3/10(日)に谷津干潟のサイエンスカフェ「ハマシギの渡りの秘密をさぐる」に話題提供してきました。昨年も話をさせていただいたハマシギ第2弾です。
現在いろいろなハマシギに関する渡りのデータをアラスカの研究チームが分析しており、近々その結果が公表されそうです。その少し教えてもらった内容を、冒頭にバードラーフの澤さんが説明してくれました。
次に元山階鳥類研究所の茂田さんの豊富な海外バンディング経験による各亜種の識別の話。直前に多方面に電話をしてくださっていろいろハマシギ亜種の写真を集めていただいたようです。
前提として日本に来そうなハマシギの亜種は4種類いるのですが、アラスカからくる亜種が最も多く、その他の亜種についてはあまり見つかっていません。しかし外見でも条件によってはそこそこ識別できそう??です。
それを受けて、私は渡りの状況をみんなで観察しようという提案をしました。ハマシギの日本に渡来してくるメインの時期は9月以降なのですが、それより早く繁殖地からはハマシギはいなくなっています。その間はどこにいるのか?ただ、中国や韓国では早い時期からもうすでに渡来していたりするのです。これは亜種による違い?ルートが異なるだけなのでしょうか。
なかなか観察により亜種の違いを見るのは難しいのですが、夏羽であれば黄色味のある普段とは違うハマシギや極端に小さいハマシギがいて、そういった怪しい記録を協力して集める事で、渡りの謎をつかめるかもしれません。
季節前線シギチドリ調査は、この秋からハマシギをメインに初渡来日や怪しいハマシギ亜種の情報を集める予定です。
同じく山階研究所の仲村さんには、フラッグの回収結果から冬期のハマシギの行動範囲についてお話していただきました。谷津干潟-三番瀬-葛西は同じ群れの行き来があると思っておりましたが、東京港野鳥公園、多摩川河口さらには盤洲も行動圏になっていそうで、東京湾は一体として保全していく必要があるのではないかと思いました。東京湾で放鳥されたシギチドリには、青と白のフラッグがついています。もし観察されたら山階鳥類研究所にご連絡ください。
脚にフラッグが装着されたダイゼン
漫湖水鳥湿地センターの富田さんからは、沖縄で落鳥していたハマシギの胃内容物について報告がありました。小さな巻貝やイトゴカイが含まれるようです。他の地域でも冬期に何を食べてハマシギは冬を越せるのか、十分な量があるのか興味深いところです。バードリサーチでは、シギチドリの食性調査も行っていますので、もし何か食べているところを観察・撮影されたら教えて下さい。また、胃の中には青い小さなプラスティック片も含まれていました。最近、多方面で話題のマイクロプラスティックはシギにも影響のある問題なのかもしれません。
最後に参加者の皆さんとハマシギ保全のために何ができるか意見交換しました。プラスティックの話題の影響からか身近にできるゴミ拾いや、知ることが大事ということで広報や周知に力を入れていった方が良いという意見をいただきました。
持ち時間が少なくて駆け足だったにもかかわらず、前向きな意見を多数いただけました。ありがとうございました。
ハマシギは冬の日本の代表種で、日本が最も気にすることのできるシギチドリです。その生活を調べたり、守ったりすることは、多くの水辺やそこに住む生き物の保全にもつながります。
バードウォッチングの延長として、気にしてもらって報告してもらえると幸いです。