2019年08月23日

農業とシギ・チドリカウント(守屋)

秋期のシギ・チドリ類調査が8月から始まっています。

私も関東近辺で数か所カウントしていて、印旛沼周辺の水田地帯に行ってきました。
この辺りは千葉県全体の15%の水稲生産があるそうです。
調査サイトは約9平方キロの水田地帯です。一部は稲刈りが始まっていました。
かなり密植されていたので、おそらく転換作物である飼料用稲のようです。大きく穂をつけていました。

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イネ生育中の水田ではシギチの利用はあまりありません。休耕田や刈り取った後の圃場や畔を重点的に探します。
休耕田は1区画だけあり、コチドリやタカブシギを観察することができました。

生育中の水田でも一部に開放地がある水田ではタマシギがひょっこりいました。
普段は草むらにいるのでラッキーでした。
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こういう一部に開放地を作ることは農法的には水を温めたりする機能があるのでしょうか?
水田の一部を数列開けている水田にはシギもやってきます。

農地を有効に活用することと、農業をしないで水鳥の生息地として水を張った場所を用意することは、相反するのですが、農法と鳥の生態を上手く組合すことができないものかと思います。何しろ日本には水田は限りなくあるので。

また草ぼうぼうの放棄水田もあり、転換作物への補助があるといっても担い手の不足はどうしようもないところもあるようです。このような場所も生態系保全に役立てる場所にできないかと思うのですが、人手や資金など持続性をどう担保していくかという所が、難しいところです。



posted by ばーりさ at 10:59| 活動報告

2019年08月16日

皇居のお濠。水草がアオコを防いでいます。

皇居のお濠では近年、水草が増加していて、冬になると水草を食べるヨシガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモが増えています。ハシビロガモは植物プランクトンを食べるのかと思っていましたが、水草もしきりとつついて食べていました。キンクロハジロが減っているのは水草のせいで潜水しにくくなったのか、それとも水がきれいになって餌の底生生物が減ったせいでしょうか?

グラフは1月のカモ類の数。環境省のガンカモ類の生息調査(ガンカモ一斉調査)より。調査対象ではないので数の変化は分かりませんが、水草食のオオバンもたくさんいます。
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皇居のお濠で水草を食べているヒドリガモとハシビロガモ。右の端っこにコガモ。
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それから、水草は冬場にカモの餌になっているだけでなく、水中の栄養分を吸収してくれるので夏にアオコ(植物プランクトンの大発生)が起こりません。

水草がある濠は、このように水が澄んでいます(2019/8/12撮影)。しかし水草を刈らないと、腐ってふたたび養分が水中に戻ってしまうでしょう。カモが水草を食べることは、水草が吸収した水中の養分を濠の外へ循環させる役に立っています。
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水草がない濠では、このとおり水が緑色。
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近づくと、アオコの粒子が見えます。
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posted by ばーりさ at 18:11| 活動報告

2019年07月21日

手賀沼と牛久沼で繁殖しているコブハクチョウを見てきました

最近、千葉県の手賀沼で繁殖しているコブハクチョウ(移入種)の家族が稲を食害しているというテレビのニュースがありました。繁殖中のコブハクチョウは写真や動画でしか見たことがなかったので、手賀沼と、その近くの牛久沼のコブハクチョウを見に行ってきました。

7/21の手賀沼の写真です。周囲の景色から考えて先日のニュースで稲を食べていた家族のようですが、今日はスギナを食べていました。餌をあげないでという看板があったので、人から餌ももらっているのでしょう。コブハクチョウには遺伝的に白化の特徴を持つ個体がいて、Polish Swanと呼ばれます。6羽のヒナはすべてPolishのようでした。
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こちらは牛久沼のPolish Swan。ヒナは白い羽色とピンクのくちばしをしていますが、親になると普通のコブハクチョウと同じ色になります。ただし親になっても足の色が薄いらしいのですが、足の写真を撮りそびれました。牛久沼には飼育施設があり、ヒナが小さい間は柵の中に入れられているようです。
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大きなヒナは柵の外にいました。こちらは通常の羽色、灰色をしています。
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夏はロシアにいるオオハクチョウやコハクチョウは繁殖期の姿を見ることができませんが、渡りをしないコブハクチョウのようすからハクチョウ類の繁殖生態の一端を見ることができます。繁殖期の特徴のひとつは縄張りを持つこと。そのため繁殖ペアは広い範囲に分散します。上記のように柵に入れられているのは、繁殖ペアが他のコブハクチョウを攻撃するからかもしれませんね。

そして、繁殖に参加しない個体がたくさんいます。ハクチョウ類は繁殖できるまで成長するのに数年かかるので若鳥がけっこういます。それから成鳥になっても毎年は繁殖しないようです。ところで、牛久沼のコブハクチョウは飼育されてはいるのですが、ガンカモ調査ではこのような放し飼いの個体もカウントをお願いします。
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冬に日本へ渡ってくるオオハクチョウやコハクチョウは水域だけでなく陸上でも活動するので、大量に存在する稲の落ち籾を食べることができます(特にコハクチョウは落ち籾が主食です)。それに比べてコブハクチョウは水辺から離れることがなく、水草や水辺の植物を餌にしているようです。いつも水面か水際の岸にいて、私は飛んでる姿も見たことがありません。都市部の公園や濠にいるコブハクチョウは餌になる植物が少ないので、人からの給餌がなければ繁殖や越冬が難しいのかもしれません。

posted by ばーりさ at 21:52| 活動報告

2019年07月01日

今年のさえずりは遅めだった:ライブ音聴き取り調査終了

3か月にわたるライブ音の聴き取り調査が終了しました。
この調査は,CyberForestが北海道富良野,埼玉県秩父,山梨県山中湖,長野志賀高原から配信しているライブ音の聴き取りをして,鳥のさえずり時期を調べようという調査です。今年はのべ345人の(23人)の方々に参加いただき,実施しました。

調査結果としては,今年のさえずりは,全般としては例年より遅く,秩父では早い種もいるなど地域差も見られたというところでした。

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カッコウのさえずり時期。赤線が今年のさえずり頻度。例年より遅いのがわかる

もうこの調査,9年続けているんですね。これだけ続けていると,年の特徴がよくわかります。参加者の方からは,さえずりの勉強になると言ってもらえるので,来年も続けていこうかと思います。

全種の結果はこちらをご覧ください
posted by ばーりさ at 06:15| 活動報告

2019年06月24日

東金こども科学館でシロチドリやコアジサシの観察イベントを行いました(守屋)

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双眼鏡の使い方もばっちり!

土曜日に、東金こども科学館の『九十九里浜のシロチドリを見に行こう!』で話をしてきました。
参加者は、8組のご家族とほか関係者。
親が行こうといったのか、子供が行きたいといったのか興味のあるところです。
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奴賀さんがコアジサシの話、私がシロチドリの話をしました。ちょっと長いので飽きるかもなと思ったのですが、興味を持って聞いてもらえました。いい質問も多かったですし、ブラタモリのタモリさんみたいに察しのいい子がいて、こちらも楽しく話をすることができました。
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コアジサシ

午後は現地でコアジサシのコロニーを観察しました。
あいにくの雨模様でしたが、合間を縫ってなんとか観察できました。
コアジサシのヒナが歩き出しているのでやや遠巻きに、コアジサシ、シロチドリなど熱心に観察していました。
自分で、双眼鏡で鳥を見つけたら楽しいでしょうね。
最後の方は、海につかってずぶ濡れになる子もいて、大人とは違った観察会でした(親御さんは後始末が大変だと思いますが)。


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砂浜で地上営巣する鳥たちは、ヒトとのかかわりも大きいので、保全のためにもまずは知ってもらうことが必要です。
次は、漁業の人とか、サーファーやライフガードの人とか、他の地元砂浜関係者にもお話しする機会を作りたいと思っています。


posted by ばーりさ at 14:04| 活動報告