モニタリングサイト1000(ガンカモ類)に関するセミナーを2020年12月12日に開催しました。
これまでは、本事業の調査地で開催しているのですが、今年はコロナの影響で、オンラインでの開催としました。
開始するまでどのくらい参加していただけるか不安でしたが、50名以上の方にご参加いただきました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございます。
ここでは簡単に、セミナーの内容を紹介します。
○モニタリングサイト1000について -15分
市塚友香(環境省生物多様性センター)
環境省事業であるモニタリングサイト1000の目的や必要性、これまでの成果を紹介しました。
本事業の目的は「日本の代表的な生態系を対象に、そこに住む生きものたちの種類や数を記録しながら、長い間観察して、生態系の変化や異変に早く気付くことができるようにすること」です。取り返しのつかない環境破壊を防ぐためには、環境の変化を早期に察知することが重要です。名前の通り、約1000箇所でモニタリング調査(継続的に同じ方法での調査)を実施していています。これまでの成果として、シギチドリ類調査(バードリサーチが事務局)によって、国内に飛来するシギ・チドリ類の個体数が2000年と比較して約40%の減少している事がわかった事も紹介されました。モニタリングサイト1000についての詳細は環境省の
ホームページをご覧ください。
○ガン・ハクチョウ類の増加と、一部のカモ類の減少について -30分
神山和夫(バードリサーチ)
ガン類、ハクチョウ類の世界の動向についての紹介や国内の動向も、モニタリングサイト1000のデータを元に紹介しました。世界的にはガン類もハクチョウ類も増加している場所が多く、国内においてもガン類は増加しています。一方、ハクチョウ類であるオオハクチョウはモニタリングサイト1000の結果では減少している事が示されていますが、これは、個体群の減少ではなく、分布域の変化による可能性もある事を紹介しました。
最後に国内のカモ類について、ハジロ属が全国的に減少していることや、九州では増加している可能性も紹介しました。
ハジロ属の
減少や九州での
調査結果についてはニュースレターでも読むことができます。
○東京湾のモニ1000ガンカモ調査 -30分
箕輪義隆(千葉市野鳥の会)
モニタリングサイト1000(ガンカモ 類)の調査サイトのうち、葛西、三番瀬、小櫃川河口を担当している箕輪さんから、調査地についてやこれまでの調査結果を紹介していただきました。これらの調査地でスズガモが減少していることが、長年のデータによって示されていました。また、三番瀬では10月ごろからスズガモが飛来し増加し続けますが、12月一度減少して、再び2月ごろに増えることも毎月のデータによって示されていました。
最後に、遠くにいるスズガモの群れから、他の種を見分けるポイントとして、シルエットの違いが挙げられていました。
○カモ類の識別講座 入門編 -30分
佐藤望(バードリサーチ)
カモ類はカラフルな色をしているため、ついつい色を識別ポイントとして使いがちですが、他にも識別のポイントはたくさんあります。今回の講座では、色の他、形(シルエット)や行動、白い部分、なきごえなど8つの識別ポイントを紹介しました。
オンラインセミナーは参加者の顔が見えないため、反応がわからないのが難点ですが、ほとんどの方が最後まで参加してくださったので、少し安心しています。ご意見やご感想などがあれば、是非、佐藤までお寄せください。
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