2015年10月07日

図書紹介 動物のいのちを考える(高木)

 カワウの広域協議会や広域保護管理指針の作成を一緒にさせていただいた野生動物保護管理事務所の前代表の羽澄俊裕さんから、ご本人が分担執筆された書籍をいただきました。一緒に取り組ませていただいた当時のことが書かれており、思い起こしながら懐かしく感じました。
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動物のいのちを考える
高槻成紀/編著 政岡俊夫・太田匡彦・新島典子・成島悦雄・柏崎直巳・羽澄俊裕/共著
朔北社(税別 2200円)
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 主に題材として取り上げられているのは哺乳類ですが、「いのち」と正しく向き合うために読んでおくと良い本です。動物に興味を持っている人の中でも、野生動物に興味を持つ人もいれば、ペットや家畜などに興味を持つ人もいるでしょう。野生動物を扱う仕事はごく一部で、獣医や動物園の飼育員など飼育されている生き物を扱う仕事の方が多いように思います。本書は、6名の著者が分担し、ペット、家畜、動物園、人工受精やクローンなどに関わる実験動物、野生動物、震災と動物の関係を取り上げた6章で構成されています。鳥でも、鳥インフルエンザなどの病気がきっかけとなって、給餌の功罪が議論されることが増えましたが、根幹には「いのち」をどう捉えるか、という問題が横たわっているように思います。生き物を生態系のひとつの構成要素として見るのか、一つ一つの命として注目してみるのか、によっても、人によって考え方が変わってくると思います。取り上げられているどの分野にも鳥の仕事はありますが、それぞれの視点に触れておくことは、何かと役に立つでしょう。
 本書は、専門書というよりも、どちらかと言えば読みものです。この本は動物を扱う学問や仕事を志す学生の方にお薦めします。自分の生命観を見つめ直し、生き物に対するスタンスやバランス感覚を磨くことを助けてくれることでしょう。
posted by ばーりさ at 11:24| 書籍紹介

2015年09月15日

日本のスズメの歴史(田口文男 著)をご寄贈いただきました

 田口文男さんが集めてこられたスズメに関する情報が1冊の本となりました。身近な鳥の代表として、バードリサーチでも調査対象として取り組んでいるスズメですが、「身近」であることを、定量的に表現するのは、難しいものです。書籍や歌や絵画、地名などのなかに現れる頻度は、ひとつの指標になるかもしれません。ぼくらが、さあ、数えてみようと思うのはその中のひとつかふたつぐらいでしょう。田口さんの本の中では、ぼくには思い浮かびもしない日本文化の中に「雀」を見出して、紹介されています。その幅広い興味と探究心に驚きました。研究という分野の「はじまり」に出会えた気持ちがしました。この本の中ではスズメの研究に関する記録もまとめられており、その歴史に触れることができます。また、田口さんは英語に通じておられ、いくつもの論文を翻訳されて多くの研究者を助けて来られたそうですが、この本には日本語版と英語版が両方綴じられていて、海外の研究者の方への日本文化のススメ(スズメ?)にもなっています。

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 ぼくらは鳥について、一般の方に話をすることがありますが、生き物の生態に興味を持っている人であれば、基礎生態から最近の研究でわかってきたことに加えて、珍しい行動などを紹介すれば楽しんでいただけます。しかし、生き物にそれほど興味がない人だと途中で飽きてきてしまいます。そんなときは、生物学だけに頼らず、人の生活との関係に触れるといいですよね。すると、ぱっと話を聞いている方の表情がゆるみます。田口さんの本には、そういう時に役立つ話題がたくさん詰まっています。
 一般の方たち向けにスズメの話をする機会がある方は、その前に一度目を通して、田口さんの引き出しから情報を仕入れておくといいと思います。いくつか紹介したいところですが、スズメとその研究に関するありとあらゆる情報が詰まっていて、目移りして選べませんでした。
 この本、残念なことに300部限定の自費出版ということで在庫はないそうです。バードリサーチの事務所に遊びに来ていただければ、閲覧できますので、興味を持たれた方は、ぜひお越しください。そのほか、いくつかの図書館には献本されているそうなので、お近くの図書館で借りたいという方は、田口さんにお問い合わせください。
高木憲太郎

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日本のスズメの歴史
The History of the Tree Sparrow in Japan
田口文男 著
2015年8月1日発行 (非売品)
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連絡先: 田口文男
passeroitaliano@gmail.com
posted by ばーりさ at 16:26| 書籍紹介

2015年09月10日

Hello Birds 江の川流域の野鳥観察記録集[A−5版 320ページ] (漆谷光名著 佐々木印刷)をいただきました

 タイトルにある「江の川」は、広島県北部から島根県に流れ日本海にそそいでいる川です。本書は、広島県内の江の川流域で漆谷さんが25年間観察された鳥を中心に記録された鳥をまとめたものです。高木は、ここ数年、広島のカワウのためにしばしば呼ばれて当地に足を運んでおり、会議でお会いした際に1冊お譲りいただきました。

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 264ページまでは図鑑的な構成で、見開き1ページに、1〜4コマずつ写真付きで紹介されています。ただの図鑑と違い、著者が体験したことにもとづいて書かれているので、観察した際のイメージが伝わってきます。写真も、ミサゴの子育てや、魚を食べるヤマセミの連続写真などがあり、識別だけではない鳥の観察の楽しさに満ちています。そして、265ページから後ろが、秀逸です。種ごとにどの時期に観察されるかを、約10日ごとの期間にくぎって示されており(ここまでは普通の図鑑にもありますね。)、これに、1990年以降に漆谷さんが観察した回数及び羽数が数字で示され、経年変化についてもその増減傾向が記されているのです。これだけしっかりしたデータがあると、ある鳥が見たいと思ったとき、確実に見れそうな江の川へ行こう、と思ってしまうほどです。一度、漆谷さんの観察データを拝見させていただいたことがあるのですが、膨大なものでした。そして、それをこうしてまとめられたことも合わせて尊敬します。
 Hello Birdsのタイトルのとおりに、鳥に出会う楽しさと、記録することの大切さに出会える1冊です。ちょっと値段は高いですが、探鳥会をするグループに1冊ずつあると良いと思います。図鑑の代わりに、ぜひ。

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Hello Birds 江の川流域の野鳥観察記録集
漆谷光名著 佐々木印刷
定価4,590円(税込)
付録として漆谷さんが撮影されたCDと栞つき
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ご購入を希望される方は、著者の漆谷さんにご連絡ください。
定価4,590円(税込)のところ、特別価格3,000円(税込)+送料
で購入することができます。

漆谷光名
Tel:0824-62-1240 携帯:090-9730-0095
E-mail: w03fkc0a4b@hi3.enjoy.ne.jp
posted by ばーりさ at 13:25| 書籍紹介