2019年11月15日

近況報告2018≫ アカモズの生息に適したリンゴ栽培方法は?

バードリサーチの研究支援プロジェクト(2018)で、皆様からご支援いただいている研究の近況報告が届きました。

信州大学の松宮さん、赤松さん、原さんによる
「アカモズの生息に適したリンゴ栽培方法は?」
です。

この調査研究プランは、長野県のリンゴ園に生息しているアカモズを対象に、リンゴの栽培方法が違う農地の間でアカモズの繁殖成績や食物量などを比較し、どの管理方法がアカモズの生息に適しているのか、またその理由について明らかにすることを目的としています。(詳細はコチラ

いただいた近況報告をご紹介します!

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<アカモズの生息に適したリンゴ栽培の方法は?>
中間報告

◆調査概要
 調査は5〜8月に長野県内のリンゴ果樹園で行いました。2015年から継続して行っている繁殖個体数のモニタリングに加え、繁殖成績および捕食者についても調査しました。

◆渡来数は昨年と同程度
例年であればゴールデンウィーク明けにはアカモズが渡来しますが、今年はやや遅く、5月中旬頃でした。4〜5月初旬にかけて気温の低い日が続いたことと関係があるかもしれません。初認が遅く心配しましたが、その後は順調に渡来し、個体数に大きな減少はありませんでした。

◆地域によって異なる繁殖成績
 繁殖成績を調査した結果、地域によっては繁殖に成功するペアが少ないことが分かってきました。特に繁殖成績の低い地域では、半数以上の巣が、卵か雛の間に天敵に捕食さていました。この繁殖成績の低さが栽培方法やその他の環境の違いと関連しているかどうかは現在解析途中ですが、どうやら営巣場所の中でも捕食されやすい場所・されにくい場所がありそうです。

◆明らかになった捕食者
 これまで果樹園におけるアカモズの天敵としてはネコが確認されていましたが、今年の調査でアオダイショウによる巣内雛の捕食を確認しました。ネコに襲われた巣は崩されていたのに対し、アオダイショウに襲われた巣は目立った損傷がありませんでした。繁殖に失敗した巣のうち、捕食者が特定できなかった巣についても、損傷がなく卵や雛だけがいなくなっていることが多くありました。もしかしたら果樹園のアカモズにとってはアオダイショウも大きな脅威となっているのかもしれません。

001雛を捕食したアオダイショウ.jpg
雛を捕食したアオダイショウ

◆これからの予定
 個体数は安定しているようで、とりあえず安心しましたが、繁殖成功率が低い地域があることが気になりました。これが今年だけの偶然的なものなのか、毎年そうであるのかは、来年以降の継続的な調査で判断し、場合によっては対策を講じる必要がありそうです。
 現在、繁殖成績と環境条件との関係について解析に差し掛かったところです。テーマであるアカモズの生息に適した栽培方法の解明に向けて解析を進めております。

◆その他
 夏にはアカモズが生息する地域の方々や果樹農家の方々に向けた勉強会&意見交換会を開催しました。参加者からは積極的な質問を頂き、地域の方々の関心の高さに驚きました。また、アカモズの生息地で採れたりんごやその加工品を使って何か保全活動ができないか話し合いを進めております。今後も、地域に根差した保全活動を続けていきたいと思っております。

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勉強会風景
posted by ばーりさ at 15:46| 研究支援(近況報告)