
オオハクチョウの幼鳥率
そうすると今度は、カモはどうだろうかと気になってきました。カモの仲間は羽色で成鳥と幼鳥を正確に識別することが難しいのですが、ヒドリガモのオスは雨覆の色で成幼を識別することができます。翼と脇腹のあいだに見えている雨覆の羽が白いと成鳥で、灰褐色に白い縁取りがあれば幼鳥です。
ヒドリガモのオスの幼鳥率を、関東の数カ所で調べてみました。ヒドリガモが動きまわっているときは、ほとんどのオスで雨覆を観察できました。特に、陸上で草を食べているときは見えやすいようです。一方、水面でまったり休んでいるときの雨覆は見えにくく、さらに背中に首を入れて眠っているときは見えない個体が多くなります。
雨覆が見えないオスを除外して成鳥と幼鳥を数えてみたところ、次のような数になりました。
あまり少数の群れで幼鳥率を出すのは意味がないのですが、大塚池以外は13〜15%に集中していたので、参考までにすべての幼鳥率を%で表示しておきます。
茨城県水戸市(2016/1/23)
千波湖 成:幼=42:6【13%】
大塚池 成:幼=35:0【0%】
神奈川県川崎市(2016/1/25)
多摩川稲田堤 成:幼=7:1【13%】
千葉県市川市(2016/02/05)
じゅん菜池 成:幼=12:2【14%】
東京都足立区(2016/02/05)
荒川 成:幼=39:7【15%】
東京の荒川の幼鳥は雨覆以外ほぼ成鳥に近い色になっていましたが、水戸市の千波湖で見た幼鳥オスは、いずれも幼羽から繁殖羽に移行している途中でした。繁殖羽に移行中のマダラな色をした幼鳥は、昨年1月に中海・宍道湖でヒドリガモを観察したときに東京近郊で見ているよりも多かった印象があります。まだメスに似た色の幼鳥(額がクリーム色になりかかっている)もいたので、カモの性比調査のために雌雄別にカウントするときに戸惑いました。やはり、南に幼鳥が多いのかもしれません。
12月以前は換羽の始まっていない幼鳥オスとメスを区別しにくいでしょうし、3月になると渡り本格化して成鳥から先にいなくなると思いますから、1〜2月が幼鳥率調査のベストシーズンだと思います。
ヒドリガモの幼鳥率が全国でどのような状況なのか興味がありますので、今月ヒドリガモを観察する機会があったら、オスの成鳥・幼鳥数を神山(koyama@bird-research.jp)までメールしていただけたら、ありがたいです。結果は、またこのブログで報告したいと思います。
ヒドリガモのオスの成鳥と幼鳥が並んで草を食べています。
手前が幼鳥。黄色で囲んだ雨覆で識別できます。
水面にいるオスの幼鳥。