去年,事務所にクモを食べにヒヨドリが来ていることニュースで報告しましたが,
ヒヨドリは蜘蛛の暮らしを知っている:バードリサーチニュース 2022年8月: 5
今年もヒヨドリがしばしばやってくるようになりました。
ただ,ちょっと覗いては,去って行ってしまいます。まだ看板にいるクモが小さいから,大きくなるのを待っているのかな? と思い,クモの大きさを測ることを試みました。
でも 1mmとかの小さなクモをどうやって測るのだろうと,クモの研究者に聞いてみたところ,ノギスをできるだけ近づけて測るか,等距離で撮影して,測るということをしているのだそうです。
ノギスは手が震えるぼくには無理な話なので,等距離の撮影を試みました。
つくった装置がこれ。かっこいいでしょ。
これを看板に押し当てて,撮影しようという企画です。そして,同様に撮った物差しと重ねると。
測れました。でも問題が2つ。
1つ目は,クモが網を張り始めるより前ならよいのですが,張った後だと,看板に棒を押しあてたときに網に触ってしまって,クモが逃げてしまうこと。9個体中3個体に逃げられました。網を張り始めるより前に撮るか,別の方法を検討した方がよさそうです。
2つ目は,時期を逸してしまったこと。どうやって測ろうか考えてモタモタしているうちにクモが大きくなってヒヨドリがクモを食べ始めてしまったのです。やろうと思った時に即座に始めないとだめですね。クモの成長が速いことを実感できたとともに,人生の教訓も得られました。
ということで,この検証は今年はできそうにありませんが,ヒヨドリとクモの関係はほかにも調べたいなと思っていることがあって,そのデータも取り始めていますので,結果が出ましたら,またブログかニュースレターでご紹介したいと思います。
2023年06月12日
今年もBR事務所にクモを食べにヒヨドリがやって来ました
posted by ばーりさ at 10:18| 活動報告
2023年06月08日
大阪で講演をしました
6月3日、日本バードレスキュー協会・日本野鳥の会ひょうご・日本野鳥の会大阪支部共催の第23回鳥類学講座に、講師として呼んでいただきました。
大雨の影響で前日から新幹線が動かず、どうしたものかと思いましたが、羽田–神戸の飛行機で会場にたどりつけました。会場でもあり大阪支部も入っている建物、素敵ですね。
3時間の講演で、私が大学院で行っていたアカショウビンの生態や渡りについての話と、バードリサーチで少しずつ作っている気軽な研究参加のための仕組みづくりや今後の野望について話をしました。講演の後には、バードリサーチに新しく入会してくれた方も多く、楽しんでいただけたかなとホッとしました。
声をかけてくださった日本バードレスキュー協会、特に村濱さんはじめ、日本野鳥の会ひょうご・大阪支部の皆様、ありがとうございました。
大雨の影響で前日から新幹線が動かず、どうしたものかと思いましたが、羽田–神戸の飛行機で会場にたどりつけました。会場でもあり大阪支部も入っている建物、素敵ですね。
3時間の講演で、私が大学院で行っていたアカショウビンの生態や渡りについての話と、バードリサーチで少しずつ作っている気軽な研究参加のための仕組みづくりや今後の野望について話をしました。講演の後には、バードリサーチに新しく入会してくれた方も多く、楽しんでいただけたかなとホッとしました。
声をかけてくださった日本バードレスキュー協会、特に村濱さんはじめ、日本野鳥の会ひょうご・大阪支部の皆様、ありがとうございました。
posted by ばーりさ at 15:31| 活動報告
クロジ増加? モニ1000 大佐渡調査2回目
モニタリングサイト1000の調査で、植田さんからの引き継ぎのため、高木さんに続いて私(植村)も佐渡(大佐渡→小佐渡の2コース)の調査に行ってきました!
高木さんの報告はこちら。
調査の前日に佐渡入り。私は初めての佐渡だったので、植田さんに環境や景色を案内してもらいました。
ちょうど見頃だったトビシマカンゾウの群落
大王杉と植田さん 佐渡にはスギの巨木がたくさんあるそうです
大佐渡の調査コースで日の出前に調査を始めるとなると、早朝に車で長い山道を登るのも大変です。そこで前日のうちに調査コースの始点に着いて、私は車、植田さんはテントで寝ました。6月頭でもまだまだ寒い!快適に寝るには冬用の寝袋が必要です。
調査は朝3:58分に開始(日の出の30分くらい前)、5つあるうちの最初の定点では夜明けに飛ぶヨタカの声も記録されました。
モニ1000の調査では5つの定点をそれぞれ10分ずつ、1つ目の定点から5つ目の定点まで行って帰っての2回ずつ行います。定点間の移動もあるので全部では1コースあたり2時間半から3時間かかります。まだ真っ暗な調査開始から、すっかり林内にも日が差す調査終わりまで、さえずる鳥が少しずつ入れ替わるのを感じながら調査を行いました。
記録された鳥の中で、クロジは過去の調査を見ても今回が最も個体数が多かったことがわかりました。
大佐渡で記録されたクロジの個体数の推移
クロジは全国鳥類繁殖分布調査でも記録地点数が増えている鳥ですが、分布が拡がるだけでなく生息密度も高くなる傾向が他の調査地でもあるのか、今回の繁殖期の全国からのデータが返ってきたら見てみようと思います。
調査の後は下山してトキを見に行きました!保護増殖事業の長い努力によって、野生下のトキは500羽を超えたそうです。しかし、佐渡でも簡単に見れるわけではなく、それなりに探してやっと数羽を見ることができました。
それからカツ丼を食べ、温泉に入って、翌日は小佐渡の調査をして帰途につきました。
このブログで紹介されるカツ丼の撮影風景
高木さんの報告はこちら。
調査の前日に佐渡入り。私は初めての佐渡だったので、植田さんに環境や景色を案内してもらいました。
ちょうど見頃だったトビシマカンゾウの群落
大王杉と植田さん 佐渡にはスギの巨木がたくさんあるそうです
大佐渡の調査コースで日の出前に調査を始めるとなると、早朝に車で長い山道を登るのも大変です。そこで前日のうちに調査コースの始点に着いて、私は車、植田さんはテントで寝ました。6月頭でもまだまだ寒い!快適に寝るには冬用の寝袋が必要です。
調査は朝3:58分に開始(日の出の30分くらい前)、5つあるうちの最初の定点では夜明けに飛ぶヨタカの声も記録されました。
モニ1000の調査では5つの定点をそれぞれ10分ずつ、1つ目の定点から5つ目の定点まで行って帰っての2回ずつ行います。定点間の移動もあるので全部では1コースあたり2時間半から3時間かかります。まだ真っ暗な調査開始から、すっかり林内にも日が差す調査終わりまで、さえずる鳥が少しずつ入れ替わるのを感じながら調査を行いました。
記録された鳥の中で、クロジは過去の調査を見ても今回が最も個体数が多かったことがわかりました。
大佐渡で記録されたクロジの個体数の推移
クロジは全国鳥類繁殖分布調査でも記録地点数が増えている鳥ですが、分布が拡がるだけでなく生息密度も高くなる傾向が他の調査地でもあるのか、今回の繁殖期の全国からのデータが返ってきたら見てみようと思います。
調査の後は下山してトキを見に行きました!保護増殖事業の長い努力によって、野生下のトキは500羽を超えたそうです。しかし、佐渡でも簡単に見れるわけではなく、それなりに探してやっと数羽を見ることができました。
それからカツ丼を食べ、温泉に入って、翌日は小佐渡の調査をして帰途につきました。
このブログで紹介されるカツ丼の撮影風景
posted by ばーりさ at 13:29| 活動報告
今年はホトトギスもカッコウもやや早め
6月に入り,ホトトギスもカッコウも初認情報が落ち着いてきました。そこで,過去からの情報を集計してみました。
まずはホトトギス。南日本でも普通にみられるだけにカッコウよりも初認情報がずっと多いです。早く渡来した年年は,2018年や2020年がありましたが,そこと比べると遅いものの,今年も早い年の一つにはいります。
続いてカッコウ。カッコウは北日本や南日本では標高の高い場所に分布します。それもあって,ホトトギスよりも初認件数は少なめです。
パターンはほぼほぼホトトギスと一緒。早かったは2017年,2018年,2020年ほどではありませんが,やはり今年も早い年の1つと言えました。
これで,ほぼほぼ繁殖期の季節前線ウォッチは終了です。まだ記録をお送りいただいていない方がいらっしゃいましたら,情報お送りください。こうした集計に使わせていただきます。
posted by ばーりさ at 13:20| 活動報告
2023年06月07日
大佐渡のメジロは朝寝坊
モニタリングサイト1000の結果から,標高の高いところでは照葉樹林の鳥が増加しつつあることが見えてきています。そんな鳥の1つがメジロです。
ぼくが担当している調査地の中では大佐渡(標高870m)では顕著に増加していて,秩父(1200m)では徐々に増加してきています。
メジロというと,日の出頃にワーッとさえずり始めて,その後落ち着くイメージありますよね。
森の鳥の聞き取り調査を行なっている富士山中湖のサイトではメジロが毎朝さえずるのですが,その頻度を見てみると,日の出前に最も活発に鳴いて,その後,だんだん不活発になっていくのがわかります。
それに対して,大佐渡の調査では,早朝にさえずりを聞くことがほとんどない気がしていました。
で,これまでの結果を集計してみました。
モニタリングサイト1000では,5か所の定点を往復して,日に2回調査します。その前半の調査(日の出に近い早い時間帯)と後半の調査(遅い時間帯)でさえずり頻度を比較してみたのです。
佐渡には2か所の調査地があり,これまでもメジロがいた小佐渡の調査地と,最近増えている大佐渡の調査地があるのですが,小佐渡の調査地は早朝によくさえずっているのが記録され普通のメジロのパターンなのですが,大佐渡は,感じていたとおり,早い時間にさえずらず,遅い時間の方が多いのがわかります。
標高の高くて気温の低い場所では,早朝はメジロには寒すぎるのでしょうか? それともまだまだ密度が低くてライバルが少ない場所では,張り切って早朝からさえずる必要がないのでしょうか?
いろいろな場所のデータがあつまってくると,その理由もわかるかもしれないですね。
ぼくが担当している調査地の中では大佐渡(標高870m)では顕著に増加していて,秩父(1200m)では徐々に増加してきています。
メジロというと,日の出頃にワーッとさえずり始めて,その後落ち着くイメージありますよね。
森の鳥の聞き取り調査を行なっている富士山中湖のサイトではメジロが毎朝さえずるのですが,その頻度を見てみると,日の出前に最も活発に鳴いて,その後,だんだん不活発になっていくのがわかります。
それに対して,大佐渡の調査では,早朝にさえずりを聞くことがほとんどない気がしていました。
で,これまでの結果を集計してみました。
モニタリングサイト1000では,5か所の定点を往復して,日に2回調査します。その前半の調査(日の出に近い早い時間帯)と後半の調査(遅い時間帯)でさえずり頻度を比較してみたのです。
佐渡には2か所の調査地があり,これまでもメジロがいた小佐渡の調査地と,最近増えている大佐渡の調査地があるのですが,小佐渡の調査地は早朝によくさえずっているのが記録され普通のメジロのパターンなのですが,大佐渡は,感じていたとおり,早い時間にさえずらず,遅い時間の方が多いのがわかります。
標高の高くて気温の低い場所では,早朝はメジロには寒すぎるのでしょうか? それともまだまだ密度が低くてライバルが少ない場所では,張り切って早朝からさえずる必要がないのでしょうか?
いろいろな場所のデータがあつまってくると,その理由もわかるかもしれないですね。
posted by ばーりさ at 15:34| 活動報告