2023年04月10日

新人スタッフ紹介(野村佳那子)

2023年4月からバードリサーチに入局した野村佳那子と申します。
この場を借りて、皆さまに自己紹介をさせていただきます。

私は一般企業での勤務を経て、オーストラリアに滞在し、帰国後は環境保全団体や人道支援団体でファンドレイジングと呼ばれる活動資金をつのる仕事をしてきました。
3年ほど前に自宅近所で初めてキビタキをみた時「身近にこんなに綺麗な鳥が渡ってくるなんて!」と衝撃を受けて以来、野鳥観察をするようになり、「野鳥の保全に自分も貢献したい」という思いから、この度バードリサーチで勤務させていただくことになりました。

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好きな野鳥はキビタキとメグロです。



私は、野鳥はもちろん生き物全般が好きで、オーストラリアに滞在していた時は、ベースキャンプでテント暮らしをしながらザトウクジラの生態調査ボランティアにも参加しました。


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ボランティアでは、調査小屋から双眼鏡を使ってクジラの頭数やブリーチングなどの動作をカウントしてデータ化しました。


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調査小屋にはこんな落書きも。



テント暮らしをしていた時は、みんなで海に子船を出してよく魚釣りにいきました。
釣りは、みんなで小魚の魚群を狙って集まる海鳥の群れ(海鳥の名前を聞きそびれてしまったのが悔やまれます…)を探し、そこへ船を移動させて行ったのですが、海鳥と同様に小魚を狙って集まる大型の魚が釣れました。

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釣った魚たち。サバ科の魚?


私はその際に、大きな魚が釣れたという喜びの一方で、
間近で見た、海鳥や鯨類、大型魚といった肉食動物と、肉食動物に狙われる小魚たちの命をかけた攻防の迫力と、水族館でのんびり泳ぐ姿とは全く違う、本気で躍動する姿のカッコよさに圧倒されました。

このような経験もあり、帰国後は環境保全団体に勤めたのですが、
そこでは、海洋資源の枯渇データを見たり、森林伐採が続くインドネシアのスマトラ島の現場視察を経験し、多くの生き物が暮らす環境が破壊されている現状に大変ショックを受けました。

そのような経験から、私は生き物の暮らしを見たり、観察することは、
環境保全に関心をもつきっかけにもなる大切な経験だと考えています。

野鳥観察をはじめてまだ間もない若輩者の私ですが、
会員の皆さまにご協力をいただきながら、野鳥観察通じて、野鳥の保全に役立つデータ収集や、
野鳥をはじめとする野生生物の保全に関心を持つ人を増やしてゆければと考えています。
posted by ばーりさ at 11:45| その他

2022年07月05日

テレワーク 宮古島編

実は先週から宮古島でリモートワークをしています。
以前のブログで山口県で2日間リモートワークをしてみたことを紹介しましたが、今回はもう少し長期にしてみました。

朝は、リモートワークができる施設に出勤する前にちょっとだけ趣味的な調査をしています。
9:30に職員全員でzoomをつないで朝のミーティングをして勤務開始、夕方に仕事が終わったら帰りにも少しだけ調査をしたり海に行ってみたりして過ごしています。個室もあって快適な仕事環境です。私は最近は普段も主には東京の家で仕事をしていますが、こういう機会でリモートワークの実践例を積んで、バードリサーチとしてより良い働き方の選択肢ができるようにと思います。
これまで食性データベースにあまり登録されていない南西諸島での鳥の採餌情報も集めようと思っています(^^)

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リモートワークをしているところから、ラムサール条約登録湿地である与那覇湾が見えます

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この時期、路上で見かけることが多い天然記念物のキンバト(オス)


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posted by ばーりさ at 16:16| その他

2021年04月06日

カラーユニバーサルデザインで分布図を作る

鳥類繁殖分布調査の報告書に使う分布図のデザイン案が、事務所のSlack(チャットのシステム)に載りました。それを見たところ、あれれ・・・黄緑が背景の灰色ににじみ込んで、ほとんど見えません。これは私が赤緑色盲(かなり誤解を招く名称で、赤・緑に限らず、色の濃度や色相が近い場合に区別がしにくいのです)だからで、他のスタッフは普通に黄緑が見えているそうです。

カラーユニバーサル2.png

「黄緑が見えないんだけど」と言ったところ、植村君がカラーユニバーサルデザインの配色例を参考に、いろんな色の組み合わせを考えてくれました。そのなかで、私がいちばん見やすかったのが右図の配色です。水色がやや見えにくいのですが、4色の組み合わせで小さな点を見やすい色にするのは、このくらいが限界かなと思いました。

いままでにも図やグラフで、ちょっと見えないなぁという配色に出くわすことが、ときどきありました。色盲でも見える配色は、そうでない人にも見やすくなる場合が多いと思います。そうした配色のことをカラーユニバーサルデザインと呼ぶそうで、ネットを検索するとお薦めの配色セットの例が見つかります。そうした例を参考にして図を作ってもらえたら、うれしいです。Wikipediaによると、日本人男性の20人に1人、女性は500人に1人が赤緑色盲だそうで、けっこうな割合で私と同じ症状の人がいますから。

なお"色盲"を別の言葉で言い換えるべきではという議論があることは承知していますが、取って付けたような新語にも違和感があるので、この文では色盲という言葉を用いました。

posted by ばーりさ at 16:38| その他

2020年12月13日

兵庫県立大大学院オープンキャンパス

うちの運営委員もつとめていただいている兵庫県立大の出口さんからオープンキャンパスの連絡が届きました。

12/20に,通常のオープンキャンパスだけでなく,こんな時期ですので,Zoomでも行なうそうです。遠方の方でも気軽に参加できますので,大学院受験など考えている方は参加してみたらいかがでしょう。


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posted by ばーりさ at 09:05| その他

2020年07月25日

モニタリングデータの個体数変化を分析する統計ソフトTRIM(rtrim)の使い方

TRIM(TRends & Indice for Monitoring data)はヨーロッパ全体の鳥類繁殖分布調査(PECBMS, Pan-European Common Bird Monitoring Scheme)で使用されている個体数変化解析用のプログラムです。

長期に続くモニタリング調査では毎回全ての地点で調査ができない場合がありますが、TRIMはそうした欠損値を補完して個体数の変化傾向を有意水準付で判定してくれます。(PECBMSソフトウエアhttps://pecbms.info/methods/software/)。

TRIMは当初、Windowsアプリケーションとして公開されていましたが、その後、統計言語Rのパッケージ版になった「rtrim」が公開されました。rtrimはWindows版よりきれいなグラフが描けるし、Windows版で面倒だった欠損記録を「-1」で埋める事前準備が必要がない(例えば2000年の調査がなければ、2000年の行を消しておけばよい)など機能が高まっている反面、Rの知識が必要なので、取っつきにくくなったかもしれません。この記事ではrtrimでどのくらいデータの補間をできるかのテストと、簡単な使い方を紹介します。記事で使ったデータはタブ区切り形式のファイルでダウンロードできます。

TRIMは欠損データを推定できる
TRIMは、ある地点の個体数は地点の特性と調査した年(年に限らず日でも月でも)の特性に基づくと考えて推定を行います。「個体数が多い地点は毎年多いはずだし、全体の個体数が多い年はさらに多いだろう、だから今年この場所は調査してないけど、このくらいの個体数がいるはずだ」というような理屈で計算してくれているようです。では、TRIMがどのくらいデータの欠損を補完できるのかテストしてみましょう。

テストには「毎年一度の調査が行われていて、全地点で個体数が増加を続けている」という極端な仮想のデータを使用します。下図はTRIMが出力したグラフと、生データのグラフです。この場合はTRIMの推定値と生データは同じになります。[使用データ trimtest.txt
trim-test1.png
図左のTRIMグラフで、折れ線は各年の個体数合計の推定値、垂直線は推定値の95%信頼区間、赤線は個体数変化の回帰曲線、灰色の帯は回帰曲線の95%信頼区間を示している。

つぎに、データから10%の記録を間引きました。生データはガタガタしますが、TRIMの推定値はあまり変化していません。[使用データ trimtest_10per_del.txt
trim-test2.png

さらに、20%の記録を間引きしました。これでも、TRIMの推定はほとんど影響がありません。[使用データ trimtest_20per_del.txt
trim-test3.png

なお、テストで間引いた生データのグラフはガタガタになりましたが、それでも近似直線を引けば個体数が増加傾向であることは分かりそうです。すべての調査地で数が増加するという極端なデータなので、多少間引きをしても全体傾向はそれほど分かりにくくならなかったようです。

実際のハクチョウ記録でテスト
モニタリング調査では、初めのころは調査地が少なかったのが、しだいに調査地が増えてくるということがよくあります。こういうケースで、例えば総個体数が増えている場合には、野鳥が増えたからなのか、それとも調査地が増えたからなのかが分かりにくくなってしまいます。

それをTRIMがどう計算してくれるのか、実際の宮城県のハクチョウのデータを使ってテストしました。環境省のガンカモ類の生息調査からある条件で調査地を抽出し、そこにいた「オオハクチョウ+コハクチョウ」の個体数変化をTRIMと生データで比較しています。

はじめに、欠損のないデータのグラフを下図の左列に示します。TRIMと生データのグラフは同じような形で、緩やかな減少傾向があるように見えます。[使用データ hakucho_original.txt]。つぎに、何カ所かの調査地で初期の頃の年の記録をバッサリ削除し、途中から新調査地が増えた状態を模したデータのグラフを右列に示します。右列下段の生データのグラフでは初期の頃の個体数が下がり、経年変化は実際とは逆に増加傾向に見えます。一方、右列上段のTRIM推定値グラフは欠損のないデータと変わらない傾向を示しています。[使用データ hakucho_shoki_sakujo.txt

オオハクチョウ3.png
単純合計したグラフでは増減傾向が逆になってしまいました。

以上のように、TRIMは欠損データがあっても正確な個体数傾向を推定してくれることが分かりました。

rtrimの使い方
この記事で紹介したグラフは、統計言語Rを使って数行のプログラムで作成することができます。Rの基本操作は説明しませんが、いろんなホームページに載っていますので、そちらを参考にしてください。
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library(rtrim) # rtrimパッケージの読込
library(readr) # read_delim関数を使うために必要

hakucho <- read_delim("hakucho_original.txt", delim="\t") # 上記の白鳥データを読み込みます。

trim.results <- trim(count ~ site + year, data = hakucho, model=2, changepoints="all", serialcor=TRUE, overdisp=TRUE) # trimを実行します [※]

slope <- overall(trim.results) # slopeには傾き、増減判定、P値などが格納されます。

plot(slope) # グラフを描きます。

[※]
model:
 1 「No Time-Effects」通常は使用しません。
 2「Time Effects (Effect for each time-point)」調査を行った全ての年を用いて分析を行います。最も基本的な方法です。
 3「Liner Trend」Time Effectsで分析が実行できなかった場合や、大きな変化があった年を探索したい時などに使用します。
changepoints:大きな変化があった年が分かっていれば指定します。通常はすべての年を選択するので「all」.
serialcor:Serial correlation(自己相関)。ある年の野鳥の数は近隣の年の数に近くなるので「TRUE」。
overdisp:Overdispersion (過分散)。ポアソン分布からの逸脱の程度です。野鳥のカウントでは過分散は高くなる可能性があるので「TRUE」。

この記事ではrtrimパッケージの使い方を説明しましたが、旧Windows版TRIMの日本語解説とアプリケーションがこちらのページでダウンロードできます。解説資料では計算の仕組みやアウトプットの読み取り方を説明していて、その内容はrtrimになっても変わりありませんので、参考にしてください。

2009年10月のバードリサーチニュースにもTRIMの記事を掲載しています。
http://www.bird-research.jp/1_newsletter/index2009.html

(神山和夫)
posted by ばーりさ at 11:23| その他