2021年02月19日

時間軸で探る日本の鳥 −復元生態学の礎

表記書籍が出ました。

黒沢が監修し,植田が全国鳥類繁殖分布調査について書いています。
繁殖分布調査については,ホームページYouTubeビデオでも見られる情報なので,買う価値はないかもしれないですが,「骨や遺伝子から探る日本の鳥」「文化資料から探る日本の鳥」などは,なかなか普段触れることの少ない情報だと思いますので,本屋さんなどで手に取ってみてください。

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時間軸で探る日本の鳥 −復元生態学の礎
築地書館 2,600円+税
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1614-3.html
posted by ばーりさ at 11:13| 書籍紹介

ヒガラのさえずり,やはり少ない:秩父のヒガラアップデート

先日,モニ1000調査でヒガラが少なかったという状況をお知らせしましたが,その情報のアップデートです。

秩父演習林にはライブマイクが設置されていて,家からでもそれを聞くことができます
http://mp3s.nc.u-tokyo.ac.jp/NTETTO_CyberForest.mp3
(ただし,電源節約の関係で,ずっと流れているわけではありません)。

今朝,花粉症で目がかゆくて起きてしまったので,それを聞いてみました。

2/19 6:30-6:31 の音源です。


シジュウカラはよくさえずっていますが,ヒガラは終了間際にかすかに聞こえた程度でほとんどさえずっていません。(ほかには,ゴジュウカラとヤマガラの声もします)

それに対して,2020年の同日同時刻の音源はこちら。


ヒガラがよくさえずっています。少なくとも2羽はいますね。やはり今年は少なそうです。
今後どうなっていくのか,引き続き注目していきたいと思います。

posted by ばーりさ at 08:53| 活動報告

2021年02月16日

2020年度越冬期のベランダバードウォッチを実施しました(山崎)

朝、参加型調査「ベランダバードウォッチ」をしました。ベランダバードウォッチはバードリサーチが実施している参加型調査の1つで、「家での調査」と「家の周りの調査」があります。「家での調査」はベランダや庭先から15分見渡して、姿を見たり、鳴き声を聴いたりした種を記録します。「家の周りの調査」は家を中心に半径200m以内の範囲にいた鳥を記録します。今日は「家での調査」を行いました。家での調査は繁殖期と越冬期でそれぞれ5回ずつ行う事になっており、今日で越冬期の5回目を終えました。

約2か月かけて調査をしました。記録できた種数は毎回10種前後(5回目だけ5種)でしたが、前半の調査と後半の調査で記録した種は少し違っていました。
1月前半までは、アオジやシジュウカラ、カワセミなどを記録しましたが、1月後半以降は生息を確認できませんでした。どこかへ移動してしまった可能性があります。いつもこの時期しかいないのかどうかまだはっきりとはわかりませんので、来期もしっかり調査をしたいと思います。
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竹やぶにアオジやシジュウカラ、川にカワセミがいました。他にもキジバトやハシボソガラス、ハクセキレイなどもいます。

そして1月後半からは、毎回ヒバリを記録するようになました。昨年は、この辺でヒバリの鳴き声を聴くようになったのは2月になってからでしたので、今年は少し早いのではないかと思います。最初は1羽だけ時々に鳴いている程度でしたが、2月に入って以降は複数の場所で同時にヒバリが鳴いていました。この鳴き声を聴くと、まだ少し肌寒いですが、春が来たなと感じます。
ヒバリがいる場所には、繁殖期はセッカがいました。しかし冬は背の高い草がなくなってしまうためか、いませんでした。近くに「渡良瀬遊水地」という日本最大の遊水地があります。ここでは冬でもセッカを見かけますので、もしかしたらここで越冬しているのかもしれません。
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繁殖期はセッカがいる造成地。今日はここから富士山が見えました。

今回の調査を通じて、越冬期とはいっても、少し時期が違うだけで観察できる種も変わっている可能性があるとわかりました。皆さんの家の周りにいる鳥たちもそうかもしれません。ご興味を持っていただけましたら是非調査をしてみてください!
調査方法についてはこちらをご確認ください
posted by ばーりさ at 11:45| 活動報告

2021年02月14日

リュウキュウサンショウクイ最前線2021(三上かつら)

 今冬,リュウキュウサンショウクイが多くの場所で観察されています.サンショウクイプロジェクトに情報をお寄せくださった皆様,ありがとうございます.サンショウクイプロジェクトは,日本にいる2亜種,亜種サンショウクイと亜種リュウキュウサンショウクイそれぞれについて,見かけた日と場所をみなさんに報告していただいているものです.
 2010年から始めたサンショウクイプロジェクトですが,亜種リュウキュウサンショウクイの報告をいただいた件数はここ数年で増加傾向にあります.首都圏や大阪などでリュウキュウサンショウクイの個体数が増えたり,定着したりしつつあるということにくわえ.人口の多いところでは,鳥を見る人,見た鳥を報告してくださる方が多いということとも無関係ではないと思われます.嬉しい限りです.

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図1.サンショウクイプロジェクトに,観察場所についての報告をいただいた件数の推移

 2011年に論文という形で一度,リュウキュウサンショウクイの分布状況をまとめました(三上・植田2011)が,その2011年までの時点で1度でもリュウキュウサンショウクイが確認されたことのある県は14でした.そこから約10年が経ち,2021年までにリュウキュウサンショウクイが1度でも確認された県はなんと31にまで増加しています.

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図2.リュウキュウサンショウクイの記録がある県の変化.

 観察地点数が増えてきたので,分析的な見方もできるようになってきました.次の図は, 2021年2月9日までにいただいた“亜種リュウキュウサンショウクイ”とされた記録のうち,12〜2月の間の観察地点に限定して抽出し,地図上に表示したものです.まずは瀬戸内の東側について.山の際のようなところに点がよく落ちているのが面白いです

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図3.亜種リュウキュウサンショウクイの確認地点(赤色の●)を地球地図日本(国土地理院)の標高データ(第1.1版ラスタ)上に表示したもの.

 次は関東地方です.標高を図示すると関東平野のだだっ広さがよくわかるのはさておき,真冬の間の確認地点はあまり高いところには出てこないようです.12〜2月のリュウキュウサンショウクイ観察地点(全国165地点分)の平均(±標準偏差)標高は106(±118)mでした.これらの地点のなかには非常に近い場所で別々の人が観察した例や,場所の精度が粗い例も含まれていますので,きちんとしたことをいうためには,もうすこし情報を精査する必要はあります.今回は速報ということでご容赦ください.また,今後は公園なのか,山なのか,気温との関係はどうなのか,といったことについても解析してみたいと思います.

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図4.亜種リュウキュウサンショウクイの確認地点(赤色の●)を地球地図日本(国土地理院)の標高データ(第1.1版ラスタ)上に表示したもの.

亜種サンショウクイまたは亜種リュウキュウサンショウクイの観察記録をお持ちの方,過去の記録でもかまいません,ぜひこちらへ記録を登録いただけますとありがたいです.よろしくお願いいたします.
posted by ばーりさ at 12:50| 活動報告

2021年02月04日

やはりヒガラが少ない… 秩父調査2回目

今日は秩父演習林の2回目の調査です。林道はだいぶ工事が進んできているのですが,先週の雪もあるので,今回も歩いて調査地に向かいます。だんだん明けてくる空がいい感じ。
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前回はヒガラが少なく,今回はどうかと思いつつの調査でしたが,やはり少ないまま。数羽しか記録することができませんでした。ヤマガラ,コガラ,シジュウカラ,エナガは普通にいるので,どうしてしまったのでしょうか? 演習林のすぐ北側の大山沢も少なかったので,この地域からいなくなってしまっているようです。
以前こんなことあった時は,低地でヒガラがたくさん見られたのですが,そんなことも感じません。また,その後何年間かは繁殖期もヒガラが少なかったので,今後どうなるのか,注目したいと思います。

終了後,わらじカツ丼ではなく,わらじカツカレーという「のぼり」があったので,そこに寄ってみました。石焼に入っているので,煮えたぎるカレーとわらじカツ。インド人(?)のお店でした。カレーはさすがに本格的で,いまも胃にスパイスを感じるほどですが,わらじカツの揚げ方は,日本人に一日の長がありますね。

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posted by ばーりさ at 18:05| 活動報告