2017年08月28日

伊豆諸島調査お疲れ様会を開催しました(佐藤)

 5月〜6月にかけて実施した伊豆諸島調査のお疲れ様会を都内某所で行いました。
伊豆諸島調査は船での移動や宿泊などが伴ったため、調査員さん同士の交流する機会が多かったように思います。図2.png
そのためか、お疲れ様会は25名の方にお集まりいただき、終始盛り上がりました。

お疲れ様会の冒頭で、調査結果の概要を少し紹介しました。ここではその一部を紹介します。
IMG_3188 (1280x960).jpg
まずは調査規模です(暫定値)。
調査員:50名
調査実施メッシュ:298メッシュ
調査実施島:12島(小笠原諸島含む)
観察種:71種
総観察個体数:18,491羽
総調査時間:173時間28分

当初、9島での実施予定でしたが50名もの調査参加者のおかげで小笠原諸島を含め12島、298ものメッシュ(およそ1km×1kmの区画)のデータが集まりました。ほとんどのメッシュでは1kmのラインセンサスを行い、そこで観察した鳥の種類、個体数、繁殖行動などを記録していて、全部で18491羽もの鳥を観察しています。

次に繁殖分布図です。ここでは、アカコッコとホオジロ、コマドリの分布図を出します。
(各島の位置については、このサイトをご参照ください。)

アカコッコ.png
 伊豆諸島を代表するアカコッコ。繁殖期には三宅島以南で広く観察する事ができました。今回、大島では観察されていませんが、冬になると北上(!)するので、大島や静岡県でも観察できるそうです。

ホオジロ.png
 次にホオジロ。伊豆諸島の有人島9島全てで観察されています。面白いのは八丈島。北の方ではよく観察されていますが、南の方ではほとんど観察されていません。これは北と南の環境の違い(南の方がより森林性)によるものです。細かな調査なので、環境の違いもはっきりと結果に出ています。

コマドリ.png
 最後にコマドリ。利島と三宅島以南で観察されました。伊豆諸島のコマドリは本州と亜種が異なり、タネコマドリです。ここで興味深いのは、三宅島と利島の間の島にはコマドリが観察されませんでした。このように、飛び飛びの分布をしている種は他にも見られました。また、八丈島ではホオジロと反対の分布を示しており、これも環境をよく示しています。

お疲れ様会では上記の種以外の分布も紹介したところ、多くの方からご意見や激励を頂きました。それらのご意見を参考にしながら、データを整理して発信していきます!

posted by ばーりさ at 17:40| 活動報告