現地視察に訪れたねぐらは瀬戸内海に浮かぶ島に形成されたねぐらでした。広島県のカワウの個体数には季節変動があり、県外から季節移動でやってくるカワウのために冬季の個体数が他の季節よりも多く、特に瀬戸内海沿岸部のねぐらでその傾向が強く表れます。視察したねぐらはあまりにも冬季の個体数が多すぎて、樹木の枯死が進み、土壌流失も起きてしまっているため、ねぐらの除去に踏み切った場所です。写真のようにビニール紐*を張り、追い出した後の状況を見てきました。
* 注)ビニール紐は、太陽光と風によって千切れていきます。環境や生物への影響を考え、カワウのねぐら対策で使用するビニール紐は生分解性のものを使用しています。
広島県のカワウ対策におけるもう一つの強みは、市町が積極的にカワウ対策に関わっており、県と密に連絡をとって行動できているところです。今回の視察もカワウの専門家と県職員だけでなく、市町の職員も一緒でした。
市町の職員だけでなく、地元の漁協の方が定期的に見周りをされているようで、対策実施後視察に行った時点までは、カワウは戻ってきていない、ということでした。ねぐらに上陸してみたところ、確かにうまくいっていそうでしたが、少数のカワウがねぐらをとっている可能性もみられたので、引き続き警戒をして、カワウが戻ってくる兆候があった場合は、早めの対応を勧めてきました。
ここの対策はこれで良いのですが、追い出したカワウがどこにねぐらをとるのか、ねぐらの分布管理の方向性、漁業被害への対応が重要です。今後のことについても話をしてきました。