世界文化社より、植村が執筆した図鑑が発売されました。
監修は、日本野鳥の会会長の上田恵介さんです。上田先生からコメントをいただきました。
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『野鳥図鑑350』の監修をさせていただいた上田恵介です。
図鑑の特色は著者の植村さんが書いているので、とくに監修者が付け加える事はないのですが、監修をさせていただいて、とても面白い図鑑になりそうだなという印象を持ちました。それはこれまでの図鑑とはちょっと違った新しい解説、「へえ〜」と思うところがいっぱいあることです。著者が野外で鳥をよくみていて、自分の目で見た知識が随所に反映されているというのが伝わってきます。また近年の分類学や生態学的な最新の知見を、著者が多くの研究論文を読んで、解説に反映させているからです。巷には多くの図鑑が並んでいますが、この『野鳥図鑑350』はどの図鑑にも書かれているような一般的なことがらはあまり書かれていないユニークな図鑑です。楽しみながら読める図鑑だと思います。
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さて、以下では著者の私から、今回の図鑑の特色を紹介します。
l 最新の調査研究の成果を満載しました
2016年から2021年にかけてバードリサーチが事務局となって日本野鳥の会などと一緒に実施した全国鳥類繁殖分布調査の結果や、モニタリングサイト1000の調査などでわかってきた成果を盛り込んでいます。この20年ほどの間にはいろいろな鳥で分布や個体数の増減があり、少し前の図鑑と見比べると印象が違うかもしれません。350種という限られた種数ですが、近年南西諸島で記録が増えているオニカッコウや、瀬戸内側などで記録が増えているハッカチョウなどは掲載種に挙げました。
l バードリサーチの「鳴き声図鑑」とリンクしています
鳴き声図鑑は最近もどんどん掲載種、掲載音声が増えています。スマホのカメラなどを図鑑のQRコードにかざしてページを開くとその鳥の鳴き声を聞くことができます。
l 最新の分類を採用しています
日本鳥学会から出版予定の日本鳥類目録改訂第8版で予定されている変更点を反映した、最新の分類を使用しています。改訂第8版の出版は2023年9月に延期されたのでフライング的になってしまいましたが、鳥学通信などを参考に採用する分類を検討しました。ヤマガラからオリイガラが独立していたり、オオトラツグミをミナミトラツグミの亜種として掲載していたり、サンショウクイとリュウキュウサンショウクイが別種に分かれていたりします(※これまでの亜種サンショウクイは第8版では種ウスサンショウクイとなりそうですが、この図鑑の初版では反映できませんでした。改訂時に変更すると思います)。
l 興味深い生態を満載しました
特に力を入れて執筆したのはこの点です。掲載種ごとに論文をあたり、最新の研究成果を参照しました。他の図鑑に書かれていない興味深い行動や生態系の中での役割などを盛り込めたのではと思います。また反対に、現在とは違った鳥との関わりが伺えるかなり古い本からの情報も少し盛り込みました。バードリサーチの生態図鑑も大いに参考にしました。改めて思いましたが、種ごとに研究者の皆さんが執筆している生態図鑑の情報量はものすごいです。
l 写真の掲載方法にも特色
上の項目の通り、興味深い生態に本文の紙幅をさいたので、識別についての記述は相対的に少なくなりました。多くの種で、写真と本文の横にある数文のみの特徴記述に識別ポイントの説明を任せる分、見せ方にもこだわりました(写真の選定については編集者にお任せして私はコメントをしただけですが)。一般に鳥はオスの方が鮮やかな羽色をしていることが多く、図鑑では、見栄えのする鮮やかなオスや夏羽の写真が使われることが多くあります。しかし、ぱっと見で特徴がわかりにくい羽衣こそ大きく掲載することが重要です。そこで、雌雄で見た目が違う種は雌雄とも掲載し、できるだけ雌雄は同じ大きさで掲載してもらいました。種によっては、メスや冬羽の写真を大きく掲載してもらえたものもあります。
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ぜひ多くの方にご覧いただければと思います!
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