2015年09月15日

日本のスズメの歴史(田口文男 著)をご寄贈いただきました

 田口文男さんが集めてこられたスズメに関する情報が1冊の本となりました。身近な鳥の代表として、バードリサーチでも調査対象として取り組んでいるスズメですが、「身近」であることを、定量的に表現するのは、難しいものです。書籍や歌や絵画、地名などのなかに現れる頻度は、ひとつの指標になるかもしれません。ぼくらが、さあ、数えてみようと思うのはその中のひとつかふたつぐらいでしょう。田口さんの本の中では、ぼくには思い浮かびもしない日本文化の中に「雀」を見出して、紹介されています。その幅広い興味と探究心に驚きました。研究という分野の「はじまり」に出会えた気持ちがしました。この本の中ではスズメの研究に関する記録もまとめられており、その歴史に触れることができます。また、田口さんは英語に通じておられ、いくつもの論文を翻訳されて多くの研究者を助けて来られたそうですが、この本には日本語版と英語版が両方綴じられていて、海外の研究者の方への日本文化のススメ(スズメ?)にもなっています。

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 ぼくらは鳥について、一般の方に話をすることがありますが、生き物の生態に興味を持っている人であれば、基礎生態から最近の研究でわかってきたことに加えて、珍しい行動などを紹介すれば楽しんでいただけます。しかし、生き物にそれほど興味がない人だと途中で飽きてきてしまいます。そんなときは、生物学だけに頼らず、人の生活との関係に触れるといいですよね。すると、ぱっと話を聞いている方の表情がゆるみます。田口さんの本には、そういう時に役立つ話題がたくさん詰まっています。
 一般の方たち向けにスズメの話をする機会がある方は、その前に一度目を通して、田口さんの引き出しから情報を仕入れておくといいと思います。いくつか紹介したいところですが、スズメとその研究に関するありとあらゆる情報が詰まっていて、目移りして選べませんでした。
 この本、残念なことに300部限定の自費出版ということで在庫はないそうです。バードリサーチの事務所に遊びに来ていただければ、閲覧できますので、興味を持たれた方は、ぜひお越しください。そのほか、いくつかの図書館には献本されているそうなので、お近くの図書館で借りたいという方は、田口さんにお問い合わせください。
高木憲太郎

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日本のスズメの歴史
The History of the Tree Sparrow in Japan
田口文男 著
2015年8月1日発行 (非売品)
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連絡先: 田口文男
passeroitaliano@gmail.com
posted by ばーりさ at 16:26| 書籍紹介

2015年09月10日

Hello Birds 江の川流域の野鳥観察記録集[A−5版 320ページ] (漆谷光名著 佐々木印刷)をいただきました

 タイトルにある「江の川」は、広島県北部から島根県に流れ日本海にそそいでいる川です。本書は、広島県内の江の川流域で漆谷さんが25年間観察された鳥を中心に記録された鳥をまとめたものです。高木は、ここ数年、広島のカワウのためにしばしば呼ばれて当地に足を運んでおり、会議でお会いした際に1冊お譲りいただきました。

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 264ページまでは図鑑的な構成で、見開き1ページに、1〜4コマずつ写真付きで紹介されています。ただの図鑑と違い、著者が体験したことにもとづいて書かれているので、観察した際のイメージが伝わってきます。写真も、ミサゴの子育てや、魚を食べるヤマセミの連続写真などがあり、識別だけではない鳥の観察の楽しさに満ちています。そして、265ページから後ろが、秀逸です。種ごとにどの時期に観察されるかを、約10日ごとの期間にくぎって示されており(ここまでは普通の図鑑にもありますね。)、これに、1990年以降に漆谷さんが観察した回数及び羽数が数字で示され、経年変化についてもその増減傾向が記されているのです。これだけしっかりしたデータがあると、ある鳥が見たいと思ったとき、確実に見れそうな江の川へ行こう、と思ってしまうほどです。一度、漆谷さんの観察データを拝見させていただいたことがあるのですが、膨大なものでした。そして、それをこうしてまとめられたことも合わせて尊敬します。
 Hello Birdsのタイトルのとおりに、鳥に出会う楽しさと、記録することの大切さに出会える1冊です。ちょっと値段は高いですが、探鳥会をするグループに1冊ずつあると良いと思います。図鑑の代わりに、ぜひ。

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Hello Birds 江の川流域の野鳥観察記録集
漆谷光名著 佐々木印刷
定価4,590円(税込)
付録として漆谷さんが撮影されたCDと栞つき
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ご購入を希望される方は、著者の漆谷さんにご連絡ください。
定価4,590円(税込)のところ、特別価格3,000円(税込)+送料
で購入することができます。

漆谷光名
Tel:0824-62-1240 携帯:090-9730-0095
E-mail: w03fkc0a4b@hi3.enjoy.ne.jp
posted by ばーりさ at 13:25| 書籍紹介

2015年09月05日

世界の美しき鳥の羽根(藤井幹 誠文堂新光社)を寄贈いただきました

誠文堂新光社 より表記本を寄贈いただきました。ありがとうございました。
きれいな羽根を写真で紹介してある本です。「羽根ってきれいだね」と楽しむのがこの本の趣旨だと思いますが,
世界で一番羽根の長い野鳥がクジャクじゃなくてカンムリセイラン(長さ170cmを超えるそうです)だということを知ることができました。
出ていた羽根の中で,ぼくが,いちばん,おっと思ったのは,フキナガシフウチョウの羽。掲載されている羽根がそもそもボロボロになっていましたが,構造も,羽づくろいなどの手入れも大変そうな羽根なので,はえてからいったいどれくらいちゃんとした形状を保っていられるのだろうかと思いました。

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発売日: 2015年09月01日頃
著者/編集: 藤井幹, 松橋利光
出版社: 誠文堂新光社
ISBNコード: 9784416715536

posted by ばーりさ at 15:20| 書籍紹介

2015年04月26日

図書紹介:わたしの森林研究(直江将司)

森林総研の直江くんが本を書いたということで,著書を寄贈していただきました。

この本は,中学生/高校生くらいでもわかるように鳥の種子散布について書いた本で,茨城県北部の小川の森で行なった種子散布についての研究をわかりやすく紹介しています。直江くんは知る人ぞ知る大食漢なので,小川の森の調査では,そのあたりにある木の実を食べて,どこかで雉撃ちをして,種子散布にも貢献したんだろうな…と想像しながら楽しく読めました(調査を攪乱してしまうので,そんなことはしていないかな?)。
また,京都で行なったハシブトガラスの種子散布についても紹介されています。カラスは大きいので大型の種子を散布できるとか,長距離散布するということだけでなく,森から外に持ち出すことがほかの鳥と違うんだということなど,「なるほど」と思いました。


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■わたしの森林研究 〜鳥のタネまきに注目して〜
直江将司著

定価:(本体1400円+税)
ISBN978-4-378-03917-6
http://saela.co.jp/isbn/ISBN978-4-378-03917-6.htm
posted by ばーりさ at 16:54| 書籍紹介

2015年04月21日

図書紹介:藤田祐樹著 ハトはなぜ首を振って歩くのか

出張で新幹線に乗ります。そして、窓の外の景色を眺め、通り過ぎる富士山、空を舞う猛禽、あっ!あの田んぼに群れるカラスは・・・ミヤマガラス!??
このとき、僕の目玉は、自分で言うのもなんですが、とても器用に、そして正確に動いてくれます。だから、もの凄い早さで通り過ぎる外の世界に焦点を合わせ、網膜にくっきりと見たいものの姿を映すことができます。なんと素晴らしい僕の目玉でしょうか。
そう、鳥たちの目玉は僕の目玉のように美しい球形をしていません。ラケットにあたった瞬間の軟式テニスのボールのように押しつぶされた形をしているので、目玉を動かしてみるべき対象を常に視点の真ん中に捉えることができないのです。彼らは、いったいどうやってこの問題を解決しているのでしょうか?

藤田祐樹_歩くハト表紙ss.jpg公園に出かけて、ベンチに腰かけて、ただただぼーっとする、という機会は意外とあるようでないのですが、一度チャレンジしてみてください。目の前を通り過ぎるドバトが目に入ってくると思います。彼らの動きを見ていると、なぜか首を前に後ろに動かしながら歩いています。歩く速度があがると、首を振る速度も速くなります。ちょっと不思議な行動です。この行動に注目した研究者がいます。藤田祐樹さんです。斬新な視点から行われた研究はとても面白く、バードリサーチニュース2006年3月号にも記事を寄せていただきました。その藤田さんの研究のをまとめた本をご寄贈いただきましたので、ご紹介します。
藤田さんの文章はとても読みやすいのですが、本書では、人の歩行と鳥の歩行の違い、首を振って歩く鳥とそうでない鳥がいること、なぜ、その違いがあるのかなどについて、鳥の体の仕組みや生態の知識を上手に織り交ぜながら、一般の人にも、研究者にも、わかりやすく面白く解説されていて、たくさんの知識がすっと頭に入ってきます。じっくり鳥を観察する、調べることの楽しさを感じることができる1冊です。ぜひ、どうぞ。
高木憲太郎

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岩波科学ライブラリー 237
ハトはなぜ首を振って歩くのか
藤田祐樹 著  岩波書店
1200円(税別)
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詳しい内容は、岩波書店のサイトに載っています。しかも、動画つき!
岩波書店 more info
posted by ばーりさ at 18:45| 書籍紹介