2023年09月11日

みにクル:九十九里浜北部のシギ・チドリ類調査(奴賀/守屋)

9月10日、九十九里浜北部のシギ・チドリ類調査に行ってきました。

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写真0.調査風景(Tさん提供)

日曜日で、天気も良いので海岸に人が多かったり、何かのイベント?をしていたりするので、環境省の腕章をして怪しまれないように調査をしました(笑)

まずは九十九里浜北部(コアサイト)を参加者のKさんとTさんと調査しました。

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写真1.Kさん(右)とTさん(左)photo by T. NUKA

遠方にミユビシギの群れを確認しましたが、遠すぎで陽炎でよく観察やカウントできず、そんな時はわかる範囲で概数を記録します。他にシロチドリ、メダイチドリ、イソシギを確認しましたが、1〜2羽でした。全体的に少なめです。。。

次は飯岡海岸(一般サイト)に移動し、Sさん家族4名と合流して調査を行いました。
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写真2. Sさん家族 photo by T. NUKA

近いところにミユビシギの群れを発見したので、カウント体験をしてもらいました。
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写真3.ミユビシギ(Tさん提供)
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写真4.ミユビシギのカウント中 photo by T. NUKA

結果、ミユビシギは13羽の群れで、トウネンが1羽混ざっていました。
posted by ばーりさ at 10:12| みにクル報告

2023年09月08日

群れが複数ある山のイワヒバリ調査2日目(高木)

先月、中央アルプスの木曽駒ヶ岳にてイワヒバリの調査をしてきました、の続きです。2日目は早朝から、雨で終わった初日の調査を忘れさせてくれるような晴天に恵まれました。まだ暗いうちに目覚めましたが、星空を眺めに出かけたらしい登山客の声が外から聞こえてきて、寝過ごしたかと一瞬ヒヤッとしました。出発の準備は昨夜のうちに済ませているので、さっと着替えて、寝具を片付けて、宿泊させてもらった山小屋の戸口に向かいます。まだ乾ききらない登山靴に、乾いた靴下を滑り込ませます。山小屋から木曽駒ヶ岳山頂の南斜面の調査ポイントまでは、ひとつピークを越えて少し歩きます。まだ薄暮の前でしたが、月や星が明るく足もとに不便はありません。昨日、イワヒバリを確認した場所の近くでしたので、声が聞けるかとゆっくり歩きながら耳を澄まして、目を左右に走らせましたが気配は感じられず。そうこうしているうちに、東の雲海の向こうが明るくなり、日の出が近づいてきました。

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八ヶ岳の南の端から太陽が顔を出したところ

目的のポイントに着くころには、太陽の光が地面を照らしてくれるようになりました。イワヒバリが現われるのを待つことにした私は、湿って不愉快な登山靴から哀れな足を引き抜き、大きな石の上で日向ぼっこさせます。太陽光は偉大ですね。じとっと水けを吸った靴下も、乾ききっていなかった登山靴も、朝食を口に放り込んだり、カヤクグリの声に耳を奪われたりしているうちにほとんど乾かしてくれました。いそうだなぁと思った予想はハズレたかな、とあきらめて歩きはじめると、1羽のイワヒバリが顔を出してくれました。あまりこちらを警戒している様子はありませんが、影響を与えないように距離をとって後を追います。しばらくするともう1羽が現われ、2羽が連れ立って飛んでいきます。すると、他からもイワヒバリが飛んできて、大きな岩が集まっているあたりに5羽がゆるく集まって、せわしなく動き回ります。それ以上増えなかったので、どうやら5羽の群れだったようです。5羽がそろっていたのは短時間で、すぐに群れはばらけて各自で餌を探すようでした。
ひとつ確認しておきたかったことは、どれくらい尾根の反対側まで移動するかってこと。尾根を越えられてしまうと、追跡できなくなることが多くなるので、今後、イワヒバリの群れの個体数を調べようとした時に把握が難しくなると思っているからです。確認しやすいよう斜面の下側の登山道から尾根沿いの登山道に場所を移します。イワヒバリが観察されていた側の斜面は比較的緩やかですが、反対側は切り立っています。尾根に近づいてきた2羽のうち1羽は尾根の手前で引き返していきましたが、1羽は尾根を越えて姿を消しました。しかし、すぐに上がってきて尾根から突き出た岩の上などにとまって休むなどしており、ほとんど切り立った側の斜面は利用せずに、しばらくすると緩斜面の方に戻っていきました。

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左の翼を掻いたら、右の翼も掻くべし
北側急斜面に突き出た岩の上にて

この日は晴れていましたので、調査範囲を広げて歩くことに。このあと、木曽駒ヶ岳の北西斜面や、千畳敷カールと呼ばれている山頂からは南に1km以上離れた場所でもイワヒバリを確認しました。2日間の調査で、少し距離の離れた場所4か所でイワヒバリを確認することができました。
過去の他山での研究によると、イワヒバリの群れが守るなわばりは直径200〜500mほどのようです。そのことを考慮すると、今回調査した範囲には、2〜4の群れがいたのではないか、と。確認できた群れの個体数の最大値は5羽だったこと。その他にも探索努力に対するイワヒバリの出現頻度など、来年以降、イワヒバリの総個体数を調べるための調査設計の参考になる情報を集めることができました。

調査の間に、一度、ライチョウの親子に道を塞がれました。足環がついていて、初日に山頂付近で顔を出してくれたのと同じ家族でした。道をあけてもらえるのを待ちながら、ゆっくり写真を撮らせてもらいました。

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親の居場所を声を頼りにして、あとを追うヒナ

ひととおり調査を終えたころ主要な登山ルートが大変なことに。。登山客の増え方に危機感を覚えて、早めに下山しました。案の定、ロープウェーの駅には人があふれており、整理券を受け取ると、1時間待ち、とのこと。バスやロープウェーで標高2,600mまで登ってこれるのは、調査時間の確保にも体力温存にもありがたいのですが・・・。
順番を待っている間に雨が降り出してきました。貴重な晴れ間に調査ができて良かったです。


この調査は、バードリサーチ調査研究支援プロジェクト2022年度のバードリサーチからの調査研究プランとして実施しています。
また、株式会社モンベルより、寄付つきTシャツサポートカードによるご支援もいただいています。
posted by ばーりさ at 08:00| 研究支援(近況報告)

2023年09月06日

とことんカラス 文一総合出版

文一総合出版から標記書籍をいただきました。ありがとうございました。

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とことんカラス BIRDER編集部編
文一総合出版 ¥1980

松原さんや柴田さんなどカラスの研究者やカラス好きの人が執筆していて,清水さんの街のカラスの写真は素晴らしいです。
バードリサーチも,声の音源の提供で協力しています。

書店で見かけたら,見てみてください。

posted by ばーりさ at 09:20| 書籍紹介

2023年09月05日

最近ゴジュウカラは早くさえずりを止める

 バードリサーチでは,環境省のモニタリングサイト1000調査と連携して,北海道の3か所の演習林に協力をいただき,ICレコーダを設置して鳥のさえずり時期の調査をしています。

 毎年この時期は,7月に回収したICレコーダの聴き取り作業をしているのですが,その聞き取りが終わったので,これまでの結果をまとめてみました。ちょっと興味深かったのが,最近,ゴジュウカラのさえずりが不活発になる時期が早くなっていることです。

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 図の赤い線が今年のさえずり頻度の季節変化で,オレンジが2022年,ピンクが2021年…と色のついているのが最近の記録で,灰色が2017年以前の結果ですが,雨龍はそれほど顕著ではありませんが,色のついた線が早くからさえずり頻度が低調になり,灰色の線が高く推移しているのがわかります。つまり最近は早い時期からゴジュウカラのさえずりが不活発になることがわかります。

 それが影響して,4/26-30,5/1-5,…のように期間別にさえずり頻度の年変動を見ると,早い季節では,以前も最近もさえずり頻度に違いがない(―印)のに対して,遅い季節には,年々さえずり頻度が減少している傾向にありました。
 活発にさえずる早い季節(4/26-30)に減少傾向はなかったので,おそらくゴジュウカラの生息数に大きな変化はないのだと考えられます。しかし,気温などの影響で,近年は早い季節にさえずりが不活発になる傾向があり,その結果として,遅い季節にはゴジュウカラのさえずり頻度が経年的に減少しているような傾向になっているのだと思います。

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 こうしたことは,モニタリングサイト1000の現地調査の結果にも影響しているかもしれません。現地調査では,さえずり頻度ではなく,1回でも鳴いたら1羽と記録されますし,何回鳴いても同じ個体だと認識したら1羽と記録されるので,影響はマイルドになっていると思いますが,鳴き声での記録が多いので,それでも(本当の生息数は変わっていなくても)記録上,数が減ったように見えてしまう可能性もあり,今後の現地調査の結果の評価でも気に留めつつ,引き続き情報収集をしていきたいと思います。

posted by ばーりさ at 14:37| 活動報告