2020年01月15日

国内のハクチョウ類の論文(佐藤)

1月18日~19日に実施する宮城ハクチョウ調査が近づいてきました.
調査前にハクチョウ類の生態を調べていましたが,色々な文献に出会いました.
せっかくなので日本語で読める最近(2010年以降)のハクチョウ類の生態に関する国内の論文をまとめてみました.ほとんどがフリーで読めますが,一部,購読料がかかるものがあります.なお,論文のタイトルではなく,内容を列挙しています.

コハクチョウ
1.採食
・マコモ地下茎への採食圧は,翌成長期のマコモ地上部の成長に正の影響を与えていることを示唆(渡辺 2012 日本鳥学会誌
・オオバタネツケバナを採食した(渡辺 2011 Strix
・ナガエミクリの地下茎を採食していた(渡辺 2011 山階鳥類学雑誌
・休耕田におけるケイヌビエ種子の採食例。休耕田の利用は稀(渡辺・鈴木 2019伊豆沼・内沼研究報告
・採食地 として好む水田面の条件:耕起されておらず,草本の被度が低く,ワラの被度が高い水田面を選んでいるようだ(渡辺・田尻 2018 山階鳥類学雑誌
2.形態
・嘴模様3タイプの地域差と過去との比較.越後平野の個体群は1980年から2010年にかけて3タイプの割合に有意差がみられた(渡辺 2014 Strix

オオハクチョウ
1.採食
・湖沼の水位変動によって採食場所が変わる(嶋田ら 2017 Bird Research)
・マカモ群落のうり、水面下にある群落はオオハクチョウが、水面よりも若干高い位置にある群落はオオヒシクイが使用していた(渡辺 2012 Strix)
2.移動
・越冬期の飛行高度.実際の上昇速度は推定された持続可能上昇速度よりも小さい(植田ら 2018 BIrd Research
・GPS発信機装着による越冬期の移動のデータ.(植田ら 2018 Bird Research)
・伊豆沼・内沼周辺の捕獲された個体は昼行性でハス群落が分布する場所や給餌場所、農地(主に乾田)に滞在していた(嶋田ら 2018 Bird Research

ハクチョウ類
1.移動
・宮城県のハクチョウ類は12 月の降雪量が多いほど秋の渡りが早く進み,2 月の降雪量が少ないほど春の渡りが早く進んだ(嶋田・森 2019 伊豆沼・内沼研究報告
・青森県十三湖における風力発電施設建設前の春の渡り状況.ハクチョウ類は毎年3,000-6,500個体が十三湖を経由して渡っていた。また、建設予定の風車の回転域の高さを飛翔する群れが多かった(柏木ら 2019 日本鳥学会誌)。
2.形態
・羽根の小羽枝構造によって、ガン類,ハクチョウ類,カモ類は識別が可能のようだ(藤井幹 2010 山階鳥類学雑誌
3.狩猟
・明治期の北海道ではハクチョウは狩猟の対象とされ、食用にもされていた(山田伸一 2018 北海道博物館研究紀要

思った以上にハクチョウに関する論文が多く,さらにハクチョウ類を含むガンカモ類全体の研究などもいくつもありました.こういった調査・研究成果を残す事は非常に重要なので,貴重なデータをお持ちの方は是非,投稿をご検討ください.BIrd Research誌でも投稿をお待ちしております,(私も書かなければ..)
posted by ばーりさ at 17:54| 活動報告