2018年11月15日

ニューカレドニアのカグー(佐藤)

 

出張でニューカレドニアに行ってきました。ニューカレドニア本島は元々オーストラリア大陸とつながっていましたが、数千万年以上前に分離し、現在まで孤立した島です。そのため、哺乳類がコウモリ類を除いて生息しておらず、大型の捕食者がいませんでした。そういう環境で生息してきた動植物は、対捕食者戦略がぜい弱で、たとえばカグーは飛ぶことができません。

今回、訪れた州立巨大シダ公園は巨大なシダやヤシなどが高密度で生い茂る森です(写真)canvas.png。ここは佐藤が2011年〜2015年までカッコウ類の托卵に関する調査を行っていた場所でもあり、数年ぶりの再訪に心躍りました。しかし、この数年間で大きな変化がありました。数年前にはたくさんいたカグーが、今回はほとんど出会う事ができませんでした。公園の職員に聞くと、数年前から公園内に野犬が現れ、それからカグーの個体数が減少したとの事です。

以前からこの公園はシカの食害が問題になっていて、公園内の一部では、電気柵が作られています。ニューカレドニアの植物は約8割が固有種ですが、そのほとんどが哺乳類に対抗する術を持っていません。一方、外来植物は刺などを持っているため、シカは選択的に在来種を食べている可能性があります。

また、ノネコも生息していて小鳥類などを食べていることが分かっています。さらに今回、野犬の登場で、カグーが大きな影響を受けていました。

日本でも、外来種問題はよく取り上げられており、たとえば、昨年の日本鳥学会のシンポジウムのタイトルは「生態学者

vs 外来生物 本気で根絶, 本気で再生

奄美・沖縄・小笠原」でした。今後も外来種問題とは向き合っていかないといけないと感じました。


posted by ばーりさ at 16:13| 活動報告