2020年07月21日

カワウのフンからエサを解明するためのフン採取に行きました!(植村)

鳥が何を食べているかを調べたいとき、どんな方法があるでしょうか?

一番わかりやすいのは、鳥がエサを食べる瞬間を直接観察することですね。

このほかに、ペレットなどの吐き戻しを調べたり、
胃内容物を調べたり、
窒素や炭素の安定同位体比から推定したり、
フンを観察したり、などという方法があります。

さらに最近では、フンの中に残っているエサ生物のDNAを解析することで、
フンの主が何を食べたかを知る という方法が使われるようになってきました。

この方法では、ペレットなどに残りにくい柔らかい組織しかないエサ生物も検出できたり、食性を調べるために対象種を解剖して胃内容を調べたりしなくても、落ちているフンを採取してDNA解析を行えばエサの内容がわかります!

この方法を使ってカワウの食性を調べてみようということで、カワウのフンのサンプリングに行ってきました!

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カワウのフンや吐き戻しを浴びないようにカッパを着て、カワウのコロニーの下でフンを探します。
カワウのコロニーに近づくと、魚臭い独特のにおいが漂ってきます。
この時期にカッパを着て歩き回るのはさぞかし暑かろうと思っていましたが、調査中は曇りの日が多く、気楽に採取をできました。

コロニーの下には、フンの他にも吐き戻した魚やザリガニなどが落ちています。
(カワウは慌てて飛び立つ時に体を軽くするため、胃の中のものを吐き戻すことがあります。)


個体数や営巣数の多いコロニーでは、フンはすぐに見つかりました。
写真右側の灰色のかたまりをすくい、チューブに保存します。
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採取しているところ
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無事に採取できたら冷蔵で保管し、解析をお願いする会社に送付します。

今回採取した一部のねぐらでは、胃内容や吐き戻しをつかった食性解析がされているので、DNA解析からわかるエサの種類と、胃内容や吐き戻しからわかっているエサの種類を比較することができます。

どんな結果が返ってくるのか楽しみです!


バードリサーチでは、7月17日のYouTubeライブ配信でカワウの特集をしました。
長年カワウの調査をしてこられた嘱託研究員の加藤ななえさんが、カワウの食性や繁殖、移動範囲、生息状況の変化について詳しくお話しました。
この配信を観ればカワウ博士になれるといえるほど盛りだくさんの内容で、
思いがけずカワウに親近感がわくこと間違いなしです!

ぜひご覧ください!




posted by ばーりさ at 18:50| 活動報告