2017年12月30日

日中共同コハクチョウ幼鳥率調査にご協力ください

今年の冬、日本で越冬しているコハクチョウの幼鳥率を、中国の幼鳥率と比較してみようということになりました。皆様のご協力をお願いいたします。どこの越冬地でも結構ですので、コハクチョウの幼鳥・成鳥数を調査してくださった方は、koyama@bird-research.jpまでお知らせください。日本国内ではハクチョウ類の幼鳥率を比較したいので、オオハクチョウの幼鳥・成鳥数もお送りください。

中国でガン・ハクチョウ類が減少している
ガン類とハクチョウ類は、カリガネのような絶滅危惧種を除いて、日本だけでなくヨーロッパや北米でも大半の種が増加しています。これは地球温暖化によって繁殖地の高緯度地域で氷雪がない期間が長くなっていることや、越冬地で稲やデントコーンの収穫残渣を食べるようになり、繁殖時期の栄養状態がよくなったことが理由だと考えられています。

ところが中国を越冬地とする個体群は例外で、特にコハクチョウとマガンは近年、急激に数が減っています。個体数の減少要因は中国での生息地破壊がではないかと推測されていますが、もしかするとロシアの繁殖地でも問題が起きているかもしれません。

コハクの数.png
日本、韓国、中国のコハクチョウの個体数変化
(韓国はオオハクチョウの越冬地でコハクチョウは少ない)


マガンの数.png
日本、韓国、中国のマガンの個体数変化

幼鳥率で繁殖状態を比較してみよう
そこで、中国科学院のCao Leiさんから、日中のマガンとコハクチョウの幼鳥率を比較できないかとの提案がありました。幼鳥率はその年の繁殖成功率の目安になりますから、もし中国の幼鳥率が低ければ、ロシア北極圏での繁殖がうまくいっていない可能性が示唆されます。マガンの幼鳥をカウントするのは難しいですが、コハクチョウは灰色の幼鳥を数えることが容易ですので、ぜひ、皆さんのご協力をお願いいたします。
コハク成幼.jpg
コハクチョウ。当年生まれの0歳(幼鳥)は灰色をしています。

この12月にCaoさんが長江流域の中国最大の湖であるポーヤン湖で行ったカウント調査では、コハクチョウ約3万7千羽の幼鳥率は12%でした。

一方、日本の幼鳥率は2004/05〜2012/13年の平均では、各地の生息地でおおむね10〜20%ですが、今年はどうでしょうか?
コハクチョウの成鳥数・幼鳥数をカウントしてくださった方は、koyama@bird-research.jpまでお知らせください。幼鳥はだんだん白くなっていくため、1月中に調査をしてください。日本国内ではハクチョウ類の幼鳥率を比較したいので、オオハクチョウの幼鳥・成鳥数もお送りください。

コハク幼鳥率.png
(モニタリングサイト1000ガンカモ類調査 第二期とりまとめ報告書より)


コハクチョウとマガンの個体数変化の出典
QIANG JIA, KAZUO KOYAMA, CHANG-YONG CHOI, HWA-JUNG KIM, LEI CAO, DALI GAO, GUANHUA LIU and ANTHONY D. FOX. Population estimates and geographical distributions of swans and geese in East Asia based on counts during the non-breeding season. Bird Conservation International, Available on CJO 2016 doi:10.1017/S0959270915000386

posted by ばーりさ at 10:13| その他

2017年12月26日

鳥の少ない秩父大山沢(植田)

たぶん今年最後の調査です。埼玉県秩父大山沢に調査に行ってきました。

雪が深いと自動車で調査地の近くまで到達できず,延々林道を歩かなければならないのですが,幸いに雪はなし。しかし,路面が凍結していて,予定していた場所よりだいぶ手前で自動車を降りて歩くはめになりました。でも雪がないと歩きにくくないので,楽ですね。

DSC01186.jpg 凍結した林道

今冬の鳥はどうだろうか,と,調査を始めてみましたが,少ないです。ゴジュウカラは普通にいましたが,それ以外の鳥はほぼほぼ少ないです。
木の実は実をつけている木もありましたが,それでも房数はすくなく,山に食物がないのが一因のような気がします。

DSC01187.jpg 実をつけている木もあるが…

下山後は栄養補給に。「わらじカツ丼」は肉が薄いのが普通なので,大丈夫かな,と,限定10食の「特わらじカツ丼」があるというので,それをお願いしてみました。
しかし,でかくて厚いのが3枚。おばちゃんも「がんばってね」と言いながら出してきました。完食しましたが,夜ご飯はなしでいいかな。

katsukatsutei.jpg



posted by ばーりさ at 17:37| 活動報告

都立高校で野鳥の授業をしてきました。(守屋)

先週末に、昨年に引き続き都立科学技術高校の生徒たちに野鳥観察と野鳥調査の授業を行ってきました。

3日間のコースなのですが、私と奴賀さん(日本野鳥の会レンジャー&BR嘱託研究員)は2日目から参加です。

この授業では、1日目に科学技術高校の近くの猿江公園、2日目に新宿御苑で野鳥を観察します。
お父さんが野鳥観察が好きという経験者もいましたが、バードウォッチングほぼ初めてという生徒が多かったようです。
私達が担当した新宿御苑では、定番のヤマガラやハクセキレイに加え、オシドリやオオタカ、カワセミなどなかなか内容の濃いバードウォッチングになりました。一羽一羽の鳥に感動する生徒たちを見ると、もう親の目線ですね。
普段これほどの鳥が身近にいるということに気づけてもらえたようです。
IMG_2517.jpg

そして、生徒たちは最初の二日間で鳥に関する疑問や調べてみたいことを観察の中から考えてもらい、3日目の座学で研究計画案を作って発表してもらいました。
座学のテーマは”研究目線で考えよう”です。まず、問題の設定や疑問の解決の方法、仮説を立てたり、それを証明する調査や研究の計画についての概論を説明し、個々のテーマをグループワークで話し合いました。

先入観がないところから来る個性的な視点!のテーマを、漠然としてるので焦点を絞ったり、比較するための対象はどうするのか考えたり、その調査は実施可能なのかなどを話し合い、また我々もアドバイスなどして議論を深めました。

既存の文献にあたる時間もないので、簡単な仮説検証を考えてもらったのですが、
”疑問→なぜだろうと理由を考える→仮説をたてる→証明する→調査方法を考える”
といった上記のような流れで、みんな考えをまとめることができ、各自が面白い研究計画を立ててくれました。
実際の研究計画とする際には、既存の文献を調べたりアドバイスを受けたり、よりブラッシュアップする必要がありますが、なかなか面白い発見がでてくるかもしれません。

生徒たちには、意見を出し合って議論し合うというのも、新鮮だったようで感想も好感触でした。

私達にとってもこのような授業の機会を与えてもらって、非常に勉強になりました。
詳細な野外の観察結果から疑問を見つけるようなプロセスも入れられると、もっと生態学に親しみを感じてもらえるかもしれないなと感じたので、今後も改良していきたいと思ってます。

疑似科学という言葉が巷を騒がせることが多いですが、証拠がないものを盲信せずに論理的な考え方を身に着け、大研究者となって将来バードリサーチニュースを飾ってほしいなあと思ってます。わりと本気で。
IMG_2513.jpg御苑のカワセミ
posted by ばーりさ at 14:07| 活動報告