2020年07月09日

前線シギチ秋 −シギ・チドリ類の秋の渡り初認調査−

秋の渡り?
そうです早くも始まっています。シギ・チドリの類の秋の渡り。
早いものでは6月くらいから移動が見られるようになります。

昨年、秋にシギチドリ類6種(キアシシギ、ソリハシシギ、ツルシギ、ハマシギ、メダイチドリ、トウネン)について、初認もしくは10羽以上が観察された日と場所、環境や夏をその場所で越したかどうかも答えていただきました。
全国から約30名のデータをいただきました。ありがとうございました。

表 2019年秋の結果
2019A前線シギチ.jpg

シギ・チドリ類は一般的に成鳥が先に渡来し、その後幼鳥が渡ってきます。ツルシギを除いては、成鳥が幼鳥より早い傾向がありました。また、秋の越冬地への南下は、やはり北海道や東北(表の黄色枠)での初認が多かったのですが、年齢不明個体ではその傾向があまりなく、年齢がはっきりしない個体に繁殖地まで行かなかった個体などが含まれるからかもしれません。
10羽以上の観察があった地域の早さでは、キアシシギやトウネンでは北海道ですが、ソリハシシギやハマシギは九州の有明海(表の水色枠)でした。カムチャッカやサハリンなどからの渡来ルートのほかに、大陸側から朝鮮半島経由のルートがある事やハマシギでは亜種による渡りの違いがある可能性がが考えられます。

ツルシギは初認がどれも9月に入ってからで、10羽以上の観察はありませんでした。繁殖地はハマシギやトウネンと同様に北極圏の沿岸部なのですが、かなり遅い渡来となっています。日本より北で長く留まるのか、観察例数が少ないための結果なのか、今後も注目していきたいと思います。

今後も観察例数を増やし、渡りの傾向を把握できたらと考えております。
今年も募集を開始しています。ご協力いただけましたら幸いです。

換羽中の年齢識別に迷うこともあるかと思います。もし撮影できましたら、メールをいただければ(できるだけ)判断いたします。

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以下の図の凡例は、○が成鳥、◇が幼鳥、☆が年齢不明の個体です。
色は時期を表し、最も薄いのは6月より前、7月~9月は旬別に、最も濃いのは10月以降の初認記録です。
またエメラルドグリーンの大きな丸と日付は、10羽以上の群れの観察を表しています。
クリックすると大きく開きます。

キアシシギ
キアシシギ2019前線シギチ秋.jpg

ソリハシシギ
ソリハシシギ2019前線シギチ秋.jpg

ツルシギ
ツルシギ2019前線シギチ秋.jpg

ハマシギ
ハマシギ2019前線シギチ秋.jpg

メダイチドリ
メダイチドリ2019前線シギチ秋.jpg

トウネン
トウネン2019前線シギチ秋.jpg

posted by ばーりさ at 12:25| 活動報告