昨年にもお邪魔した奈良県視覚障害者福祉協会で先週末、鳥の話をしてきました。参加者の多くが目の不自由な方たち。鼻づまりな僕は、声にはいたって自身がありません。ところが、写真やグラフに逃げることができないんです。語り部が美しい声を持っているなら、その話を聞くだけで参加者に満足してもらえるところですが、僕には工夫が必要です。左右に位置を変えて話してみたり(フクロウの耳の話に絡んで、音による定位について話しました)、背伸びしたりしゃがんだり、歩き方の違いを足音で表現したり。下手な鳴きまねを全力で演じるとたくさん笑ってもらえるので、そこは頑張りました。
今回用意したのは町で聞くことができる鳥たちです。昨年の山の鳥のときは、知らない鳥ばかりが登場して、参加者の皆さんは、どちらかというと、聞くことに専念する感じでした。しかし、聞いたことがある、名前を知っていることが多かった今回は、「この声、聴いたことがありますか?」と聞くと、たくさんの拍手が返ってきました。(普段は手を上げてもらうのですが、それだと目の不自由な方にはどれくらい周りで手が挙がっているのかわからないと思い、拍手してもらうようにしています。)知らないんじゃないかな、と思っていた鳥の声を知っている人が多くてびっくりした一方で、ハクセキレイはほとんど人が認知していませんでした。会場の目の前の道にもいるんですけどね。最後は、登場してもらった約20種の鳥たちの中から、声の主を当てるクイズを出しました。一度聞いただけでは聞きわけるのは難しいと思うのですが、シジュウカラとヤマガラの2択は正答率が高く、カワラヒワの「ジュイーン」とコゲラの「ギィ」の正答率は低かったのが意外でした。このイベントには実は裏の企画もあり、講演のあとに鳴き声の聞き取りの練習会を組んできたのですが・・・そちらの話は、また、別の機会に。