住宅地周辺に形成されたサギ類のコロニーによる糞害の対策について相談されることが増えてきました。先月も某市から依頼されて現地視察をしてアドバイスをしてきました。主な被害は車やベランダなどへの糞爆弾です。視察の直前に大雨があった影響でほぼすべてが洗い流されていて被害の甚大さを目の当たりにすることはできなかったのですが、一部の住宅に集中して糞が落ちる構図はつかむことができました。
視察したサギのコロニー。8割がたアオサギで巣立ち間近の大きなヒナも確認しました。そのほかに、ダイサギ、コサギ、ゴイサギ。向かいの高台から撮影。
被害を訴える声が大きくなったのは、サギたちの繁殖期のただ中で、おそらくヒナたちに餌を運ぶために頻繁に親鳥が往復するため、落ちる糞の量が増えたのだろうと思われます。加えて、地図では気づかなかったのですが、コロニーの向かいは高台になっていて、そこを越えるには飛び立ったあと急上昇する必要があります。高台を避けて餌場となる海へ向かおうとすると、サギにとって通りやすいルートはごく狭い範囲に限られます。特にたくさん糞が落ちていた場所と、サギたちのルートがちょうど一致していました。
確認したサギたちの飛行ルートと被害住宅の位置。
対策としては来年の繁殖が始まる前の年末年始の頃から脅しなどの対策をして、追い出す、もしくは同じ山でも別の斜面にコロニーの中心をずらすことで(高台から外れた位置に中心がくれば飛行ルートの選択肢が増えて分散するので)被害を減らすことができるかもしれません(糞が落ちるち住宅は増えてしまいますが)。
ただ、サギたちのほうがカワウよりタフですし、より樹高の高い林に営巣していることが多いので、樹木の伐採ができない場所だと追い出すことも難しかったりします。追い出したサギが次どこにコロニーをつくるか、という点も注意が必要です。
ワイヤーを張る、樹冠の枝をゆらすためのロープを取り付ける、部分的な伐採、花火、照明の照射などいくつか候補となる方法を提示し、現地に即した対策を地主さんとも相談して検討してもらうことにして、その日は帰路につきました。来シーズンは、どうなるでしょうか。
2022年08月12日
コロニーを出入りするサギ 飛行ルートは限られる?
posted by ばーりさ at 16:29| 活動報告