2022年01月05日

今冬もチュウヒ類の就塒調査をしてきました

1月4日は恒例の渡良瀬遊水地でチュウヒ類のねぐら調査をしてきました。
この調査は、もう10年以上続く、栃木県のオオタカ保護基金とバードリサーチの共同調査です。
午後3時、集合場所の駐車場には栃木県内や埼玉県、東京などから10数名が集合。
その後、調査地点へ分かれてチュウヒたちの飛来を待つことに。

ねぐら調査中.jpg
   (調査中の様子 撮影:山ア優佑氏)

この日は、午後になると北西の強風が吹き荒れ、防寒着を着込んでも震える寒さ。
飛来したチュウヒは、ねぐら上空一帯を低く時に高く飛び周り、なかなか降りてくれません。

ねぐら上空のチュウヒ.jpg

(ねぐら上空へ飛来したチュウヒ 撮影:山ア優佑氏)

双眼鏡で追跡後、寝床へ降りたのを確認すると、一息を付く間もなくまた次の1羽へ。
中には30分以上ヨシ原を飛びまわる個体も…。
腕が疲れ、涙と鼻水が止まらないほどのきつさ。
それでも日没20分後ごろにはすべて入り終わり、調査の達成に少し気分がハイに。

今年は、野火の影響で一部のねぐらが消失したため、分散して就塒。
結果は、4か所でチュウヒが約30羽、ハイイロチュウヒ約10羽を確認。
年末に北日本などで大雪が降ったせいでしょうか。
過去の最多個体数には及ばないものの、昨年や一昨年より多い数です。
寒風の中、頑張っていただいた参加者の皆さんに感謝です。

この結果はチュウヒ保護ネットワークの全国チュウヒ類個体数調査に提供されます。
今冬のチュウヒ類の生息状況はどうなのでしょうか。
渡良瀬と同じように記録数が多いのでしょうか。楽しみです。




posted by ばーりさ at 18:15| 活動報告

『山口県版鳥類繁殖分布調査報告書2017』などを頂きました

日本野鳥の会山口県支部より、『山口県版鳥類繁殖分布調査報告書2017』、『山口県版鳥類繁殖分布調査報告書2017(種別解説編)』、『山口野鳥 第52号』を頂きました。
山口県支部では、1990年、2008年にも鳥類の繁殖分布調査報告書を作成しており、2016年と2017年の今回が3回目の調査報告です。
国土地理院の2万5千分の1地図を縦横に等分してサブメッシュを作成し、315サブメッシュでラインセンサスによる現地調査を実施して、過去2回の調査との比較をされました。
『山口県版鳥類繁殖分布調査報告書2017(種別解説編)』には、種ごとに山口県における生息状況やその変化、繁殖例などの非常に充実した記録がまとめられています。全国鳥類繁殖分布調査では収集されきれなかったと思われるデータも多く載っており、地域に密着して鳥を観察する人、その記録をまとめる人の距離の近さと層の厚さを感じました。

個別の種では、全国の傾向と同じくソウシチョウやガビチョウの分布拡大が見てとれました。山口県は西日本の中ではソウシチョウの拡大が遅く、ガビチョウもまだ遠い存在だったのですが、ついに入ってきて増えているようです。山口県出身の私としても、馴染んだ音環境が変わっていくのだろうかと心配になりながら読みました。

『山口野鳥 第52号』にはいろいろな鳥の報告などが載っていますが、特に山本尚佳さんの「生態写真の撮影にハマった!」や調査研究部による「続 頭かき図鑑」が面白くてご紹介します。
「生態写真の撮影にハマった!」は、野鳥観察から入って撮影も始められた山本さんが、警戒されない距離でじっくりと鳥を観察しながら、鳥が見せてくれるいろいろな行動を撮り溜めたものです。潮汐に合わせて「休息」のタイミングで撮影したものや、マガンとシジュウカラガンがいがみ合っている「異種間の争い」など、ゆっくりと鳥をみる面白さが詰め合わせになったような内容でした。
「続 頭かき図鑑」は、いろいろな鳥が頭をかいている写真がひたすら掲載されているページです。ここでは、普通に頭をかく「直接頭かき」と、翼越しに頭をかく「間接頭かき」について、どの分類群の鳥がどんなかき方をするかをまとめてあります。写真もたくさん掲載されていて、写真を見比べるだけでも楽しいものです。こうした記録は、山口県支部野鳥観察データベースに掲載されているものから抽出されたものだそうで、他にも色々な行動が掲載されているようです。こんなに充実したデータベースがあるのかと驚きました。

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posted by ばーりさ at 14:26| 書籍紹介