スタートから1か月が経過しましたが,桜の開花が早かったことからもわかるように,雪の少なさや暖かさから,今年は,最初はさえずりが早くから活発な年でした。しかし,その後寒くなって,さえずりは中弛みといった感じでした。その寒さの影響は,秩父と山中湖,志賀高原を比べると,標高の高い志賀高原で顕著で,秩父になると薄れてきて,標高が最も低い山中湖ではあまり影響がないというのが,ちょっとおもしろいところでした。
調査地別にみていきましょう。
志賀高原
まずは一番標高の高い志賀高原。

ウグイス,クロジ共にさえずり始めは,これまでの調査でもっとも早い年にあたるほどの状況だったのですが,ウグイスは平年並みくらいになり,クロジは,完全に失速してしまったという状況で,寒さの影響が顕著でした。
秩父

次に高い秩父では,比較的早くからさえずり始めるアカハラはスタートこそ早かったものの,その後伸び悩んで,例年よりも遅いくらいになってきてしまっています。4月後半に渡来するキビタキは,平年並みといった感じです。
富士山中湖

山中湖はあまり,4月下旬の寒さの影響は受けていない感じで,キビタキ,センダイムシクイともに順調に活発にさえずるようになり,例年より早い状態を維持しています。
北海道富良野

最後が富良野ですが,こちらも多少寒さの影響を受けているようで,4月中旬に渡来するウグイスは例年より早い状況で,やや遅く下旬に渡来する夏鳥のヤブサメは平年並みという感じです。アカハラも毎年下旬に記録されるのですが,同様に平年並みという感じです。
このように,時期により暖かい,寒いが変わったりするので,早遅はなかなか一筋縄ではいきませんが,長期間データを取っていけば,いろんなパターンの年が集まってくるので,それを基に,気候変動が鳥に与える影響を考えていきたいと思います。