2023年05月19日

佐渡調査1回目 ほんとに1回目だから引き継ぎ!(高木)

植田さんから調査地を引き継ぐため、2人で佐渡に行ってきました。
北側の大佐渡と南側の小佐渡にそれぞれ調査地があるのですが、まるで性格の違う調査地で、両方を楽しむことができました。

大佐渡は標高900mぐらいあり、まだ雪も残っています。まずは、調査地点の場所を確認しながら、「大王」とか「千手」という立派な名前のついた大きな杉にご挨拶。
DSC_1760s.JPG

日没が近づくと、ヨタカやトラツグミ、ツツドリが鳴き出し、良い感じ。そのまま調査地点の近くで野営しました。寝始めたころはまだ時折ごうっと風が吹くぐらいでしたが、夜が深まるにつれて風が強く、長く吹くようになりました。

鳥たちが鳴きだすのを待っていた未明、けっこうな風が吹いて木々を揺らします。風が強かったよと、音を記録しようと録画したのですが・・・。いやぁ、スマホのノイキャン、余計な仕事をしてくれますね。これじゃ、つたわらない(泣)。そうこうしているうちに、この日のコルリの第一声が録音できたので、満足して録画終了っと。


翌日は小佐渡の調査です。ここは標高200m程度と大佐渡に比べて低く、開けた場所や沢があり、海にも近い場所。鳴き始めが少し遅かったので調査開始時間は大佐渡より少し遅かったのですが、小佐渡の最初の調査地点は空が木の枝葉に覆われていて真っ暗でした。
うっかりヘッドランプを用意してこなかった私は、ほぼ何も見えない黒い紙の上に種名を書くことに(笑)。ペン先も、自分の書いた字も見えませんので、植田さんがコールする種名をまともに書けません。だから、頭文字だけ。メ、ヒ、ウ、と縦に書いていきます。
DSC_1837.JPG
メジロ、ヒヨドリ、ウグイスです。見えないまま書いたにしては、キレイに書けてると思いません?このとき、一瞬ですが、鳥の声と植田さんの声から意識が離れて、「わーい、ヒメウだ♪」と思って喜んでいたことは秘密です。そう時間はかからずに明るさが出てきて、ヒヨドリをヒガラと書き間違えることもなく、ちゃんと調査に支障なくっ、働いてきましたとも!

大佐渡の調査を終えて、小佐渡の調査地に向かう途中、杉池というところで少し休憩をとりました。少し散策していると、鳥学会大会でもお世話になっているサントリーの植樹記念碑がありました。杉池は赤玉地区にあり、ちょっとした縁があると書かれていました。
佐渡杉池サントリー赤玉.JPG
私が赤玉ポートを飲んだのは20年以上前です(家族がそう呼んでいたのでそう覚えているのですが、改名された後なので、正しくは赤玉スイートワインのはず)。ふと、いまはない祖父母の顔と実家の景色が脳裏によぎり、懐かしい気持ちになりました。
耳に入ってきたのは、シジュウカラ、ヒガラ、ウグイス、オオルリ、キビタキ、ホオジロ、ヒヨドリ。昼日中でしたので、鳥はありふれたものでしたが、風にざわめく新緑の葉の音が心地よかったです。サントリーの緑の缶の東京クラフト〈I.P.A.〉が飲みたくなりました。新緑の森のにおいとあの苦みが合いそうです。<広告ではありません。現地で思ったことをそのまま書いた個人の感想です!>
posted by ばーりさ at 13:21| 活動報告

2023年05月12日

藪の鳥の復活傾向続く? モニ1000秩父・大山沢調査

秩父の調査の1回目の調査に行ってきました。大山沢の方は,メインのアクセス道路が土砂崩れで普通になってしまっているので,山越えで入って,キャンプでした。

P5100209.jpg

東屋を使って,突然の雨でも安心なキャンプ地ですが,幸い良い天気でした。

初日は秩父演習林。藪の鳥が回復傾向にあるのですが,しっかりコルリの声が記録されました。



そして巣箱もチェックしてきましたが,これまでで最多の産卵数の巣箱がありました。すでにヒナの孵っている巣箱もあって,少し早めかもしれません。

P5100202.JPG

そして2日目は大山沢。北斜面だけあって,まだまだ展葉は進んでいません。

P5110214.JPG

沢沿いの調査地で,マミジロが聞かれるのが,特徴です。今回は渡来したてなのか,活発にさえずっていました。



こちらでもウグイスのさえずりを確認。2016年を最後に記録が途絶えていたので,7年ぶりの記録です。来年以降も記録されるのか,注目したいと思います。

今回はわらじカツを食べて気ました。基本,同じ店では食べない方針で開拓してきたのですが久々,にあの店に行ってみよう,と食べてきました。やはりおいしかった。次の調査は来週の佐渡の予定です。

P5100208.JPG
posted by ばーりさ at 09:59| 活動報告

2023年05月02日

キビタキとオオルリはツバメとは違い西日本は遅め

昨日のツバメに続き,キビタキとオオルリの今年の初認状況についてもまとめてみました。
ツバメほど情報量が多くないので,近畿以西,中部・関東,東北・北海道でまとめてみました。まずはキビタキ

キビタキ初認.png

まだ5月のデータがないので,東北・北海道はわかりませんが,中部・関東については,平年並みからやや早め,近畿以西については,やや遅めという感じでした。

オオルリについては,キビタキほど顕著ではないですが,似たような傾向にありました。

オオルリ.png

ツバメは,西日本は早く,東日本は遅かったのですが,キビタキとオオルリは逆でした。ツバメは3月,キビタキ・オオルリは4月に渡来するので,違っても不思議ではないですよね。
今年の4月は8-10日にかけて寒い日が続きました。この時期にあまり渡らず,西日本は例年より遅くなったのかもしれません。そして,19-20日にぐっと暖かくなって,このタイミングでどっと渡ってきて,関東ではやや早めになったのかもしれません。

東北・北海道はどうなるでしょう。観察された方は,季節前線ウォッチまで情報お送りください。
posted by ばーりさ at 14:13| 活動報告

2023年05月01日

今年のツバメ初認は「西早東遅」

5月になり,ツバメの初認が落ち着いてきたので,今年のツバメの初認状況をまとめてみました。

まずは,全国の渡来状況です。
近畿以西は3月上中旬にピークが来て,中部太平洋側は中旬から下旬,関東と中部日本海側は3月下旬から多くなり,東北地方は4月中旬になってから,と,西からツバメが渡来してきている様子がわかります。
ツバメ地域別初認.png

では,今年はツバメの渡来は早かったのでしょうか? それとも遅かったのでしょうか?
全国の初認記録を集計して,過去からの結果と比べてみると,

ツバメ初認2023.png

いつがピークだかもわからないような,ダラダラとした感じの渡来で,この図からは,早いとも遅いとも言えません。2019年もダラダラ渡来していましたが,それでも3月中下旬がピークと言えたので,かなり特異な年と言えそうです。

そこで,地域別に分けて,比較してみました。
ツバメ2019-23比較.png

中部太平洋側の地域を境に,西側は渡来が早く,東側は遅かったために,日本全体でみると,ダラダラと初認が続いたということになりました。
今年の春は暖かで,桜が早く咲きましたが,開花した直後から花冷えが続いたため,それまでに渡来していた西側は早く,東側は遅いといったことが生じたのだと思います。

これから初認が進む,その他の夏鳥はどうでしょうか? 寒さの厳しくなる3月に渡来するツバメと,ベースの気温が高くなる,4月に渡来する種では,こうした反応も違うかもしれません。そうしたことを明らかにするためにも,季節前線ウォッチへの情報送信,よろしくお願いいたします。

https://www.bird-research.jp/1_katsudo/kisetu/index_kisetu_taisho.html
posted by ばーりさ at 16:50| 活動報告

今年のさえずりは,最初早かったけれど,その後,中弛みに

今年も,4月1日から,聞き取り調査を実施しています。毎朝,埼玉県秩父,北海道富良野および富士山中湖,長野志賀高原を順に聞き取りをして,鳥たちのさえずりが活発になる時期を調べています。

スタートから1か月が経過しましたが,桜の開花が早かったことからもわかるように,雪の少なさや暖かさから,今年は,最初はさえずりが早くから活発な年でした。しかし,その後寒くなって,さえずりは中弛みといった感じでした。その寒さの影響は,秩父と山中湖,志賀高原を比べると,標高の高い志賀高原で顕著で,秩父になると薄れてきて,標高が最も低い山中湖ではあまり影響がないというのが,ちょっとおもしろいところでした。
調査地別にみていきましょう。

志賀高原
まずは一番標高の高い志賀高原。
志賀高原.png

ウグイス,クロジ共にさえずり始めは,これまでの調査でもっとも早い年にあたるほどの状況だったのですが,ウグイスは平年並みくらいになり,クロジは,完全に失速してしまったという状況で,寒さの影響が顕著でした。

秩父
秩父.png

次に高い秩父では,比較的早くからさえずり始めるアカハラはスタートこそ早かったものの,その後伸び悩んで,例年よりも遅いくらいになってきてしまっています。4月後半に渡来するキビタキは,平年並みといった感じです。

富士山中湖
富士.png

山中湖はあまり,4月下旬の寒さの影響は受けていない感じで,キビタキ,センダイムシクイともに順調に活発にさえずるようになり,例年より早い状態を維持しています。

北海道富良野
富良野.png

最後が富良野ですが,こちらも多少寒さの影響を受けているようで,4月中旬に渡来するウグイスは例年より早い状況で,やや遅く下旬に渡来する夏鳥のヤブサメは平年並みという感じです。アカハラも毎年下旬に記録されるのですが,同様に平年並みという感じです。

このように,時期により暖かい,寒いが変わったりするので,早遅はなかなか一筋縄ではいきませんが,長期間データを取っていけば,いろんなパターンの年が集まってくるので,それを基に,気候変動が鳥に与える影響を考えていきたいと思います。
posted by ばーりさ at 11:56| 活動報告