2017年03月27日

珍鳥  vs カメラマン(奴賀)

近年、野鳥を観察する人や撮影する人の中にマナーの悪い人がいると問題になっていますが、つい最近もソデグロヅルの観察について、以下のような出来事が起きていました。千葉県野鳥の会会報「房総の鳥」No.517 2017年3月号 21ページの記事を許可を得て全文掲載します(写真は一部改変)。

IMG_7658ソデグロ.jpg
ソデグロヅル


以下、「房総の鳥」No.517 2017年3月号 21ページの記事。
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旭市の水田にソデグロヅルが飛来  齊藤敏一

 旭市北部に広がる通称「干潟八万石」の広大な水田に、3羽のソデグロヅルが飛来しました。成鳥が2羽と幼鳥が1羽で家族と思われます。最初に見つけたのは地元の写真愛好家で、11月26日だったそうです。私は飛んでいる3羽を12月2日に偶然見つけましたが、まだカメラマンは2〜3人というところでした。12月4日の日曜日は天気が良かったこともあり、数十人のカメラマンがやって来ました。細いあぜ道に車がずらりと並び、大砲のような望遠レンズを構えたカメラマンがツルの降りた田んぼを取り囲んでいました。
 ソデグロヅルは地上に降りているときは全身が白く、見た目がサギとあまり変わりがありません。そこで翼の先が黒い特徴的な姿を撮ろうと、わざと近づいて飛び立たせた人もいたそうです。そのためソデグロヅルは落ち着いて餌を取ることもできず、その日の夕方には飛び去ってしまいました。その後は香取市に移ったそうですがそこにもカメラマンが押しかけたそうで、同じことが繰り返されたことでしょう。
 昨年、旭市の飯岡漁港にコクガンが来たときも、結局カメラマンに追われてしまいました。以前旧小見川町にマナヅルが来た時や、印西市にソデグロヅルが来たときには地元の人達が協力してカメラマンから守ることに成功しましたが、こちらでは対策を立てる前にいなくなってしまい残念でした。私も写真を撮るので偉そうなことは言えませんが、今や珍鳥の一番の敵はマナーの悪いカメラマンです。

ソデグロ親子.png
右端に3羽のソデグロヅルが写っています。

(編集部注:ソデグロヅルGrus  leucogeranusは、世界に3800羽程しかいない希少種です。夏季にロシア北東部や中北部で繁殖し、冬季になると鄱陽湖やインド北部、イラン北部で越冬しますが、西アジアは政情が不安定なうえにツル類を狩猟する習慣もあるとのことです。)

 なお、2011年12月から翌年3月まで印西市に1羽が飛来し、河邉さんたちがカメラマンへの対応に奮闘しました。会報2012年2月号に河邉さんが概要を報告しているほか、2012年4月号には会長から「珍鳥出現対策マニュアル」が示されました。『BIRDER』2012年5月号で「千葉県野鳥の会による地元住民への対応と地元ルールの作成は未然にトラブルを防ぐことができた好事例だ。」と絶賛されます。

今回飛来した3羽は、2016年11月6日に北海道鶴居村に出現した群れで、降雪のため南下して旭市に飛来したことが分かっています。カメラマンが追わなければ越冬も期待できたのに残念です。その後、宮城県の蕪栗沼で3羽のソデグロヅルが観察されています。(河邉)
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掲載ここまで。


 この記事を読んで、2011年冬に印西市に飛来したソデグロヅルを見に行った時のことを思い出しました。人がたくさん来ていると聞いていたので、私は年が明けてから2月に何かの用事のついでに見に行きました。バードウォッチャ―は私一人でした。そして、写真の看板を見かけました。

ツルを囲むな.png
「ツルをはさむな。囲むな。追い立てるな。撮影不可の農道。」2012年2月撮影。

これが、『BIRDER』2012年5月号で紹介された、立入禁止区域を設けるなどのルールを設定した際の看板の一つのようです。千葉県野鳥の会が対応した具体的なルールや対策としては、大勢の人がやってくることを役場や地元住民、学校、駐在所へ説明する、撮影場所や駐車可能な場所を決める、案内看板を設置する、などです。
この対応のおかげでソデグロヅルは人に追われることなく無事に越冬できたのでしょう。

 その後、千葉県野鳥の会会報では「珍鳥出現対策マニュアル」が示されたそうですが、現在、千葉県野鳥の会ホームページでは、「千葉県野鳥の会が考える写真撮影のルール」が示されています。
http://chibawildbird.web.fc2.com/satuei2.html
ここでは、〇〇をしてはいけない、という事だけではなく、その理由も簡単に説明がされています。
珍鳥が出現した時、大勢の観察者が集まってしまうような時、
マナー違反の人を注意をする時、参考になるかと思います。

 個人的な意見ですが、マナーが悪いからといって単に注意すれば良いというものではなく、お互いの立場やその時の状況によっては、さらに事態が悪化することもあるかもしれません。注意する前に、そこがどういう場所か、マナー違反の理由をきちんと伝えられるか等、少し慎重に整理してからの方が良いかなと思います。

現地の状況によって対策は異なることもあるかと思いますが、基本は『鳥と地元の人に迷惑をかけない事』だと思います。



posted by ばーりさ at 17:00| その他

2017年02月14日

種の保存法改正〜確認種リスト作成エクセルも更新〜(奴賀)

 法律と聞くとなんだか難しくて、ネットで調べてもピンとこない、という方もいると思います。今回、種の保存法の改正点についての記事とともに、種の保存法に関連するサイトへのリンクもまとめてみました。改正にともない、確認種リスト作成エクセルの希少種情報も更新しました。
 いろいろ調べてみましたが、やっぱり法律は難しいです。。。

種の保存法とは
 種の保存法(正式名称:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)とは、絶滅のおそれのある、国内に生息・生育する希少野生生物や外国産の希少野生生物を保全するための法律で、保全のために必要な措置を定めています(平成5年4月施行)。
 国内に生息・生育する希少野生生物については、環境省レッドリスト掲載種の中から、国内希少野生動植物種を指定し、個体の取り扱い規制(捕獲や流通の規制等)、生息地の保護(ミヤコタナゴ生息地、キタダケソウ生育地等)、保護増殖事業(トキ、イヌワシ等)の実施など保全のために必要な措置を講じています。
 外国産の希少野生生物については、ワシントン条約(付属書I掲載種)、二国間渡り鳥等保護条約・協定(通報種)に基づいて、国際希少野生動植物種を指定しています。国際希少野生動植物種に指定されている種については、販売・頒布目的の陳列・広告と、譲渡し等は原則として禁止されています。

 
種の保存法改正について
 今回、ワシントン条約第17回締約国会議(2016年9月24日〜10月4日、ヨハネスブルグ)における附属書の改正および、第18回日豪渡り鳥等保護協定会議(2016年10月25日〜27日、ケアンズ)においてオーストラリアから絶滅危惧種の鳥類について通報があったことをふまえ、国際希少野生動植物種の追加及び削除を行ったため、種の保存法が一部改正され、2017年1月2日に施行されました。
 国内希少野生動植物種については、平成27年の追加以降、変化はありません。
 国際希少野生動植物種については、ワシントン条約の改正でヨウムが付属書Tになったことから追加されました。また、日豪渡り鳥等保護協定会議でオーストラリアから絶滅危惧種の鳥類について通報があり、112種が追加され、28種が削除されました。
 日本でよく見られる鳥類については、チドリ目で大きな変化がありました。メダイチドリ、オオメダイチドリ、コオバシギ、オバシギ、サルハマシギ、ホウロクシギ、オオソリハシシギの亜種Limosa lapponica baueriL. l. menzbieriが追加、コアジサシSterna albifronsが削除され、コアジサシが亜種S. a. browniに変更されました(写真1, 2)。
メダイオオメダイ.jpg
写真1. 追加されたチドリ類.

オバシギたち.jpg
写真2. 追加されたシギ類の主な種.

 日本ではあまり見られない鳥類については、ムシクイ類、アホウドリ類、ミズナギドリ類、オウム類で追加が目立ちます。亜種まで細かく設定されているものも多いです。
 少し注意が必要なことは、オーストラリアからの通報で追加があった種は、オーストラリアからの視点での絶滅が危惧されている種なので、中国の視点、ロシアの視点、アメリカからの視点では、それぞれで通報種に挙げられる種が異なってきます。今回、コアジサシが削除され亜種に変更されましたが、これはオーストラリアからSterna albifronsの通報解除があり、アメリカから通報されていたS. a. browniが残ったためです。
 日本からの視点では、減少傾向にあるシロチドリ(環境省自然環境局生物多様性センター 2015)や減少しているといわれるコアジサシ(奴賀ほか 2016)が、国内希少野生動植物種や国際希少野生動植物種に入っていても良いかなという感じがします。国際希少野生動植物種に入るためには、日本の現状を把握し、国際会議等で減少傾向にある種の状況を報告し、各国でも絶滅危惧にあるということが認識されることが必要だと考えられます。

 
確認種リスト作成エクセルVer.20170202
 今回の種の保存法の改正にともない、確認種リスト作成エクセル(バードリサーチニュース2015年12月:6)にある、種の保存法該当種リストを更新し、確認種リスト作成エクセルをバージョンアップしました(図1)。
リストサンプル.png
図1. 確認種リスト作成エクセルの作業シート(クリックで拡大)

エクセルの中のシートに、新しい種の保存法該当種リストもつけています。和名が無いものについては、学名のまま掲載しています。その他の希少種情報や操作方法は以前と同じですので、旧バージョン(Ver.20151225)をお使いの方は、新しいバージョン(Ver.20170202)をダウンロードしなおして、お使いください。
アイキャッチ2.jpg
↑↑↑ダウンロード↑↑↑

関連サイト集
種の保存法
環境省
EICネット
政府広報オンライン

ワシントン条約(滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)
外務省
EICネット

二国間渡り鳥等保護条約・協定
環境省
EICネット

国内希少野生動植物種
環境省
EICネット

国際希少野生動植物種
環境省
EICネット

国際希少野生動植物種の加除等について
環境省


引用文献

環境省自然環境局生物多様性センター. 2015. 重要生態系監視地域モニタリング推進事業(モニタリングサイト1000)シギ・チドリ類調査業務第2期とりまとめ報告書. 環境省自然環境局生物多様性センター.

奴賀俊光・北村亘・早川雅晴. 2016. 南関東のコアジサシの動向と営巣地における保全対策. 日本鳥学会2016年度大会講演要旨集: 202.

奴賀俊光. 2015. 確認種リスト作成エクセル. バードリサーチニュース2015年12月: 6.
posted by ばーりさ at 12:01| その他

2016年10月22日

サイエンスカフェ「キツツキの科学」録画を公開します(神山・佐藤)

10月18日のブログでお知らせしていたLiferbirdのサイエンスカフェ、キツツキの科学(お話し:石田健さん)が、本日、池袋で開催されました。講演の録画は下記URLでご覧下さい。録画スイッチを入れ忘れていて、冒頭が切れてしまったことをお詫びいたします。

ChromeとFirefoxでしか視聴できませんが、サイズの大きな動画です。
 https://recordings.join.me/vP8cG61auEWyOzkm6gNDbg


Youtubeにもアップしました。上記よりサイズが小さいですが、いろんなブラウザで見られます。
 https://www.youtube.com/watch?v=8OQsPo1xJmU&feature=youtu.be

posted by ばーりさ at 20:14| その他