2020年07月16日

東京都鳥類繁殖分布調査等の取材を受けました(佐藤)

バードウォッチングマガジン「Birder」で田仲謙介さんが連載している「鳥業界、旬なヒト対談〜タナカが今、話したい人〜」の取材を受けました。東京都鳥類繁殖分布調査バードリサーチについて紹介してもらう予定です。10月号に掲載予定です。是非、ご覧になってください。

取材後、お土産にアイスをもらいました。田仲さん、ありがとうございました。
IMG_4424.jpg



posted by ばーりさ at 15:13| 活動報告

2020年07月09日

前線シギチ秋 −シギ・チドリ類の秋の渡り初認調査−

秋の渡り?
そうです早くも始まっています。シギ・チドリの類の秋の渡り。
早いものでは6月くらいから移動が見られるようになります。

昨年、秋にシギチドリ類6種(キアシシギ、ソリハシシギ、ツルシギ、ハマシギ、メダイチドリ、トウネン)について、初認もしくは10羽以上が観察された日と場所、環境や夏をその場所で越したかどうかも答えていただきました。
全国から約30名のデータをいただきました。ありがとうございました。

表 2019年秋の結果
2019A前線シギチ.jpg

シギ・チドリ類は一般的に成鳥が先に渡来し、その後幼鳥が渡ってきます。ツルシギを除いては、成鳥が幼鳥より早い傾向がありました。また、秋の越冬地への南下は、やはり北海道や東北(表の黄色枠)での初認が多かったのですが、年齢不明個体ではその傾向があまりなく、年齢がはっきりしない個体に繁殖地まで行かなかった個体などが含まれるからかもしれません。
10羽以上の観察があった地域の早さでは、キアシシギやトウネンでは北海道ですが、ソリハシシギやハマシギは九州の有明海(表の水色枠)でした。カムチャッカやサハリンなどからの渡来ルートのほかに、大陸側から朝鮮半島経由のルートがある事やハマシギでは亜種による渡りの違いがある可能性がが考えられます。

ツルシギは初認がどれも9月に入ってからで、10羽以上の観察はありませんでした。繁殖地はハマシギやトウネンと同様に北極圏の沿岸部なのですが、かなり遅い渡来となっています。日本より北で長く留まるのか、観察例数が少ないための結果なのか、今後も注目していきたいと思います。

今後も観察例数を増やし、渡りの傾向を把握できたらと考えております。
今年も募集を開始しています。ご協力いただけましたら幸いです。

換羽中の年齢識別に迷うこともあるかと思います。もし撮影できましたら、メールをいただければ(できるだけ)判断いたします。

-----------------------------------------------------------------------
以下の図の凡例は、○が成鳥、◇が幼鳥、☆が年齢不明の個体です。
色は時期を表し、最も薄いのは6月より前、7月~9月は旬別に、最も濃いのは10月以降の初認記録です。
またエメラルドグリーンの大きな丸と日付は、10羽以上の群れの観察を表しています。
クリックすると大きく開きます。

キアシシギ
キアシシギ2019前線シギチ秋.jpg

ソリハシシギ
ソリハシシギ2019前線シギチ秋.jpg

ツルシギ
ツルシギ2019前線シギチ秋.jpg

ハマシギ
ハマシギ2019前線シギチ秋.jpg

メダイチドリ
メダイチドリ2019前線シギチ秋.jpg

トウネン
トウネン2019前線シギチ秋.jpg

posted by ばーりさ at 12:25| 活動報告

2020年07月08日

2020年繁殖期のベランダバードウォッチを実施しました(山崎)

出勤前の早朝に参加型調査「ベランダバードウォッチ」をしました。ベランダバードウォッチはバードリサーチが実施している参加型調査の1つで、「家での調査」と「家の周りの調査」があります。「家での調査」はベランダや庭先から15分見渡して、姿を見たり、鳴き声を聴いたりした種を記録します。「家の周りの調査」は家を中心に半径200m以内の範囲にいた鳥を記録します。今日は「家での調査」を行いました。家での調査は繁殖期と越冬期でそれぞれ5回ずつ行う事になっており、今日で繁殖期の5回目を終えました。今年は67月に5回調査を行いました。

調査地である自宅は群馬・栃木・茨城・埼玉のちょうど県境あたりで、農地が多い地域です。また、近くには「渡良瀬遊水地」という日本最大の遊水地があります。

今回の家での調査で、気づいたことが2つありました。

DSC_0128.JPG

@早朝でないとメジロは記録できないかもしれない

調査は5時〜6時の時間に3回、8時以降の時間に2回行いました。家の目の前には竹やぶがあり、5時〜6時の間での調査では、そこからメジロの鳴き声が聴こえてきました。しかし、8時以降に調査を行ったときには、15分間でメジロの鳴き声は聴こえず、姿を確認することもありませんでした。他の記録された種に関しては時間帯による違いはほぼありませんでしたので、これらの事から、私の家での調査は、早朝が適していると実感しました。

DSC_0129.JPG

Aセッカのさえずりを聴かなくなった

家の近くには比較的大きな造成地があり、ヒバリが3月ごろからほぼ毎日さえずっています。セッカも6月初め頃からさえずりが聴こえていましたが、6月末以降、聴こえなくなりました。渡良瀬遊水地では7月に入ってもさえずっているので、造成地にいるセッカの個体群が6月中どこか別の場所に移動してしまったのかもしれません。個体数はもともとそれほど多くはなかったので、捕食者の影響などでそこでの繁殖が終わり、移動したのかもしれません。


余談ですが、渡良瀬遊水地では越冬している個体もいるそうですので、この造成地でも越冬するかもしれません。これは越冬期の調査で明らかにしたいと思います。


本調査を実施してみて実感したのが、確認できる種が変わったり、時間帯によって鳥類の活動が変わったりすることです。普段の観察だけでは気づかない鳥類の行動を調査という形で見る事によって、新しい発見があるかもしれません。ベランダバードウォッチは毎年繁殖期と越冬期に実施しています。

調査方法などについてはこちらからご確認ください。

過去の調査報告書もご覧ください。

是非、ベランダバードウォッチにご協力ください!



posted by ばーりさ at 17:04| 活動報告

2020年07月03日

2020企画:東京23区の鳥類調査-122名の方から212件の情報が寄せられました(佐藤)

 東京23区内で分布を拡大している4種の調査(参加型調査)を5月下旬から6月30日まで実施しました。122名の方にご協力頂き、212件のデータが集まりました。調査にご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

 結果の速報として、本調査とこれまでに集まった東京都鳥類繁殖分布調査の結果を足し合わせて、東京都内の4種の分布図を作成しました。

オナガの分布図 
オナガ0703.png

 東京の中央部(多摩地域)から東側まで分布していましたが、白いメッシュ(他の種のデータが届いているけどオナガの記録がなかった場所)が東京東部(23区)では点在していました。都市地域に全体的に分布していますが、シジュウカラよりも分布がまばらな印象を受けます。確認されたメッシュとそうでないメッシュの環境要因を分析すれば、オナガの分布に関わっている要因が分かるかもしれません。今後、分析をしてみます。


シジュウカラの分布図
シジュウカラ0703.png


 奥多摩から都心にかけて広く分布していました。23区内も東部や北部の一部を除いて分布していそうです。このあたりは佐藤も調査に行きましたが、シジュウカラのさえずりはほとんど聞けませんでした。6月中旬ごろに調査尾したので、来年にはもっとさえずりが頻繁な時期に行ってみたいと思います。


ホンセイインコの分布図
ホンセイインコ0703.png

 多摩地域から23区西部にかけて広く分布しています。色が薄いところは採餌で訪れているだけかもしれませんが、複数の地点で繁殖が確認されました。東京西部にはまだ進出していないようですが、この境界線には多摩川が走っています。多摩川の河口に近いところで、ねぐら入りを観察した時にはホンセイインコが普通に多摩川を渡っていたので、渡れないわけではないはずですが、なぜ、多摩川をこえて分布をしないのかが気になります。


メジロの分布図
メジロ0703.png

 メジロは23区東部ではほとんど記録がありません。私も東部と北部に行ってみましたが、1度も会う事がありませんでした。分布している場所としていない場所で何か環境が違うのでしょうか。今後、環境情報と照らし合わせて、分布を決める要因を追及していきたいと思います。

引き続き、情報、アイディアを募集します!
 皆様のご協力で、詳細な分布図ができました。東京都鳥類繁殖分布調査は2021年まで実施しますので、来年も是非、観察情報をお寄せください。
 また分布拡大した理由について、アイディア等があれば是非、教えてください。分析の際に参考にさせて頂きます。
posted by ばーりさ at 17:32| 活動報告