バードリサーチの研究支援プロジェクト(2014)で、
皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。
西田有佑さんによる「なぜ、モズははやにえを食べずに残しておくのか?」です。
モズのはやにえがいつまでも残っているのは、わざとではなく、うっかり忘れてしまったのではないか、という発想の研究です。モズがさえずりにたくさんの鳴き声を取り入れ、たくさんのレパートリーをもっていることはよく知られています。西田さんは、覚えていられることには限界がある、たくさんのさえずりを覚えていると、それだけ貯食について覚えていることができなくなるのではないか?と考えました。この研究は、さえずりのレパートリー数と縄張り内に残されているはやにえの数の関係を調べてみようという研究です。(詳細はコチラ)
いただいた中間報告をご紹介します!
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なぜ、モズははやにえを食べずに残しておくのか? (近況報告)
調査へのご支援,ありがとうございました.
「モズのはやにえ」調査は,いまも継続中です.
モズは,枝先などのとがった場所にはやにえをよく作ります.
モズの縄張り内にある木々を片っ端から見ていくことで,はやにえを探しています(図1).
図1「調査地の風景」
見つけたはやにえには,発見した年月日と通し番号を記したシールをつけています(図2).
図2「はやにえ調査のシール」
1,2m程度の高さの木ならば,はやにえの探索は簡単です.
しかし,それ以上の高さの場合は,首をくの字にして木を見上げて調査しなくてはいけません.
そんな調査が2,3日もつづくと,筋肉痛で首がいうことを聞かなくなります.
いままで確認できたはやにえの数は,およそ2800個ほどです.
すっかり寒くなったいまでも,モズたちはせっせと新しいはやにえを作リ続けています.
はやにえの数は,これからも増えていきそうです.
はやにえの構成ですが,カエルやイナゴが多いです(図3,4).
図3「干からびたカエル」
図4「高い鮮度のイナゴ」
そのほかには,ケラやカマキリ,コオロギなどのはやにえが多く見つかります(図5,6,7,8,9,10).
図5「まだ生きていたケラ」
図6「くの字に曲がったカマキリ」
図7「体が黒く変色したコオロギ」
図8「種不明のエビ?」
図9「色鮮やかなスズメバチ」
図10「又枝に挟まれたオサムシ?」
これらの生物は,モズが生息する農耕地でよくみられる生物です.
縄張りの生物相を反映して,はやにえの種類が決まっているかもしれません.
10月からスタートしたはやにえ調査ですが,12月現在ほとんどのはやにえが消費されることなく現存しています.
「これらのはやにえがいつ食べられてしまうのか」が,私の研究では非常に重要な結果です.
寒さが厳しくなり,手がかじかむ季節になりました.
寒さに負けずひきつづき調査をして,おもしろい結果をみなさまにご報告できればと思います.
2015年12月25日
近況報告2014≫なぜ、モズははやにえを食べずに残しておくのか?
posted by ばーりさ at 10:29| 研究支援(近況報告)