2021年11月22日

近況報告2020≫ 世界遺産平城宮跡で寝るツバメはどこから集まってくるのか

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2020)で、皆様からご支援いただいている調査の近況報告が届きました。

なら・ツバメらぼ(旧団体名:奈良ツバメねぐら研究部)による
世界遺産平城宮跡で寝るツバメはどこから集まってくるのか
 −6万羽のねぐら入りルートを探る−
です。

奈良県の平城宮跡のねぐらに集まるツバメの個体数は2010年代前半に増加し今では6万羽にもなるそうです。奈良ツバメねぐら研究部では周辺の他のねぐらの消滅が背景にあるのではないかと考え、どこからツバメが帰ってくるのかを調べています。この調査研究プランでは、大勢の参加を得ながら多地点で帰還するツバメの飛行ルートを調べ、その実態を明らかにすることを目的としています。(詳細はコチラ

いただいた近況報告をご紹介します!

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このたびは研究支援プロジェクトでたくさんの方からのご支援をいただきありがとうございました。

今年もたくさんのツバメが平城宮跡のねぐらを利用し、南へと旅立っていきました。今年のツバメのねぐらの状況とご支援いただいた調査の状況をご報告いたします。

●まずは春ねぐら!
今年も例年どおり4月頃から平城宮跡にツバメが集まり出し、100羽程度の春ねぐらを形成していました。前の冬に刈られたヨシの草丈はまだ低く、膝丈ほどのヨシに止まって眠るツバメの姿がよく見えました。このまま夏に向けて順調にツバメの数が増えていくと思っていましたが、今年はちょっと事情が違っていたようです。
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●ツバメがいない!?
例年であれば、5月の終わり頃にはヨシ原に集まるツバメの数は数千羽になりますが、今年はなぜかツバメが集まってきませんでした。4月に100羽ほどいたツバメは5月初めには数十羽に減り、多くても数百羽という状態が6月末まで続きました。
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●ツバメはどこに?
P3.jpg平城宮跡に現れないのであれば、別の場所にねぐらがあるのかもしれない。航空写真でヨシ原がありそうな場所を探して、夕方に様子を見に行ったりもしました。その結果、今まで知らなかったねぐらを発見したものの、その規模は数百羽ほど。去年まで平城宮跡に集まっていた万羽のツバメはどこに行ったのか…。このままツバメが集まらなければ、夏の調査はできないのではないかと不安な気持ちを抱えながら、広報のためのチラシ作成や観察会の準備等を進める日々が続きました。

●ツバメが戻ってきた!
そうこうしているうちに7月になると徐々にツバメが平城宮跡に戻ってきました。これで無事に調査期間を迎えられる!終わってみると、調査期間に設定した7月下旬〜8月上旬には例年並みの5〜6万羽のツバメがねぐら入りしました。今年も無事にねぐら入りを観察できてほっとしました。
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●無事に調査終了!
観察会などで調査参加への呼びかけをしたり、バードリサーチさんを始めとしたいろいろな団体や個人の方がメールやSNSで拡散してくださったおかげで、昨年より幅広い層の方にご参加いただけました。自宅付近で毎日定期的に観察したり、お出かけついでに観察したり、新しい観察地点の開拓を試みたりと、たくさんの人がツバメを気にかけて、空を見上げた19日間でした。「この調査をきっかけにツバメが気になるようになった」といううれしい感想を送ってくださる方もあり、メンバー一同喜んでいます。

●ただいま集計中!
最終的に延べ191人から86か所の情報をいただきました。ありがとうございました。
結果はまだ集計中ですが、昨年に引き続き平城宮跡の西側からの飛来は少なそうなこと、奈良中央部の複数個所では昨年たくさんいたツバメが今年は見られなかったことなどがわかってきました。また、狭いエリアで同日に複数人が観察したことで点と点が結ばれて移動ルートが見えてきた場所もありました。集計の結果は昨年同様、地図に落とす予定です。たくさんの参加者のみなさんとツバメとで作った地図からは何が見えてくるのか…。ワクワクしながら集計しています。
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posted by ばーりさ at 16:26| 研究支援(近況報告)