10年前のバードリサーチ設立すぐに行なったアマサギの衛星追跡の論文が掲載されました。茨城から追跡したアマサギが,翌繁殖期に翌春に中国揚子江河口周辺へ移動したのが面白いところです。越冬地から中国に行く群れについて行ってしまったのかもしれないですけど。
藤田剛・土方直哉・内田 聖・平岡恵美子・徳永幸彦・植田睦之・高木憲太郎・時田賢一・樋口広芳(2017)東アジアにおけるアマサギ2個体を対象とした長距離移動の衛星追跡.日本鳥学会誌 66(2): 163-168.
アマサギは人に運ばれることなく急速に分布拡大した例とされるが,分散や渡りなど長距離移動には不明な点が多い.筆者らは,茨城県で捕獲されたアマサギ 2 羽の長距離移動を,太陽電池式の人工衛星用送信器を使って追跡した.2 羽とも,捕獲した 2006 年の秋にフィリピン中部へ移動して越冬したが,その内 1 羽が翌春に中国揚子江河口周辺へ移動し,繁殖期のあいだそこに滞在した.そこは,前年繁殖地とした可能性の高い茨城県から 1,900 km 西に位置する.この結果は,東アジアに生息するアマサギにおいて長距離の繁殖分散を確認した初めての例である.