2017年08月30日

鹿島灘 シギチカウント(守屋)

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秋季のシギチドリモニタリングを実施しています。
昨日は、茨城県の鹿島灘にシギチドリのカウント調査に行ってきました。
シギチドリは9種330個体を数え、時期的に徐々に増えてきているように思います。
砂浜往復3時間とヘッドランド巡りがある国内でもなかなかハードな調査地ですが、ビーチコーミングが好きな方にはお勧めです。
今年はコアホウドリ?の漂着遺骸が4つ、ウミガメも5つありました。またゴミの多いこと!
波浪のせいなんでしょうか?
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なお、鹿島灘は定期的にカウントしてくれる方を募集してます!

また、トウネンの幼鳥成鳥比の試験調査のため、トウネンをじっくり観察しましたが、ほぼ幼鳥個体でした。
成鳥は幼鳥より、一般的に早く通過していくため今年はもう通過したのかもしれません。
もし、トウネンを観察する機会がありましたら下段に詳細を掲載しましたので、ご報告いただけると幸いです。

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今回観察したシギチドリ
コチドリ8、シロチドリ21、メダイチドリ4、キョウジョシギ1、トウネン82、オジロトウネン1幼鳥、ミユビシギ210、キアシシギ2、ソリハシシギ1

【トウネン 幼⿃/成⿃ ⽐率調査】
【目的】
 秋季に移動するシギ・チドリの幼⿃/成⿃⽐は、繁殖地での繁殖が順調だったかを推し測るツールである可能性があります。近年、国内で⽬に⾒えて減少するシギ・チドリ類の⽣息環境以外の状況を把握したいと考えており、まずは、秋季の渡り調査で個体数の多い種であるトウネンを対象としたいと考えています。
 問題は、いろいろな偏りがあることです。渡りの初期に成⿃が、後期に幼⿃が渡っていくことが知られています。また群れの中や環境中でも、よくいる場所が成⿃・幼⿃では異なる可能性があり、なるべく多くのデータを集めたいと考えています。
【方法】
 ご参加いただける⽅は、秋の渡りシーズンに8 ⽉と9 ⽉に各1回以上 幼⿃と成⿃の個体数をカウントしてください。地域によって渡来のピークは異なるため、調査の時期は任意で⾏ってください。
 必ずしも調査地内のすべてのトウネンの成⿃、幼⿃を識別する必要はありません。⼤きな群れがいた場合、その中の例えば50~100 ⽻を対象として幼⿃/成⿃を数える。その場合は調査地内で場所を変えて3 セット⾏ってください。
 調査⽤紙に成⿃と幼⿃の数を記⼊してください。複数回⾏った場合は分けてご報告下さい。
【分析】
 全国のデータを時期別(地域別)にまとめ、⽐率をまとめます。初年度調査は基礎的な傾向を明らかにしたいと考えています。
 また、過去に幼⿃/成⿃比率が⽐較できるデータなどありましたら教えていただければ幸いです。
posted by ばーりさ at 13:06| 活動報告

2017年08月28日

伊豆諸島調査お疲れ様会を開催しました(佐藤)

 5月〜6月にかけて実施した伊豆諸島調査のお疲れ様会を都内某所で行いました。
伊豆諸島調査は船での移動や宿泊などが伴ったため、調査員さん同士の交流する機会が多かったように思います。図2.png
そのためか、お疲れ様会は25名の方にお集まりいただき、終始盛り上がりました。

お疲れ様会の冒頭で、調査結果の概要を少し紹介しました。ここではその一部を紹介します。
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まずは調査規模です(暫定値)。
調査員:50名
調査実施メッシュ:298メッシュ
調査実施島:12島(小笠原諸島含む)
観察種:71種
総観察個体数:18,491羽
総調査時間:173時間28分

当初、9島での実施予定でしたが50名もの調査参加者のおかげで小笠原諸島を含め12島、298ものメッシュ(およそ1km×1kmの区画)のデータが集まりました。ほとんどのメッシュでは1kmのラインセンサスを行い、そこで観察した鳥の種類、個体数、繁殖行動などを記録していて、全部で18491羽もの鳥を観察しています。

次に繁殖分布図です。ここでは、アカコッコとホオジロ、コマドリの分布図を出します。
(各島の位置については、このサイトをご参照ください。)

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 伊豆諸島を代表するアカコッコ。繁殖期には三宅島以南で広く観察する事ができました。今回、大島では観察されていませんが、冬になると北上(!)するので、大島や静岡県でも観察できるそうです。

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 次にホオジロ。伊豆諸島の有人島9島全てで観察されています。面白いのは八丈島。北の方ではよく観察されていますが、南の方ではほとんど観察されていません。これは北と南の環境の違い(南の方がより森林性)によるものです。細かな調査なので、環境の違いもはっきりと結果に出ています。

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 最後にコマドリ。利島と三宅島以南で観察されました。伊豆諸島のコマドリは本州と亜種が異なり、タネコマドリです。ここで興味深いのは、三宅島と利島の間の島にはコマドリが観察されませんでした。このように、飛び飛びの分布をしている種は他にも見られました。また、八丈島ではホオジロと反対の分布を示しており、これも環境をよく示しています。

お疲れ様会では上記の種以外の分布も紹介したところ、多くの方からご意見や激励を頂きました。それらのご意見を参考にしながら、データを整理して発信していきます!

posted by ばーりさ at 17:40| 活動報告

2017年08月23日

爺ヶ岳登頂_8月後半なるもさえずり続ける鳥のなぞ(高木)

先週、録音機を設置してもらっている北アルプスの種池山荘へ行ってきました。昨年は天候の悪化が予想されたので急遽宿泊せずに日帰りで下山しましたが、今年は一泊させてもらい、爺ヶ岳の山頂を目指しました。と言っても、標高2450mの山荘から標高2669mの爺ヶ岳までは1時間少々。あとは、山荘でゆっくりさせてもらいました。山荘の休憩室で見つけた本のタイトルが「40歳からの山歩き」。そして帯には「熟年世代の入門コース精選60!」の文字・・・。今年、僕も40才。そうか、もう熟年なのか、と妙に神妙になりました。
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 気をとりなおして(?)、鳥の話をしましょう。春も過ぎて夏になると森林の鳥たちのさえずりは不活発になりますが、8月後半だというのにウグイスとメボソムシクイは活発にさえずっていました。さすがにルリビタキは下火で、うじゃうじゃいるはずの標高2000mより上でも彼らのさえずりはちらほら、やや遠くから聞こえるだけ。むしろウソのほうが多いぐらいで、鳴く頻度も高いようでした。ウソの生態をあまりよく知らないのですが、麓で元気だったカラ類の家族群のように、子連れの時期にコミュニケーションを活発にとるのでしょうか?
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爺ヶ岳に南から登る柏原新道では、7〜8月の夏期は標高2100mあたりが一番鳥が多い。個体数も種数も。針葉樹に広葉樹、低木、ササ薮がほどよく混ざっているからなのか。

 さて、ウグイスです。まあ、よく鳴いていました。なんでこんなにいつまでも鳴いているのか、と今更ながら思いました。この疑問に対する答えは、妙高高原で濱尾さんが行われた研究で明らかにされています(濱尾 1992)。ウグイスは一夫多妻の婚姻システムを持っているので、オスはさえずり続けることで、より多くのメスとつがいになろうとしているのです。では、ウグイスでは、オスよりメスの方が多いのか、というとそうではありません。巣内ヒナの性比がメスに偏っている、ということはないようなのです。ウグイスでは、巣の卵やヒナが天敵に捕食される頻度が高く、一度つがいになったメスが繁殖に失敗した後、別のオスとつがいになるため、雌雄同数でも一夫多妻が維持される、というわけです。
 では、メボソムシクイはどうでしょう?ウグイスは一夫多妻でオスは育雛を免除されていますが、メボソムシクイは一夫一妻でオスはヒナへの給餌を手伝います。おや?どうも同じ論理で片づける、というわけにはいかないようです。ですが、捕食圧は高いようでヘビ類のほかテンによる捕食も確認されています(齋藤 2011)。繁殖失敗を繰り返すために、遅くまでさえずらなくてはならないのかもしれません(捕食圧の高い鳥はほかにもいっぱいいるので、寿命が短いとか、季節の後半でも餌条件が変わらないとか、ほかにいくつかの要因が絡んでいるのだとは思いますが。)。
 ウグイスやメボソムシクイはなかなか姿を見ることができませんが、テンやオコジョも滅多に出会えません。僕らの目の行き届かない薮の中で、彼らの生存をかけた激しい戦いが静かに繰り広げられている。もし、メボソムシクイが夏にさえずらなくなったとしたら、それは、捕食者の絶滅の危機を知らせるサインかもしれません。こう考えるのは、憶測が過ぎるでしょうか(笑)。
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薮の奥ではどんなドラマが展開されているのでしょう?

DATA
今年は、だいぶ低い標高でメボソムシクイを確認。登山口に近い1530mでさえずっていた。その他、いくつかの種の出現標高の下限は下記の通り。(さえずりの確認には時期が遅いので、あくまで参考まで)
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2120m ホシガラス、ウソ
1800m ルリビタキ
1530m メボソムシクイ(1羽のみ、ほかは1800m以上)
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引用文献
濱尾章二.1992.番い関係の希薄なウグイスの一夫多妻について.日鳥学誌 40: 51-66.
齋藤武馬.2011.生態図鑑メボソムシクイ.バードリサーチニュース 2011年11月号: 2-3.
posted by ばーりさ at 16:31| 活動報告