2023年08月05日

ちょっと変わったイワツバメの巣

うちの嘱託研究員のSimbaが,イワツバメの巣の写真を送ってくれて,変わった巣だったので,朝のサイクリングのルートをちょっと変えて見に行ってきました。

こんな巣です。ツバメの巣のように,上があいています
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普通のイワツバメの巣はこんな感じで,天井のすぐ直近につくられ,上まで泥で覆われていて,隙間からイワツバメは
出入りします。
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この巣があったのは,中央道の高架下なのですが,外に近い場所は,両側とも普通のタイプのイワツバメの巣が作られていて,奥の方だけに上があいた巣が作られていました。
外に近い場所は,カラスに襲われることも多いので,襲われにくい天井直下につくられていて,奥の方は,カラスがあまり入ってこないので,カラス対策よりは,とっかかりがあって,巣が安定して作れる下の方に巣をつくるので,上があいているとかだと面白いなぁと思いましたが,このくらい幅の高架だと,奥の方にカラスが入って来にくいということはなさそうなので,違うでしょうね。


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こうした調査や通勤に30年かそれ以上乗ってきた愛車ですが,まもなく,さようならします。加速するとフレームが軋むようになってきてしまっていて,そろそろ寿命かな,と。来週,新車がやってきます。自転車屋さんは,今のロードは別の乗り物ですよと言っていたので,楽しみです。

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posted by ばーりさ at 09:31| 活動報告

2023年08月03日

夏の暑さで記録枯れ?

暑い日が続きますね。
今月の食性データベースを更新して、記録数を集計してみました。7月はなかなか記録が増えないなぁと日々見ていたのですが、今月は40件の記録にとどまりました。
ここ半年間の記録数はこんな感じです。
食性記録数202303–08.png

春先は食性データベースに限らず色々な調査の記録をたくさん送っていただけるのですが、暑すぎるためか、夏にはガクンと少なくなる傾向があります(2月も少ないですね、寒さも効いてる?)。

記録件数が最も多いヒヨドリについて、記録件数と餌の内容(動物/植物)を見てみました。やはり夏の記録はまだまだ少ないですね〜!どこにでもいるヒヨドリですが、食性についてのまとまった情報は実はこれまでにもほとんどありません。みなさんと記録を蓄積していけたらと思っています。
ヒヨドリ_食性季節変化.png

ヒヨドリは標高100m未満の場所では分布が縮小、500mから1000mの場所では分布が拡大しています(バードリサーチニュース 2022年11月: 2)。分布が変化した理由はよくわかっていませんが、色々な場所や季節で餌の情報をためたら、もしかすると何か手がかりが得られるかもしれません。

この夏、登山やキャンプ、帰省や旅行などでいつもと違うところに行ったときには、餌を食べている鳥の行動にも注目してみてください!もちろん、庭にくるヒヨドリが食べた餌のような、身近なところでの記録もお待ちしてます〜!
投稿写真も募集中
posted by ばーりさ at 17:23| 活動報告

2023年07月26日

秩父演習林から巣箱を回収:ヤマガラの繁殖時期調査

秩父演習林から,春に設置した巣箱を回収をしてきました。もう,全ての巣箱で繁殖は終わっていました。ふ化しなかった卵が残されているくらいで,あとは,カマドウマの城と化していました。


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孵化しなかった卵3卵が残ったヤマガラの巣。


この調査の目的は,鳥の繁殖への気候変動の影響を明らかにすることです。秩父演習林は,標高1000mオーバーの寒冷なブナ林で,こうした高標高の場所は,気候変動による鳥への影響が出やすいと考えられるので,2010年から,巣箱とそのそこに温度ロガーを設置して,ヤマガラの繁殖時期のモニタリングを実施しています。
これまでの結果で,気温に応じて,ヤマガラの繁殖時期が変わっていること,暖かく,早く繁殖を始める年にはヤマガラ繁殖に失敗する事例が増えることがわかっています。


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ヤマガラの巣立ち時期と気温の関係。暖かい年は早くに巣立つ。赤く囲った部分が今年の記録。


今年はそうした繁殖の失敗の原因を確かめようと巣箱の内部を撮影できるカメラを設置しました。失敗の原因こそわからなかったものの,繁殖状況を把握できそうなことは,前回のブログ記事で紹介しました。ただ,今回巣箱を回収して,温度ロガーのデータを見たことで,問題点も見えてきました。それは,カメラ付きの巣箱では,温度ロガーでの繁殖の把握が難しいかもしれないことです。以下が,ヤマガラが利用した普通の巣箱とカメラ付き巣箱の結果を比較したものです。通常の巣箱では,繁殖経過とともに,巣箱内の温度が高くなり,繁殖時期が明瞭にわかります。それに対して,カメラ付きの巣箱では,いつ繁殖したのか,温度ではわかりません。


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普通の巣箱とカメラ付き巣箱の温度変化の違い


原因は,カメラ付き巣箱が,カメラが入るように通常巣箱より大きくつくってあることにありそうです。設置時には温度ロガーを産座ができそうな場所においておいたのですが,ヤマガラが,端っこに押しのけてしまったようで,実際には産座の位置と温度ロガーの位置が結構離れてしまっていました。また,もう1つの可能性としては巣箱が大きいために,巣箱内部の温度が上がりにくいといったこともあるのかもしれません。後者が原因だとすると,対処方法はありませんが,前者だとしたら,ヤマガラが移動できないように,しっかりとロガーを固定することで可能かもしれません。また,巣箱サイズをカメラが入るギリギリのサイズに小さくすることも効果的かもしれません。来年に向けて,改善策を練っていきたいと思います。




posted by ばーりさ at 17:53| 活動報告

2023年07月13日

『クマタカ生態図鑑』を献本していただきました(守屋)

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クマタカは国内に生息する森林性の大型猛禽類です。黒っぽい精悍なタカですが、翼が丸く愛らしくもあります。年に一度は観察しておきたくて、山の方に行くことがあります。短時間でも出会えるとうれしい鳥ですよね。

今年3月に刊行された『クマタカ生態図鑑』(著:若尾親、監修:山崎亨、平凡社)が、重版となったそうで献本していただきました。
クマタカに関することを徹底的に解説との通り、目次を見ると各部位の名称から、クマタカの概要や生態、食性、繁殖生態、行動、保全など関連するこれまでの知見が、全26章に記載されています。各章には、生態や行動の豊富な写真が添えられ、分かりやすい構成になっていて、また眺めているだけでも写真集のような楽しさがあります。
現在のクマタカのことを一から知ることができ、特に鳴き声と行動との関係、換羽、幼鳥の成長過程などは、今後調査や研究を行う人にとって役立つ情報でしょう。これを基盤にまた新たな知見が重なってゆくのではないかと思いました。

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B5ぐらいの大きさで、厚さが3pほど。
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posted by ばーりさ at 15:42| 活動報告

2023年07月07日

タマシギの鳴き声調査(守屋)

日本国内で繁殖するタマシギのモニタリング調査を行うため、各地の調査参加者を募集しています。


昨夜は、タマシギの鳴き声を確認しに、バードリサーチ会員の大井さんと某水田地帯に行きました。そこは、何年か前に昼間に観察したことがある場所で、6月下旬にも調査したのですが、その時は鳴き声の確認はできませんでした。

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20:30集合、あたりは暗いですが街の光があって、真っ暗闇というわけではありません。
微風で雨もありません、前回は雨上がりもあってかカエルが、かなり鳴いていました。しかし今回は曇っているものの湿度も高くなく、それほどカエルは気になりません。声を聞くには好条件。

調査は、定点で6分間耳を傾けます。集中しているとあっという間ですが、カエルの声やバンの声はするもののタマシギの声は録れず...。500mほど離した定点を3つ行いましたが、いずれも録れませんでした。

結局、2回目も確認できませんでした。一晩中鳴き続けることもあれば、ダメな場合もあるようで、繁殖期中のタイミングもあるかもしれません。

繁殖環境が変化していなくなっていないことを祈りつつ、3回目は7月下旬ごろに再チャレンジします。

posted by ばーりさ at 12:17| 活動報告