今冬,リュウキュウサンショウクイが多くの場所で観察されています.サンショウクイプロジェクトに情報をお寄せくださった皆様,ありがとうございます.サンショウクイプロジェクトは,日本にいる2亜種,亜種サンショウクイと亜種リュウキュウサンショウクイそれぞれについて,見かけた日と場所をみなさんに報告していただいているものです.
2010年から始めたサンショウクイプロジェクトですが,亜種リュウキュウサンショウクイの報告をいただいた件数はここ数年で増加傾向にあります.首都圏や大阪などでリュウキュウサンショウクイの個体数が増えたり,定着したりしつつあるということにくわえ.人口の多いところでは,鳥を見る人,見た鳥を報告してくださる方が多いということとも無関係ではないと思われます.嬉しい限りです.
図1.サンショウクイプロジェクトに,観察場所についての報告をいただいた件数の推移
2011年に論文という形で一度,リュウキュウサンショウクイの分布状況をまとめました(三上・植田2011)が,その2011年までの時点で1度でもリュウキュウサンショウクイが確認されたことのある県は14でした.そこから約10年が経ち,2021年までにリュウキュウサンショウクイが1度でも確認された県はなんと31にまで増加しています.
図2.リュウキュウサンショウクイの記録がある県の変化.
観察地点数が増えてきたので,分析的な見方もできるようになってきました.次の図は, 2021年2月9日までにいただいた“亜種リュウキュウサンショウクイ”とされた記録のうち,12〜2月の間の観察地点に限定して抽出し,地図上に表示したものです.まずは瀬戸内の東側について.山の際のようなところに点がよく落ちているのが面白いです
図3.亜種リュウキュウサンショウクイの確認地点(赤色の●)を地球地図日本(国土地理院)の標高データ(第1.1版ラスタ)上に表示したもの.
次は関東地方です.標高を図示すると関東平野のだだっ広さがよくわかるのはさておき,真冬の間の確認地点はあまり高いところには出てこないようです.12〜2月のリュウキュウサンショウクイ観察地点(全国165地点分)の平均(±標準偏差)標高は106(±118)mでした.これらの地点のなかには非常に近い場所で別々の人が観察した例や,場所の精度が粗い例も含まれていますので,きちんとしたことをいうためには,もうすこし情報を精査する必要はあります.今回は速報ということでご容赦ください.また,今後は公園なのか,山なのか,気温との関係はどうなのか,といったことについても解析してみたいと思います.
図4.亜種リュウキュウサンショウクイの確認地点(赤色の●)を地球地図日本(国土地理院)の標高データ(第1.1版ラスタ)上に表示したもの.
亜種サンショウクイまたは亜種リュウキュウサンショウクイの観察記録をお持ちの方,過去の記録でもかまいません,ぜひこちらへ記録を登録いただけますとありがたいです.よろしくお願いいたします.
2021年02月14日
リュウキュウサンショウクイ最前線2021(三上かつら)
posted by ばーりさ at 12:50| 活動報告