2014年11月09日

モニタリングサイト1000ガンカモ調査交流会(弘前)

2014年11月1日(土曜日)、弘前市でモニタリングサイト1000 ガンカモ類調査交流会を開催しました。この交流会は、毎年、各地のモニタリングサイト1000の調査地を巡って開催しているもので、今年で6回目になります。

今年の交流会は「春のマガンの渡り」をテーマにして、青森と北海道のガン類渡来地で調査をしている皆さんに発表をしていただきました。

まず始めに、宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団の嶋田哲郎さんが、人工衛星を使って渡り鳥を追跡する技術であるアルゴスシステムと、それを使った各種の追跡調査の結果を説明して下さいました。嶋田さんご自身が昨年から今年にかけて実施されたコクガンの追跡調査について、三陸沿岸で捕獲して発信器を付けるようすを写真で説明していただいたので、捕獲方法や発信器の取り付け方といった現場で調査している人でないと分からないようなお話しを伺うことができました。さらに、マガン、ヒシクイ、マガモ、オナガガモについて、これまでにアルゴスを使った追跡調査で分かった渡り経路を紹介していただきました。

続いて、青森県の調査サイトの説明の紹介があり、その夜に泊まる宿のそばにある廻堰大溜池には、数万羽のオナガガモが飛来しているという報告に会場が沸きました。

そしてモニタリングサイト1000の調査地ではありませんが、弘前大学の柏木敦士さんから、津軽十三湖で春の渡り時期にマガンの調査をした発表がありました。十三湖には3月後半にマガンが飛来し、2013、2014年ともに春の渡りの個体数のピーク値は約25,000羽だったということです。

青森県に続いては、北海道から参加して下さったみなさんの発表がありました。

宮島沼水鳥湿地センターの牛山克巳さんは、北海道を通過するマガンの総数と移動経路の推定について話して下さいました。1990年代半ばまでは、国内で越冬するマガンの個体数と、春に宮島沼を通過するマガンの数がほぼ同じだったのに、2000年代になると宮島沼の渡り個体数は頭打ちなのに、国内越冬数はどんどん増えているため、道内の宮島沼以外の場所を中継地に使うマガンが増えているのではないかということです。

このような北海道の中継地について、浦幌野鳥倶楽部の武藤満雄さんから、十勝川下流に地域が、マガン、オオヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガンなどの主要な中継地になっていることを紹介していただきました。

そして、最北の中継地、サロベツ原野についてサロベツエコネットワークの森永太一さんの発表がありました。ここは秋にはオオヒシクイが、春にはマガンが多いという不思議なパターンがあります。2013年秋から調査が始まったばかりなので、今後のデータの蓄積でいろいろなことが分かってくると思います。(神山和夫)

廻堰.jpg
おおき〜い廻堰大溜池
posted by ばーりさ at 11:48| 活動報告