2021年04月10日

栃木県中央公園調査報告

公園はあっという間に桜が終わり新緑の季節に。
特に今春は木々の芽吹きが早いようです。
ケヤキやカエデ類も緑に覆われていました。

調査開始直後、樹冠から複雑な節回しの囀り声。
マヒワです。
コナラの植栽林の天辺に少なくとも7羽。
忙しげに動き回っては芽吹いたばかりの花芽を突いていました。

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  (コナラの枝先で囀るマヒワの雄)

調査地では20年冬はアトリ科の鳥の外れ年でした。
冬の間まったく記録されなかったマヒワです。
それでも渡去前にその愛らしい姿を見せてくれました。
ただ、20mほどの高さで採食していたため首が痛くなりました。

この時期、冬の間ほとんど記録されなかった鳥たちが公園に戻ってきます。
オナガもそのような鳥のひとつです。
今朝はだみ声で鳴き交わしながら新緑の間を動き回っていました。

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    (コナラの若い葉を覗くオナガ)

公園で営巣するために戻ってきたのでしょう。
少なくとも10羽確認できました。

さらに地上ではムクドリのつがいが歩き回っていました。
公園内では、ムクドリは春から夏に記録される夏鳥型の鳥です。
巣材を探しに来たのかもしれません。

ケヤキの枝先ではヒヨドリの小群が採食していました。
北帰行の休憩中?
5、6羽で騒いでいました。

しかし、一部の鳥たちは多かったものの、やはり全体的に少なめでした。
シメはわずかに1声のみの確認。
メジロもせいぜい2、3羽。
シジュウカラも5羽のみでした。

ここ数日寒気が入ってきたせいで動きが鈍いのでしょうか。
それとも、もう繁殖地へ帰ってしまったのでしょうか。

早ければ来週はキビタキやセンダイムシクイが通過していくかもしれません。
もう少しの辛抱です。


今朝の記録種:22種 記録個体数:111羽
参加者:6名
次回は4月17日午前7時からです。マスク着用でご参加ください。
担当:BR平野








posted by ばーりさ at 12:39| みにクル報告(宇都宮)

2021年04月09日

ウグイス予報ほぼ終了:北の早期予報が難しかった

今年は,季節前線ウォッチのこれまでのデータに基づき,ウグイスの初鳴き予報をしてみました。

予報.JPG

太田さんと一緒に書いた「積算気温をもちいたウグイスの初鳴き日の推定」をもとに予報をしてみました。
実際は,このモデルは,シーズンを通した気温の情報がないと,初鳴き推定ができず,「予報」にならないので,本当の初鳴き日よりも15日前,20日前,30日前,60日前に鳴いたと仮定して,それでモデルを再構築して,予報をしています。そのため,早い予報ほど,その後の気温を考慮できないので,予報精度が低くなります。
各地点の時期別の予報の推移をまとめてみました。それぞれの線が同じ地点の予報の変化を示しています。

名称未設定-1.png

全体的に予報の時期が早くなると予報が遅い左下がりの傾向にあるのですが(今年は暖かかったせいかもしれません),南の地点(グラフの低い位置の線)だと,予報が早くなってもそれほど顕著に遅くなるわけではありませんでした。ただ,北側の地点(グラフの上の方の線)は,特に60日前予報がかなり遅く予測してしまう傾向がありました。北側ほど,季節の進行とともに急激に暖かくなってくるからなのかもしれません。
こうした経験を来年の予報に生かしていきたいと思います。


posted by ばーりさ at 11:54| 活動報告

2021年04月06日

カラーユニバーサルデザインで分布図を作る

鳥類繁殖分布調査の報告書に使う分布図のデザイン案が、事務所のSlack(チャットのシステム)に載りました。それを見たところ、あれれ・・・黄緑が背景の灰色ににじみ込んで、ほとんど見えません。これは私が赤緑色盲(かなり誤解を招く名称で、赤・緑に限らず、色の濃度や色相が近い場合に区別がしにくいのです)だからで、他のスタッフは普通に黄緑が見えているそうです。

カラーユニバーサル2.png

「黄緑が見えないんだけど」と言ったところ、植村君がカラーユニバーサルデザインの配色例を参考に、いろんな色の組み合わせを考えてくれました。そのなかで、私がいちばん見やすかったのが右図の配色です。水色がやや見えにくいのですが、4色の組み合わせで小さな点を見やすい色にするのは、このくらいが限界かなと思いました。

いままでにも図やグラフで、ちょっと見えないなぁという配色に出くわすことが、ときどきありました。色盲でも見える配色は、そうでない人にも見やすくなる場合が多いと思います。そうした配色のことをカラーユニバーサルデザインと呼ぶそうで、ネットを検索するとお薦めの配色セットの例が見つかります。そうした例を参考にして図を作ってもらえたら、うれしいです。Wikipediaによると、日本人男性の20人に1人、女性は500人に1人が赤緑色盲だそうで、けっこうな割合で私と同じ症状の人がいますから。

なお"色盲"を別の言葉で言い換えるべきではという議論があることは承知していますが、取って付けたような新語にも違和感があるので、この文では色盲という言葉を用いました。

posted by ばーりさ at 16:38| その他