2021年03月31日

高校の短期集中講座で話をしてきました(守屋)

3月中旬に野鳥の会の奴賀さんと私で、都立科学技術高校におきまして3日間の集中講座を開かせていただきました。

1日目 明治神宮での探鳥で野鳥を実際に観察し、親しんでもらいました。
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 昨年、明治神宮は100周年を迎えたそうです。この木々が大きい照葉樹の森が造林によってできたとは思えません。

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Photo by Toshimitu NUKA
 オオタカが見やすい位置にしばらくとまるなど、ビギナーズラックを発揮させていく学生たち。端境期なのかちょっと少なめでしたが、15種程度の鳥を観察することができました。

2日目 鳥類を観察することがどのように役に立つかといった、モニタリングとその成果活用の座学
 日本のモニ1000や海外の事例など政策に反映させる仕組みや市民参加による効果などといったことを話しました。こういった授業はどうやったら退屈にならないようにできるのでしょうか。工夫が必要だと毎年思いますが上手くなりません。

3日目 近くの公園でスポットセンサスとデータの見方ということで、実際の調査を体験してもらいました。
 
 毎年おおむね好評をいただいているのですが、授業でも大きな生物を観察することは少ないと思うので新鮮なのかもしれません。なかなか野外に出にくい昨今ですが、楽しく経験してもらえたのかなと思います。
posted by ばーりさ at 17:56| 活動報告

2021年03月27日

栃木県中央公園調査報告

今年も桜の季節がやってきました。
シダレザクラやソメイヨシノの花がひと際鮮やかに輝いていました。

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(今朝の公園の風景)

穏やかに晴れた公園。
日本庭園からウグイスの囀りが聞こえてきます。
さらに、サクラの枝ではシジュウカラのつがいが採食中。
忙しげにサクラの花を覗きまわっていました。

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(シダレザクラの花にやってきたシジュウカラ)

さて、今日で2020年の調査も終わりです。
この冬の公園の鳥たちの記録状況を振り返ってみます。

今シーズンはやはり鳥たちが少なかったことがあげられます。
特にアトリ科の鳥たちで顕著でした。
マヒワはまったく記録されませんでした。
アトリも秋口に数回記録されただけです。

例年、春先には間近で姿を見せてくれるシメ。
今シーズンは1月ごろまでは3〜5羽が記録されました。
しかし、2月以降はせいぜい1羽です。
シメの少なさは下の図からも見て取れます。

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(直近の3シーズンの10日ごとのシメの最多記録個体数の比較 赤が2020年冬)

公園でのシメの主要な食物はカエデやユリノキの種子です。
昨秋はカエデやケヤキの種子が不作でほぼ皆無でした。
ユリノキの種子も少なめでした。
シメが少なかったのは公園に食物が少なかったためと思われます。

他にアオジの少なさも挙げられます。
例年、冬の期間には2〜3羽がほぼ毎回記録されます。
しかし、今年は12月から3月まで皆無でした。
郊外の踏査地でも少なめでした。
とすると宇都宮市では渡来数自体少なかったのかもしれません。

さて、この調査も来週から18年目に入ります。
早くもハシボソガラスは抱卵中です。
シジュウカラも営巣場所を探して樹木の洞を覗いていました。
サクラの季節が終わるとササゴイたちの季節です。
今年は何つがい営巣するのか今から楽しみです。

今朝の記録種数:17種 記録個体数:97羽
参加者:6名
次回は4月3日、午前7時からです。ご参加いただく場合はマスク着用でお願いします。
担当:BR平野
posted by ばーりさ at 12:45| 活動報告

2021年03月18日

鳥類学は、あなたのお役に立てますか? 川上和人/著 

表記書籍をご寄贈いただきました。ありがとうございました。

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鳥類学は、あなたのお役に立てますか? 川上和人/著 新潮社
https://www.shinchosha.co.jp/book/350912/

もう何作目なんでしょうね。川上和人さんの新作です。
説明不要と思いますが、今回も楽しい本になっています。
この本の目的は、今、日本で一番絶滅が近いけれども、地味でマイナーな鳥、オガサワラカワラヒワの普及を目指しているとのこと。彼のFBによると、売り上げの一部はオガサワラカワラヒワの保全に役立てられるそうです。
楽しく読んで、保全に貢献。素晴らしい。ぜひ書店で手に取って、そして購入してください。

posted by ばーりさ at 09:04| 書籍紹介

2021年03月06日

栃木県立中央公園調査報告

夜半過ぎまでの雨のせいでやや靄のかかった公園。
鳥たちの姿は少なめでした。

騒々しく騒いでいるのはカラスたち。
彼らはもう繁殖期に入っているようです。
ハシブトもハシボソも営巣場所を巡って隣のつがいと争っていました。

争いがひと段落するとつがいでのひととき?
2羽のハシボソガラスが仲良く寄り添って羽繕い。
その後、昨年の巣へ巣材を運んでいました。
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(寄り添うハシボソガラスのつがい)

大池は清掃が終わって水を流入中です。
でもまだまだ全然足りません。
池の底が現れています。
それでも早くもカワセミが来ていました。

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(清掃が終わった大池)

と、茂みの方からピョーピョピョピョの鳴き声。
ツミ?
しかし姿を現したのはカケスでした。
今冬は山地に木の実が少ないせいか久しぶりに公園で越冬しました。

カケスを見ているとエナガやシジュウカラがやってきました。
エナガの尾の先が曲がっていました。
今年もカシの茂みに造巣中のようです。

ところで、今年は冬鳥が少ない冬でした。
多い年には70羽も記録されるシメ。
今年はせいぜい数羽です。今朝も2羽のみ。
アトリは秋口に数羽が記録されただけ。
カワラヒワも少なめでした。
カエデやケヤキの実が不作だったためでしょう。
今から来年に期待です。

今朝の記録種数:20種 記録個体数:89羽
参加者:4名
次回は3月13日午前7時からです。






posted by ばーりさ at 11:49| 活動報告

2021年03月04日

コアジサシの繁殖時期にご配慮ください-大阪夢洲

残念ながら巣立つことはできなかったのですが、昨年大阪の夢洲でコアジサシが卵を産みました。
その後、地元の保全団体が中心となって要望し、大阪港湾局がコアジサシの生息環境の整備にご協力いただけるところまで漕ぎ着けました。
しかしながら、今年、コアジサシが渡来してくる5/4に大規模な花火大会が当地で計画されていることを知る事となりました。せっかくの環境整備が徒労に終わってしまうことを避けるため、開催時期の再考を要望し、バードリサーチも賛同しました。
http://www.nature.or.jp/action/yumeshimamirai/20210303statement.html

コアジサシは、冬はオーストラリアなどで過ごし、夏鳥として日本に移動してくる渡り鳥です。
広い河原、砂浜や砂利敷の工事用地などで、コロニーをつくり集団で繁殖します。近年は、繁殖に適した場所が減ってきており、環境省レッドリストでは絶滅危惧U類、大阪府のレッドリストでは絶滅危惧T類に分類されています。
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国際間を移動する渡り鳥は多国間で協力が必要です。生物多様性を保全するための配慮をお願いしたいと思います。
posted by ばーりさ at 12:53| 活動報告