2018年08月23日

今年は早かった秩父のヤマガラの繁殖

昨日,巣箱の回収をしてきたことをご報告しましたが,巣箱の底に設置していた温度ロガーからデータを回収しました。

鳥が巣箱を使い始めると,その体温で巣箱の中が外より暖かくなりますので,内外の温度差を見ることで,その状況を知ることができます。

今年のデータの一例はこんな感じになります。

名称未設定-1.jpg

巣材を入れただけでは,内外に温度差は出ませんが,抱卵を開始すると,少し巣箱の中の温度が高くなります。
そして,ヒナがふ化するとちょっと下がります。暖かい日は,給餌のためによく外に出るようになるし,まだまだヒナも小さいのでヒナ自身の温度もあまり高くないためと思います。
ヒナの生長とともに,ヒナの温度でぐんぐん巣箱内の温度は高くなります。しかしヒナの羽が生えそろうとその断熱効果でやや温度が下がり,巣立つと内外の温度差がなくなります。この巣の例では,5/31にヒナが巣立ったことがわかります。

こうして明らかになった巣立ち時期と今年の気候,そしてこれまでのデータを比べてみました。

名称未設定-1.png

これまでのデータで,ヤマガラの巣立ち時期に4月までの積算気温が影響することがわかっていましたが,それをさらに補強するようなデータになりました。
今年は2010年の調査開始から最も早く巣立ち,そして最も積算気温の暖かい年でした。早かった分,繁殖に成功した巣ではヒナ数も多かったのですが,繁殖に失敗した巣も多く,例年だと繁殖した巣の大半は成功するのですが,今年は半分の巣が失敗していました。早く繁殖する食物的な有利さの反面,急に寒い日が来た時に失敗するなど,大きなリスクも抱えることになるのかもしれません。通常,失敗しても再繁殖するので,そのリスクはそれほどでもないのかもしれませんが,秩父の調査地では,これまでの観察事例から,失敗すると再繁殖しないようです。標高が高いためかもしれません。そうすると,失敗のダメージは大きそうです。



続きを読む
posted by ばーりさ at 13:48| 活動報告

岡山の野鳥たち 〜むかし・いま・みらい〜

標記書籍をいただきました。

この書籍は,現在倉敷市立自然史博物館で開催されている特別展の図録です。

S25C-918082309160.jpg

岡山の鳥の現状やこれまでの変化について種別,分類別,場所別などの切り口で紹介されていて,岡山出身の守屋もシギチドリについて執筆しています。
現在,バードリサーチが他団体と一緒に行なっている「全国鳥類繁殖分布」の結果とも共通する部分も多く,ちょっと安心しました。

文章中心で紹介されているので,特別展とあわせてみるとさらに理解が深まるのかなと思います。
特別展は9月17日まで開催されているそうなので,お近くの方はぜひ見に行ってみてください。


また,「遠くて博物館には行けないよ」という方には,書籍のみ購入することも可能だそうです。ご希望の方はこちらをご覧ください。
posted by ばーりさ at 10:10| 書籍紹介