける大規模な調査で、全国の皆さんの協力によって成し遂げられてきました。2回目の調査から20年が経過し、3回目の調査をすべき時期にきました。この20年の間にも、鳥たちの変化は肌で感じることがいくつかあると思いますが、それをデータとして記録し、社会に示すことが、今後20年の鳥たちのためにつながるのだと思います。3回目となる今回はバードリサーチから声をかけさせていただきましたが、多数のNGOと環境省の共同事業として調査するものです。
(詳細はコチラ

皆さまのご支援のおかげで、現在まで着実にプロジェクトを進められています。ありがとうございます。
以下、担当している植田より、2016年度から始まる本調査に向けた取り組みについてご報告します!
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日本の鳥の今を描こう 〜全国鳥類繁殖分布調査〜 中間報告

調査への支援ありがとうございます。2016年からの現地調査に向け,現在までに,以下のような活動を行っています。

シンボルマークの作成とホームページ,SNSの開設
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調査参加者を募るために,ホームページを開設しました。シンボルマークは鳥で日本地図を描いたものを,重原美智子さんにデザインいただきました。

ホームページ http://www.bird-atlas.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/birdatlasjp
Twitter:https://twitter.com/bird_atlasjp

広報活動
バードリサーチニュースはもちろんのこと,野鳥誌や自然保護協会会報,山階鳥研ニュース,Birderなどに繁殖分布調査についての記事を掲載するとともに,日本野鳥の会のブロック会議,モニタリングサイト1000研修会,大阪バードフェスティバルなどで,繁殖分布調査についての話をして,調査のことをみんなに知ってもらうための活動をしました。

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大阪バードフェスティバルでの展示

ニュースレターの発行
繁殖分布調査についての情報を掲載したニュースレターを2号発行しました。年内には第3号を発行する予定です。過去の結果の集計から,現在の様子まで紹介しています。ぜひお読みください。

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創刊号:http://www.bird-atlas.jp/news/banews01.pdf

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第2号:http://www.bird-atlas.jp/news/banews02.pdf

調査参加者の登録状況
12月1日時点で492人の方に参加登録いただきました。また,502か所の調査地の責任者が決まりました。協力者だけの調査地をあわせせると602地点になります。
県別に登録状況を見ると,野鳥の会の支部で一括登録いただいたところでは75%以上の調査コースが登録済みの場所もありますが,まだまだたくさんの調査地が未登録のままです。調査への参加登録,調査地登録がまだの方は,ぜひ登録お願いいたします。
参加者分布図.png
posted by ばーりさ at 15:01| 研究支援(近況報告)

2015年03月02日

近況報告2013≫ 闇夜の湿原から聞こえる謎の声・・・声の主は?ご協力ください!!

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
松岡和樹さん、米田裕之さん、道川富美子さん、嘉藤慎譲さん、庄子信行さん、吉野勇太さん、浅利裕伸さんによる「闇夜の湿原から聞こえる謎の声〜北海道のクイナ類・草原性小型サギ類の分布状況を探る〜」です。

松岡さんたちは、クイナ類や小型のサギ類の生息地である湿原の保全のために、これらの鳥類の生息状況を調査する方法を開発し、北海道における分布を明らかにしようと考えました。これらの鳥は、夜間に活発に鳴きますが、どのような声のパターンを持っているのかわかっていない種も多いのです。そこで、この調査研究プランは、自動録音によって声を記録し、声紋分析を行なってそれぞれの種の鳴き声のパターンを把握し、プレイバック法によって分布を調査するというものです。
(詳細はコチラ

下記の近況報告では、謎の声の音源のダウンロードができます。
声の主に思い当たるものがある方がいましたら、
松岡さん()までご連絡ください。


いただいた近況報告をご紹介します!
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多くの方々から温かいご支援をいただき、
予定通りの録音機材を購入することができました。

調査については、試行錯誤を繰り返しながらではありますが、
何とか平成26年度春季から開始することができました。

本当にありがとうございました。

今年度の調査は、5名で挑み、
数か所にてクイナやヒクイナの鳴き声を確認することができました。

現地調査箇所数は、以下の通りです。

振興局・総合振興局数 = 6地域
市町村数 = 16市町村
箇所数 = 18箇所


目下、データや文献等の整理で四苦八苦しているところなのですが、
特に僕を悩ませているのが「謎の鳴き声」です。

やはり、我々だけでは見当のつかない鳴き声がいくつかありました。

この場をお借りして、皆さまのご意見を頂戴できればと思い、いくつかアップさせていただきます。

見当を付けた後は、次年度以降に再度高音質録音を試み、声紋分析等を実施して種の特定を行いたいと思っています。


【見当がつかなかったので皆さまのご意見を伺いたいもの】
・ナゾa コココココココココココ・・・・
  音源ファイルのダウンロードはこちら(782KB)
  録音日 平成26年6月29日

・ナゾb クルルル〜、クルルル〜
  音源ファイルのダウンロードはこちら(1.3MB)
  録音日 平成26年7月1日

・ナゾだらけ 全般よくわかりません
  音源ファイルのダウンロードはこちら(8.3MB)
  録音日 平成26年6月30日


【見当をつけましたが皆さまのご意見を伺いたいもの】
・オオソリハシシギ(たぶん) クィ クィ クィ キーー・・・・
  音源ファイルのダウンロードはこちら(1.5MB)
  録音日 平成26年6月4日

・ヒクイナorヒメクイナ (たぶん) クルルルルルル・・・・
  音源ファイルのダウンロードはこちら(543KB)
  録音日 平成26年6月10日


【おまけ】
・クイナaパターン クィクィクィ・・・・
  音源ファイルのダウンロードはこちら(4.1MB)
  録音日 平成26年5月7日

クイナbパターン →クサシギ クィ〜クィクィクィ
  音源ファイルのダウンロードはこちら(1.9MB)
  録音日 平成26年5月19日
 (閲覧者の方からご意見を頂き、クサシギに修正しました。)

・クイナcパターン ピュィィィィ〜、ピュ、ピュ
  音源ファイルのダウンロードはこちら(1.1MB)
  録音日 平成26年6月2日

※録音地域は、すべて北海道道東地域です。
※設置環境は、すべて湖沼脇の湿性草地です。
posted by ばーりさ at 16:28| 研究支援(近況報告)

2014年12月24日

近況報告2013≫ アリスイの首振り行動の謎にせまる

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2013)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
立教大の橋間清香さんと総研大の加藤貴大さんによる「アリスイの首振り行動の謎にせまる」です。

アリスイはキツツキの仲間ですが、自分では巣穴を掘らないことなど、他種とは異なる生態を持っています。そして、首をひねるように振る奇妙な行動をすることが知られています。この行動は、捕食者などに対する威嚇ではないかと考えられていますが、科学的に調べられたことはありません。この研究は、巣の内外をビデオで記録し、捕食者や巣場所の競合種に対してアリスイやそのヒナがこの行動をするかどうか、またヒナが何日齢からこの行動をするようになるのかを調査するものです。
(詳細はコチラ

いただいた中間報告をご紹介します!
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アリスイの首ふり行動の謎にせまる
橋間清香(立教大学大学院)、加藤貴大(総合研究大学院大学)

目的
アリスイは捕獲するとクネクネと首をふる奇妙な行動をとる。その動きがヘビのように見えることから、敵と対峙したときに威嚇する行動だとの見方があるが、本当に敵に対する行動なのか検証した。

調査方法
巣箱の前に剥製を置き、給餌に来たアリスイがどのような行動をとるか観察した。剥製は、カラス、イタチ、ヘビの3種類を別々に提示した。全ての提示実験はアリスイの育雛期に行なった。
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図1.カラスの剥製を巣箱の前に提示した様子.

結果
どの動物を提示しても首ふり行動は見られなかった。しかし、キョッキョッという鳴き声とともに、激しく羽をふるわせ、飛び回った。この行動はイタチに対して一番激しく、一時は剥製に飛び掛かるような場面も見られた。反対にヘビに対しては反応が薄かった。
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図2.イタチの剥製(右の丸)に近づき警戒するアリスイ(左の丸).
posted by ばーりさ at 17:35| 研究支援(近況報告)