2023年10月06日

大都会のムクドリねぐら調査

ムクドリは街中の駅前やビルのそばなど人通りの多いところに大きなねぐらを作ることがあります。
バードリサーチでは全国からムクドリのねぐら情報を収集し、どういうところにムクドリがねぐらをつくりやすいのかを調べています。
ムクドリのねぐら調査プロジェクト

都市でムクドリは増加傾向にありますが(参照 バードリサーチニュース2020年2月: 1 )、いわゆる大都会ではムクドリのねぐらは多くないようです。例えば東京都内では約40箇所でねぐらが記録されていますが、そのうち山手線の内側にあるのは2箇所だけです(下図の赤い2地点)。
(画像はクリックすると高解像度のものを見られます)
ムクドリねぐら_山手線の内側.png

大都会にあるムクドリのねぐらはどんなところに作られているのか、渋谷区の表参道にあるねぐらを見に行きました。
夜になっても人通りが多い場所です。
表参道.jpg
表参道には大きなケヤキの並木が続いていて、そのうちほんの1, 2本の木がムクドリのねぐらになっています。下の画像で赤い丸で囲んだ場所にムクドリのねぐらがあります。
ムクドリねぐら_表参道1.jpg
この場所の個体数は多くても200羽ほどで、ねぐらとしては小さい方です。
これまで、他の場所で行った調査では、ムクドリのねぐらは隣り合う木との枝葉間の距離が空いている場所が選ばれる傾向がありました。しかし、表参道のねぐらは、少なくとも片面は、隣り合う木と枝葉がかぶっていました。ただし、街路樹の列の端っこにあるので、もう片方の面は大きく開けており、近くにある明治神宮から来るであろうオオタカなどの捕食者を早く発見できる場所なのかもしれません。また、表参道の中でも一際明るい一角にあったことも印象的でした。

先日は神奈川県の大和駅前の街路樹でもねぐらの調査をしてきました。
調査と解析を続け、ねぐら環境を明らかにしていこうと思います。
posted by ばーりさ at 13:36| 活動報告

2023年09月30日

Cordillera Green Networkの反町さんが事務所に来てくれました

フィリピンのコーヒー農園での野鳥調査で一緒に活動していて、普段はフィリピン在住の反町眞理子さん(Cordillera Green Network)がバードリサーチの事務所に来てくれました。来年からの野鳥調査の打合せのためです。

ニュースレターの「フィリピンのコーヒー農園を夏鳥の越冬地にしたい」で書いたように、反町さんたちのCGNはアグロフォレストリーで持続可能なコーヒー生産をする農家を助けて、そのコーヒーを日本に輸出しています。バードリサーチではそうしたコーヒー農園の景観の違いによってどのくらい野鳥が生息しているのか、また自然林との差はどういうことがあるかを調べます。

右から2番目が反町さん。左端が神山。
反町.jpg

数日前、反町さんと東京ビッグサイトのコーヒー見本市に行きました。写真は、反町さんたちが支援している農家の(そしてバードリサーチの調査地でもある)コーヒーを日本で販売している海の向こうコーヒーのイベント会場のようすです。インドネシアの小規模生産者のコーヒーを紹介していました。
うみむこ.jpg

反町さんからお土産にもらった、フィリピン国内で販売しているコーヒーです。
ヤガムコーヒー.jpg

posted by ばーりさ at 15:15| 活動報告

2023年09月29日

シギ・チドリ類の秋の渡りが不調(守屋)

シギ・チドリ類の全国調査の事務局をバードリサーチは担当しています。
今年の秋はどうも例年と様子が異なり、経験がないほどシギ・チドリが観察できていません。
多くの調査関係者が心配している状況です。

199w-2022S_シギチドリ増減傾向.jpg
これは去年の夏ごろ作成した資料です。
全国調査で確認されるトウネン個体数の推計を表したもので、2000年から2022年春までの結果を示してます。
今計算したら、2022年秋は前年の60%程度で、5000羽を切っていました。
秋の代表的な旅鳥のトウネンは、変動しながら減少傾向が続いていましたが、手ごたえの良くない今秋は、さらにどうなってしまうのか。

時期がずれているだけならよいのですが、渡りに大きな変化があったのか?
今年の異常な猛暑も影響があったのかもしれません。続きを読む
posted by ばーりさ at 17:42| 活動報告

セキレイ類は3種とも動物食

駅前のコンクリート三面張りの水路でセグロセキレイが採餌しているのを観察しました。手持ちのカメラで最大にズームして、餌をとる瞬間を撮影してみましたが、黒くて小さい丸いものをつまんでいることはわかるものの、それが何なのかは全然わかりませんでした。時間があるときなら水路に入って何がいるのか見てみようかなという気が起こるかもしれませんが、新幹線に乗る前だったのでそこまでは余裕がなく、「不明」のものを食べていた、として食性データベース用に記録しました。

食性データベースにはセキレイ類の投稿もたくさんきているので、これまでに寄せられたセキレイ類の採餌記録を見てみました。これまでの記録では、ほとんどが動物食の記録です。先行研究でも、セキレイ類はかなり動物食の傾向が強いようです。
セキレイ類採餌記録.png

セグロセキレイ3.JPG

キセキレイで1件あった植物の記録は「凍った池の水面を歩き、散らばったイヌシデなどのタネをついばむ」というもの。また、この図には入れていませんが、ハクセキレイで1件だけ加工食品の採餌記録がありました。落ちていた唐揚げをついばんでいたそうです。「不明」となっている記録は全てが「嘴の長さより小さい」ものでした。
餌の大きさについてみてみると、こちらも3種ともはっきりした違いはありませんが、ハクセキレイは「嘴の長さより小さい」ものを食べた記録が全体の50%で他の2種よりも高いことがわかりました。

セキレイ類食性_大きさ分布.png

セグロセキレイ1.JPG

分からなかったという記録も動物だった植物だったという記録と同じく貴重な記録なので、ぜひ登録してください!食べ物が不明でも、餌取りをしていた場所のデータなどとして使えます。今回は、3種のセキレイ類がどのような場所で餌を食べるのか、場所のデータを使った解析もしてみました。どのくらい多様な場所で採餌をしているかについて調べてみたところ、ハクセキレイが他の2種と比べると多様な環境を使っているという傾向がありました。まだまだ記録が少ないので、もう少し記録が増えたら改めて調べてみようと思います。

セグロセキレイ2.jpg

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posted by ばーりさ at 16:16| 活動報告

2023年09月25日

イソヒヨドリはやっぱり海辺の鳥

全国鳥類繁殖分布調査の調査コースの海岸からの距離を測ったので,ついでにイソヒヨドリについてまとめてみました。

イソヒヨドリは内陸に分布を拡げているので,情報収集をすると,どうしても内陸の情報がたくさん集まってしまい,あたかも内陸の方が多いかのようなデータになってしまいます。そこで,調査コースを均等配置して調査している繁殖分布調査の現地調査のデータから海岸からの距離別に,記録率や,90年代からの比較をしてみました。

イソヒヨドリ.png

するとこんな感じです。確認率でみると,海からの距離が離れるにつれて確認率が下がってきて,やはり海辺の鳥だということがわかります。内陸部への進出が顕著な近畿から関東にかけての地域だけにしぼっても,海岸から1-2kmあたりが,全国よりも多い傾向はあるものの(これについては内陸部への侵出というよりは,山が海岸まで迫っていないとか地形的な原因か?)それほど違いはありませんでした。
また,海岸から1-2kmより遠い場所は1990年代には記録されず,2010年代になって記録されたコースが多いことから,近年の内陸部への進出が顕著であることも確認できました。
20年後の調査ではどうなっているかは,現時点ではわかりません。でも,開けた環境にいる鳥であることを考えると,内陸の都市にさらに分布するようになるとは思いますが,海辺の鳥ということは変わらないのでは,と思います。

ちなみに,調査コースの海岸からの距離は,ArcGISだと線までの最近接距離を簡単にだせましたが,今使っているQGISだとちょっと厄介で,まず海岸線に等間隔に点を打って,それを海岸線とみたてて,そこからコースまでの距離を計測させることが必要なので,ある程度誤差のある距離になってしまいました。指標としては十分ですけど。



posted by ばーりさ at 13:25| 活動報告