最近、千葉県の手賀沼で繁殖しているコブハクチョウ(移入種)の家族が稲を食害しているというテレビのニュースがありました。繁殖中のコブハクチョウは写真や動画でしか見たことがなかったので、手賀沼と、その近くの牛久沼のコブハクチョウを見に行ってきました。
7/21の手賀沼の写真です。周囲の景色から考えて先日のニュースで稲を食べていた家族のようですが、今日はスギナを食べていました。餌をあげないでという看板があったので、人から餌ももらっているのでしょう。コブハクチョウには遺伝的に白化の特徴を持つ個体がいて、Polish Swanと呼ばれます。6羽のヒナはすべてPolishのようでした。
こちらは牛久沼のPolish Swan。ヒナは白い羽色とピンクのくちばしをしていますが、親になると普通のコブハクチョウと同じ色になります。ただし親になっても足の色が薄いらしいのですが、足の写真を撮りそびれました。牛久沼には飼育施設があり、ヒナが小さい間は柵の中に入れられているようです。
大きなヒナは柵の外にいました。こちらは通常の羽色、灰色をしています。
夏はロシアにいるオオハクチョウやコハクチョウは繁殖期の姿を見ることができませんが、渡りをしないコブハクチョウのようすからハクチョウ類の繁殖生態の一端を見ることができます。繁殖期の特徴のひとつは縄張りを持つこと。そのため繁殖ペアは広い範囲に分散します。上記のように柵に入れられているのは、繁殖ペアが他のコブハクチョウを攻撃するからかもしれませんね。
そして、繁殖に参加しない個体がたくさんいます。ハクチョウ類は繁殖できるまで成長するのに数年かかるので若鳥がけっこういます。それから成鳥になっても毎年は繁殖しないようです。ところで、牛久沼のコブハクチョウは飼育されてはいるのですが、ガンカモ調査ではこのような放し飼いの個体もカウントをお願いします。
冬に日本へ渡ってくるオオハクチョウやコハクチョウは水域だけでなく陸上でも活動するので、大量に存在する稲の落ち籾を食べることができます(特にコハクチョウは落ち籾が主食です)。それに比べてコブハクチョウは水辺から離れることがなく、水草や水辺の植物を餌にしているようです。いつも水面か水際の岸にいて、私は飛んでる姿も見たことがありません。都市部の公園や濠にいるコブハクチョウは餌になる植物が少ないので、人からの給餌がなければ繁殖や越冬が難しいのかもしれません。