2017年06月30日

招かれない夜の訪問者(守屋)

以前お話ししたシロチドリの営巣保護柵については、今繁殖期に8つの巣について設置しました。

その際、保護柵に取り付けたモニタリングカメラには、繁殖の状況とともに巣に近づくカラスやネコなどが撮影されています。ネコは日中はほとんど見かけないのですが、夜には九十九里の砂浜を徘徊しているようです。
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保護柵で手が出せないネコ

ハシブトカラスについては、日中に卵を持ち去る観察もあり、抱卵中の捕食者であることはわかっていました。ただ夜間にいなくなるペアもいたので、カラス以外の夜行性の捕食者がいると予想していましたが、何者なのか確かな証拠はありませんでした。

しかし、今回保護策柵をつけていないモニタリング中のシロチドリの巣で、巣に顔を向けるネコが撮影されました。撮影時間と巣内の温度計の変化による抱卵放棄の時間とが一致し、ネコによる営巣の放棄を確認しました。

6/28 00:11に巣に訪れたネコの後ろ姿
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6/28 00:10頃 抱卵していた巣内の温度が急激に低下(矢印)し、その後巣外の温度と同調。
抱卵を止めたと考えられる。

九十九里浜のシロチドリにとってはネコも脅威となっているようです。
カラス除けのために設置した保護柵でしたが、とりあえずネコにも有効のようです。
posted by ばーりさ at 18:13| 活動報告

今年のさえずりは留鳥は遅め,夏鳥は南で早め,北で遅め? (植田)

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 6月も今日で最後。4月から3か月続けてきたライブ音の聞き取り調査が終わりました。今年は26人の方に参加いただき,過去で一番多い参加でした。ご参加ありがとうございました。

 ライブ音の聞き取り調査は,東京大学のCyberforestプロジェクトが各地に設置しているライブマイクのうち,北から北海道富良野,長野志賀高原,埼玉秩父,山梨山中湖から配信しているライブ音を日の出10分前から聞き取り,鳥のさえずりの季節変化と年変動をモニタリングする調査です。

 今年の主要種のさえずりの動向は,http://www.bird-research.jp/1_katsudo/forest/hikaku.pdfにまとめてありますが,大まかな傾向としては,留鳥や漂鳥のさえずりが4月上旬に不活発だったことが挙げられます。

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 図はヒガラのさえずり時期です。赤い太線が今年のさえずり頻度を示していて,4月上旬から中旬にかけては例年より低い位置にあったのが,徐々に増えてきて,4月下旬から5月上旬には例年並みになっているのが見て取れます。

 もう1つの特徴は夏鳥です。

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 図はキビタキのさえずり頻度ですが,秩父や山中湖といった南の調査地点では例年より早くさえずっていたのが,志賀,富良野と北に行くにつれて例年並みから例年より遅くなってしまっていることがわかります。一番北の富良野はほかの鳥も全般に今年は遅いようでした。

 こうした年変動には積雪量や気温などが関係していると思われますので,今後解析していけたら,と思っています。
posted by ばーりさ at 16:13| 活動報告

2017年06月19日

ID-BIRD渡良瀬遊水地(守屋)

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今回のID-BIRDは、ラムサール条約登録湿地でもある渡良瀬遊水地で行いました。
日曜朝の7時に総勢10名現地集合。
私の自宅は東京都清瀬市ですが、4時ごろに出発し高速を使用したら余裕をもって現地につきました。

今回は、一見すると同じように見える2つのアシ原でラインセンサスをおこない、ウグイス類の数が異なるのか、また簡単な植生調査をしてもらい環境の違いも見てもらいました。

メイン講師は、渡良瀬遊水地で調査をしている平野敏明さんです(ミニくる宇都宮中央公園も主催してます)。
時間がないので、ぶっつけで調査を始めようとしたのですが、コヨシキリがいたり、オオセッカがいたりと聞きなれない鳥も多いため、まずは皆でルートを一回歩いて調査を開始することにしました。
平野さんや私が質問に答えたり、歩くルートから両側50mが観察範囲であるため測距器で50mを測って距離感を体感してもらいました。
結果的に、調査精度を上げるのに大変良かったと思います。あたり前ですが下見は大事ですね。
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今回は400mの2つのルートを歩いてそれぞれ記録をしてもらいました。なるべく同じ鳥を数えないように調査範囲の鳥を数えるのは、慣れないうちは至難だったと思います。
観察されたウグイス類は、ウグイス、オオセッカ、オオヨシキリ、コヨシキリ、セッカの5種でした。
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また簡単な植生調査を2つのルートの途中で行いました。アシ原に入り、定規や自分の体で調査区画を作り、同じ面積のアシやオギの数、高さ、またカサスゲなどの下層植生の被度を記録しました。

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活動センターに場所を移し、ちょっと休んでから平野さんから渡良瀬遊水地の歴史やこれまで調べてきた鳥類について説明してもらいました。いろいろな環境があるせいか繁殖する鳥も多いですね。

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私からは、センニュウ科とヨシキリ科についての解説と調査結果の簡単なまとめを行いました。2つのルートのウグイス類の平均の個体数は、上の表のようになりました。オオヨシキリ、ウグイスの多かったAルート、コヨシキリ、オオセッカ、セッカが多かったBルート、環境の調査でも2つのルートでアシ原や下層植生の密度などが異なり、環境の違いが鳥の生息に関連していそうだということを見てもらうことができました。
我々が現在行っている全国繁殖分布調査も、ただ野鳥の数だけを見るのではなく、その野鳥が生息するために必要な環境も見ているということでもあります。どのような結果になるか楽しみですね。

しかし、朝からルートセンサスをし、アシ原に突っ込んで現地調査した後の講義はツライですね。
プログラムや工程は工夫する必要があるかも…。
今回の経験を活かして、調査員養成講座に反映させていきたいと思います。


posted by ばーりさ at 18:47| 活動報告